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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
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しおりを挟む診察が始まったので、私は大輝を廊下に連れ出した。大輝は頭を傾げ、夏子と入れ替わった私の体を何度も何度も振り返りながら廊下に出た。私は自販機でジュースを買ってきて大輝に渡した。
「あのね…さっき少しだけ菜々子と話せたの。事故のショックのせいだと思うんだけど、菜々子の性格がちょっと変わったみたいに感じて…でも、きっと一時的な物だろうからあまり気にしない方がいいと思うよ。」
私は大輝が混乱しないように、全ては事故のせいと前もって言っておいた。体が入れ替わったなんて、きっと理解してもらえないだろうから…。夏子にはお互いの体に戻るまで、私の役をやってもらおう。
「そうですか。事故で記憶喪失になることもあるっていうから、そんな類なのかもしれないですね。でも俺…姉ちゃんが目を覚ましてくれただけで嬉しいです! 俺のせいで姉ちゃん、ずっと苦労ばかりして、それなのにこんな目に遭うなんて!」
大輝は肩を震わせて泣いた。
大輝…そんな事ないっ! お姉ちゃん、大輝がいてくれたから今まで頑張れてこられた。お父さんとお母さんがいなくなっても、あなたがいてくれたから生きてこられたんだよ!
私も涙が出そうになった。
「私もさ、出来るだけ菜々子と大輝君の様子を見に来るから、何か困ったことがあったらいつでも言ってね。」
「ありがとうございます。やっぱり友達って似るんですね。夏子さんって姉ちゃんみたいだ。」
「…そ、そう?」
という事は、大輝に体が入れ替わったこと、正直に話しても大丈夫かな…。いや、やっぱりやめとこう。もう少し様子を見なきゃ。ただでさえしばらく生活が変わって混乱しちゃうんだから…。
医者の診察が終わった後、私は大輝に頼んで、少しだけ夏子と二人きりで話す時間をもらった。
「…どういう事なのよ!」
夏子はギロリと私を睨んで言った。
「私にもよく分からないんだけど、今朝ね、車がぶつかってきて、どうもその時に私たちの体が入れ替わったみたいなの。」
「何であんたの事故で私があんたと入れ替わらなきゃいけないのよ!」
「夏子も事故にあったみたいよ。覚えて無いの?」
「…事故…そういえば…」
夏子は眉間に皺を寄せて考え込んだ。
「こうなってしまった以上しょうがないから、とりあえずお互いの役を演じるようにしない? 入れ替わったなんて言っても誰も信じてくれないだろうし…」
「…わかった。」
夏子は意外にも私の提案をすんなり受け入れてくれた。
「あ、ありがとう。じゃあ、お互いの生活や演じる上での重要事項を共有しよう。」
私たちは自分たちの置かれている境遇や生活、仕事など、大まかに話し合った。細かい事はその都度連絡を取り合って話を聞くことにした。
「ありがとう、夏子。私、あなたとして頑張るから。早く元に戻れるように、解決の糸口も探っていく。」
夏子はチラリと私を見ると、何も言わずに頷いた。私は廊下で待っていてくれた大輝を呼んだ。
「じゃあ、私はこの辺で。菜々子、また連絡するね。大輝君、ありがとうね。」
部屋を出ようとすると、夏子が急に呟いた。
「ちょっと面倒なのが来るかもしれないけど、スルーしといてくれればいいから…。」
「…面倒なの? スルー?」
「いいから、いいから。私、眩暈がしてきたらちょっと寝るわ。」
夏子の言ったことが引っ掛かったけど、あまり長居しては悪いし、夏子の方の生活もおろそかしにしてはいけないと思い、その場を後にした。
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