世界に蔑まれた黒の転移者 -拝啓-母さん、僕はこの異世界を滅ぼすことにしました。-

天風緋色

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第一章 理想

第17話 夕食後の約束

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我が家についた俺達は買ってきたもので部屋をより快適な空間にしていく。

ジムが寝藁を1人分おまけしてくれたおかげでふかふかのベットが出来上がる。コロも嬉しそうに寝そべっている。買ってきた調味料や食材をキッチンスペースに置き、さっそく夕食の準備に取り掛かる。

今日もコロが狩りをしてきてくれたおかげで肉が食べれる。コロには本当に感謝だな。竈に火をおこしそフライパンを乗せそのうえで肉を焼く。パチパチと油がはじける音とふわりとおいしそうな香りが鼻をくすぐるが今日はこれだけではない。“塩と胡椒”がある!

胡椒は少し値が張ったが美味しい食事をする為の必要経費だ。

肉に塩コショウをすると胡椒の香りと肉の香りが相まって腹の虫が今か今かと悲鳴を上げてくる。

見事に焼き上げた肉を切り出しておいた黒パンで挟む。異世界バーガーの完成!

出来上がった料理をテーブルに乗せ、コロにも準備をする。

支度が済みいよいよ実食!

『いただきます。』

僕は異世界バーガーを一口ほおばった。噛んだ瞬間に胡椒の香りと香辛料の得領であるスパイシーな香りが鼻孔をくすぐり、口の中は肉のうまみであふれている。肉汁もたっぷりで脂のうまみが溜まらないが、黒パンの酸味がアクセントになってとにかくうまい!

僕はあっという間に平らげ一息ついた。

『うまかった…。ごちそうさまでした。』

コロも満足してくれたのかペロリと平らげていた。

ゆっくりとした時間が流れる。たくさんのいい人に囲まれて、美味しい食事があって、そばには心を許せる友人?がいる。

幸せだった。

僕は今後について考える事にした。

冒険者になったからには働いて生活費を稼がなければならない。今の僕は完全にコロの“ヒモ”だ。

明日から僕も冒険者として仕事を受けてみようと考えていた。

その為には武器が必要だ。

幸い今日コロが集めてきてくれた魔晶石が7個ある。これを元手に武器を購入しよう。

それと魔晶石を取り込むことが出来ると言うのもあったな。

これも明日試してみよう。魔晶石を取り込むことによって何か僕に変化があるのだろうか。恐らくデメリットはない…と思いたい。

考えても仕方ない。とりあえずは明日だ。

僕はテーブルをかたずけ寝る準備をする。

ふかふかの寝床に入りコロに話しかける。

『なーコロ。戦闘って怖くないか?』

「はい!怖くありません!ソラ様の為ならどんな相手にも勇敢に立ち向かいます!」

『ははっ、心強いな。けど勝てないと思ったら全力で逃げる事を優先して欲しい。これは絶対だ。』

「わかりました!肝に銘じておきます!」

『ありがとう。もしコロに何かあったら僕はきっと立ち直れなくなってしまうから。』

もう、大切な人との別れを経験したくない。コロに話した言葉は僕の本心だった。

「ソラ様…。わかりました。そのお約束、必ずお守りします。」

『コロはいい子だね。ありがとう。』

コロは嬉しそうに尻尾を振っている。

もう僕は大切な人を無くしたくない。だったら自分が誰かを守れるだけ強くなればいい。

“自分を信じて、強く生きる。”母さんの言葉の意味が分かった気がした。

心地よい時間の流れの中、僕たちは眠りについた。

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