世界に蔑まれた黒の転移者 -拝啓-母さん、僕はこの異世界を滅ぼすことにしました。-

天風緋色

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第一章 理想

第19話 黒い忌み子➁

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僕はギルドに再度訪れた。受付にいるトルテさんの所に向かう。

「ソラさん、どうされたんですか?」

『トルテさん近くに図書館やこの国や世界の歴史がわかる蔵書がある場所ってありますか?』

僕が矢継ぎ早に話したせかトルテさんは少し戸惑いながらも

「それならギルトの2階に書物庫がありますのでそこにあると思いますよ。ちなみに持ち出しは出来ませんよ。」

『構いません』

「それではご自由にご覧ください。」

僕はトルテさんにお礼を言うと急ぎ二階に上った。そして片っ端からこの国の歴史書や光輝教に関する書物を集め読み漁った。3時間は読み続けたであろうか。僕は唖然としていた。

僕のいる世界はフロンティアと言う世界で昔から魔族対人間と亜人で戦争が行われているそうだ。しかも現在進行形で。

そして続く戦乱の中、1人の男が表れる。それが輝きの勇者。劣勢に立たされた人間と亜人族は異世界から勇者を召喚した。神は気に輝き瞳はブルーに輝いていたそうだ。曰く“輝きの勇者”。

輝きの勇者が戦争に参戦すると今度は魔族側が異世界から新たな魔王を召喚した。その風貌は黒髪でダークな瞳、曰く“黒き厄災”それにより魔族と人と亜人族の戦争は均衡を取り戻した。

長い戦いが続き犠牲者が増える中、“輝きの勇者”と“黒き厄災”は休戦協定を結び今に至っているらしい。だが種族間の遺恨は残り今でも一切の交流はないそうだ。

その中で生まれたのが輝きの勇者を崇拝する“光輝教”輝きの勇者がこの世界を去った後、不安に駆られた民をこの宗教がまとめ上げた。この世界に住む人族のほとんどがのこ光輝教の信者だそうだ。

そしてここからが本題だ。光輝教は黒髪や黒い瞳を持つ人々や亜人たちを“異端者”や“忌み子”として魔女狩りを始めたのだ。その詳細も書かれていたが余りにも酷く考えたくもない。

イザールが話していた絶対に人前でフードをとってはいけないという言葉。あのアドバイスを受けていなければ僕は今頃、異端者として拘束されていただろう。

僕は本を閉じ天を仰いだ。静かにゆったりとした生活を送るつもりだった。だが改める必要がある。万が一僕が黒髪である事がバレてしまうとそんな悠長なことは言ってられない。

僕は本を戻しそのままギルドを出た。モンスターを狩っている場合ではない。とりあえずフードを目深に被り今度こそ僕は帰路についた。

村の郊外から森に入っていくとコロがそばに寄ってきた。

「ソラ様、どうされましたか?何かあったのですか?」

僕はこれまでの経緯を簡単に伝えた。

「なるほど。それは困りましたな。」

フードをかぶってやり過ごすのは限界がある。僕はどうすべきか歩きながら考えていた。するとコロが

「新たな従属魔を想像してみてはいかかでしょうか?もしかすれば人型の従属魔も想像できるのでは?」
とコロは言う。

確かにそれは可能かもしれない。僕がコロを想像した時も昔飼っていた犬を考えていた。人物を想像したら人型の従属魔を想像することが出来るかもしれない。試してみる価値はある。

とにかく家に着いたらさっそく試してみることにした。
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