コペンハーゲン

まんまるムーン

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6-5

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「斎藤さん、突然の飲み会ではあったけど、みんな楽しんだからお金なんて返してもらわなくてもいいんだよ。」

小田は申し訳なさそうに花蓮に言った。

「ううん。迷惑かけたんだから、こういうことはキチンとしておきたいの。それに、これは私が戦って勝ち取ってきたお金だから。」

花蓮は鼻を膨らませて勇ましく言った。

「じゃ俺、みんなに返しとくわ。」

小田は花蓮からお金を受け取った。

「なんか…斎藤さん…、変わった?」

「そう? そっかな…。いや、隠れていた本当の私に近づいてきているのかも。」

「ふーん。」

「私、なんだかすごく気持ちがいい。初めて自分のこと守れたって気がする。」

「そっか。なんだかわからないけど、斎藤さんが元気になってよかった。」

小田はコーヒーを飲みながらニコニコした。


 もちろん逃げる方がいい事もあると思う。

 だけど…今迄みたいに、相手に振り回されて傷ついて終わりじゃなくて

 自分が納得できる落としどころにもっていけるようになりたい。


花蓮は自分で自分の人生を作っていこう、という気持ちになった。


「そういえば…、あれからどうなってんの? あの時一緒に消えたでしょ、弘人と…。」

「…それ聞く?」

「…あんまりいい話ではなさそうだね…。聞かない…。」


「中島君は…よくわからない…。はっきり言えるのは、彼は私とは付き合うつもりはないみたい。」

「…俺、長年あいつと友達やってるけど、そこんとこだけ、いまだに謎…。あいつ絶対斎藤さんの事好きだよ!」

花蓮はそういう小田を訝しげに見た。

「でも…もういいんだ。実をいうと、私も中島君の事、高校時代からずっと気になってた。でもやっぱり縁がなかったんだと思う。もう、中島君の事は忘れることにしたの。」

「…まあ、斎藤さんがそう決めたんなら俺は何も言う資格ないしね…。」

「だけどね、私、中島君のおかげで、今やっと自分のこと守れるようになりつつあるんだ。」

「うん。斎藤さん、なんだか強くなったような気がする。」

「でしょ?」

「肝っ玉母ちゃんみたい!」

「やめて!」

二人は笑いあった。




花蓮は自分の事を、平凡で、何の取り柄のない人間だと、ずっと思っていた。

 取り柄が無いんだったら、作ればよくない?

 今、私は自由で、時間もあって、バイトを頑張ればお金だってある。


 何か私にできそうな事…。


 特技は…何もない。
 
 興味あることも、思い浮かばない。

 私は何なんだろう?


 …女で…日本人で…


 そうだ!


 一つ一つ手に入れて、未来の私の武器にするんだ!



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