アゲイン!ー私が当て馬?ふざけないで!逆行した公爵令嬢は2度目の人生は一生に一度の恋を所望するー

支倉りおと

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 予想通り振り向いた先に居たのは、逆行前に私が望んで婚約者になり、ただ愛されたかった愛しい人。

 あのお茶会で出会った時と同じ姿の殿下だった。

 美しく肩まで伸びる金髪と青い瞳。

 王妃様譲りの美しい容貌に若干8歳ながらも既に完成された美がある。

 これだけ美しければ6歳になったばかりのおこちゃまな私が惚れるのはしょうがいないはずだ。

 そんな事を心の中で思っていると、強い視線を感じた。

 視線の先を辿ると、やっぱりその視線は殿下からで今にも私を射殺そうとせんばかりの視線の強さに思わず身を固くさせた。

 そうか……。

 私は既に初対面で殿下に嫌われていたんだね。

 どうして気が付かなかったんだろう。

 舞い上がっていたんだろうな。こんなに綺麗な人を見るの初めてだったもんね。

 所で殿下はこんな所に何の用なんだろう?

 確か私と殿下がはじめて出会ったのはお茶会会場だったはず。

 この池のほとりなんかじゃなかった。

 なんて思っていたら。


「おい、お前なんでここに居るんだ?ここは母上の為に作られた場所だお前みたいなやつが居ていい場所じゃないぞ」

 見目麗しい殿下の口から飛び出した言葉に私は目を見開き一瞬空耳かと疑った。

 私の知る殿下ってこんなに口調が汚かったかしら?と頭を捻っていると。

「なんだ無視するな!」

 言葉を返す事を忘れていた私に真っ赤な顔をし何やら憤慨した様子の殿下が近づいて来ると私の腕を取り引き寄せた。

 突然の事に私は驚くけれど、逆行する前ですらこんなにも近づいたこともなかった私の頭は逆に冷静になる。

 全く触れ合う事がなかったかと言われたら嘘になるけれど、そりゃ婚約者だから長く一緒にいれば義務的にダンスをする事ぐらいあったけれど、それでも殿下は私に必要以上近寄るなんて事はなかったのだ。

 だから殿下からの接触に私の身体は驚いて震えてしまう。

「あ、あの……申し訳ありません。すぐ立ち去りますのでお許しください」

 震える身体をなんとか抑え込み、ペコリと頭を下げ殿下に断りを入れ逃亡を図ろうと少しずつジリジリと後退する。



 怖い。

 何故か処刑前夜に現れた私を見て嬉しそうにする殿下の顔がフラッシュバックする。

 憎悪に満ちた表情からこの世の春のような清々しく嬉しそうに私に処刑を告げたあの人。

 その時の事を思い出すと更に震えが大きくなる。

 そんな私をジッと至近距離で見つめてくる殿下の口から飛び出したのは……。

「お前、タイラーの……いやオクレール公爵の娘のユーリア・オクレールか?」

 え?なぜ殿下が私の名前を知っているの?おもわずコテンと頭を捻る。

 殿下は初対面の時私の名前など興味もなく知らなかったはずだ。

 逆行前との小さな差異に私の心がざわざわする。

 それでも失礼のないようにこの場を立ち去らねばと私はいまだにぼんやりする頭をフル回転させて逃げる算段を考え、殿下に捕まれた手からスルリと抜け出すと殿下に向かいこの歳にしてはしかっかりとしたカテーシーをする。

「はい、オクレール公爵が娘ユーリア・オクレールと申しますお見知りおきを」

 背筋を伸ばし多少引き攣りながらの笑顔を見せそう挨拶をした。

「そうか、お前が……。私はアーサー、アーサー・バシュラールこの国の第一王子だ」 

 少しはにかむような笑顔を見せ私に挨拶をしてくる殿下に私は更に恐怖を募らせる。

 一度死を経験した私にとって目の前にいる殿下は恋心を持つなんてとんでも無く、正直恐怖の対象でしかない。

 前の生で殺したいほど憎まれ、本当に殺された私だ二度とこの人を好きになる事は愚か関わるのすら遠慮したいほどだ。

 早くこの場から離れなくては……そう思い策を講じていると、目の前の殿下がとんでも無い事を口にした。

「俺に比べたら見目も劣るような女だが、家柄だけならこの国1番だから仕方なくだ!仕方なくお前を俺の婚約者にしてやる」

 フンっと大きく鼻を鳴らしながらさも嬉しいだろうとばかりの態度を取る殿下に私は思わずこう言ってしまった。

「いえ、そういうのは結構です。私は殿下よりような女でございます。殿下の隣になど立てるはずはありません。謹んでお断りさせていただきます」

 そう言うと、ニッコリとお得意のアルカイックスマイルを貼り付け殿下を見ると、予想外の反応だったのか、目の前の殿下が口を開けてポカーンと言う音がしそうなほど呆気にとられていた。

「なっ!!この俺がお前を婚約者にしてやるというのに断る?だと?俺の婚約者に選ばれたのだぞ!喜ぶ事はあっても断るなどありえない!!俺の婚約者になれば未来の王太子妃そして王妃、国母に選ばれたも同然なんだぞ。誉れであって断るような話じゃないだろう」

 断るなんてありえないと私に詰め寄るが、正直私の命と国の誉れを比べても私は自分の命が惜しい。



 

 
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