世界に蔑まれた黒の転移者 -拝啓-母さん、僕はこの異世界を滅ぼすことにしました。-

第一章 理想

第２３話 戦闘訓練➁

僕は初めてゴブリンを殺した。
呼吸は荒く心臓は爆発しそうなほど脈打っている。
手についたゴブリンの血を見つめながら唖然としていた僕に

「ソラ様！大丈夫でしたか！？」

サクラのその声で僕は我に返った。そこにコロもやってきた。どうやらもう一匹のゴブリンも仕留めたらしい。

「ああ、大丈夫だよ」

僕はサクラにそう返した。

「ですが腕から血が…」

ゴブリンと揉み合いになった際に引っかかれたであろう傷から血が垂れていた。
「こんな傷たいしたことないよ。それよりゴブリンの注意を引いてくれてありがとう」

と僕がお礼を言うとサクラは困った顔をして

「ですが隠れていろと言うソラ様の命令を破ってしまいました…」

とシュンとしてしまった。僕は精いっぱいの笑顔で
「サクラのおかげで倒すことが出来たんだよ。ありがとうサクラ」

と声をかけた。するとサクラは泣きそうな顔になりながら

「ソラ様のお力になりたくて！それで無我夢中で…！」

とまくし立てるように話すサクラの頭に手を置きもう一度
「ありがとうサクラ。」

と声をかけてあげた。

「ソラ様…ありがとうございます！」
と笑顔で返してくれた。

するとサクラは、手を僕の傷にかざし何やら聞き取れない言葉をつぶやいた。
僕の肩口についていた傷がみるみるふさがっていく。傷は後も残らず綺麗にふさがった。

「サクラ今のは？」

僕が訪ねるとサクラはこう答えた。
「私のギフトの治癒魔法です！」

と答えてくれた。サクラは治癒魔法のギフトをあたえられていたのだ。

「すごいよサクラ！これならもっと戦闘訓練の幅も広がるよ！」
と僕は思わず声を上げた。

「本当ですか？私はソラ様のお役に立てますか？」
と尋ねるサクラに
「もちろん！頼りにしてるよ！」

と僕たちがやり取りをしている間、コロが蚊帳の外でシュンとしていたのは言うまでもない。





【黒木 天】
ステータス
Lｖ４
HP45
力16
魔力30
速さ15
運6
ギフト【従属魔創造Lv２】
スキル：従属魔意思疎通


【コロ】(種族：一角狼)
ステータス
Lv４
HP89
力34
魔力14
速さ41
運16
スキル：疾風,チャージ


【サクラ】(種族：???)
ステータス
HP50
力10
魔力30
速さ12
運15
【ギフト】治癒
スキル:治癒魔法