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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
25 夏子→菜々子
しおりを挟む「若村! デザイン上がってきた?」
「はいっ! 会議室に準備が出来てます。」
私の秘書についた(正確には社長の秘書だが)若村は、意外と小回りのいい使える男だ。私の意図することをすぐに読み取って、先回りして動いてくれる。こんな気が利く人間をPOP制作だけさせておいたなんて、全く呆れてしまう。
一通りすべての部署を見て回ったけど、仕事内容なんて創業当時にマニュアル化されたものをほとんど変えずにそのままやってるだけ。そこに創造性とかオリジナリティーなどは存在しない。そんなの誰がやったって一緒じゃん。
でも…ここの連中ときたら、言われた事しかしたくない指示待ち族ばかり。わざわざ頑張って新しい事をするより、時間が来るまで与えられていることをして、さっさと帰りたいのだろう。まさに自分の人生の時間を会社に切り売りしているのと同じだ。売血ならぬ、売時間だ!
でも、死んだような目をして仕事をしているこいつらの中にも、若村のように、適材適所に置いてやれば素晴らしい活躍をする人間もいるのかもしれない…。
「鈴原さん、社長、どうですか?」
会議室に入ると、その商品ごとのデザイン画が並べられていた。食料品や日用品、化粧品など、商品によってそれに合うバラバラのデザインにしようかとも考えたが、うちのプライベートブランドっていうのを全面的に出したいと思って、細部は違っても統一のあるデザインでオーダーした。全て2パターンずつ用意されている。
「…す、素晴らしい! いいよ、これ! ね? 鈴原さん!」
社長は目を大きく見開いて驚いている。
「社長、これがプロの仕事なんですよ…。ヘタに素人が手を出すもんじゃないの! モチはモチ屋って言うでしょ! わかった!」
「うんうん! そうだね! 鈴原さんの言ってる事、正しいよ! これなら絶対ヒット間違いない! ね? 若村君!」
「僕もいいと思います!」
若村も目をキラキラさせて興奮している。
「あとは会長をどうするかだよね…。」
「…それが一番の難関だよ…」
社長は腕組みして眉間に皺を寄せた。
「とにかく! この企画書とデザインで説き伏せるしかないですよ! 社長! 頑張って!」
私は社長に資料を渡し、肩を叩いた。
「…うん。頑張ってくる!」
社長は鼻息交りに威勢よく出て行った。残された私と若村が話を詰めていると、後ろから視線を感じた。会議室の後ろのドアが少し開いていて、この間女子トイレで菜々子の悪口を言っていた女子社員たちが目を吊り上げて私たちを睨んでいた。そう! 内海、大橋、川田、三上の仲良しトイレガールズだ! 私はズカズカと音を立ててドアの方へ向かった。
「あ~ら、誰かと思ったら、この間私の悪口を言っていた仲良しトイレガールズじゃん! 何の用?」
「ちょ、ちょっと! ト、トイレガールズって何なのよっ!」
女子社員たちは怒りで顔が真っ赤になった。
「口が悪いのは生まれつきなんで…。そんなことよりあんたたち、こんなとこで何さぼってんの? さっさと部署に戻って仕事しなさいよ! 給料もらってんでしょうがっ!」
「はぁ~、呆れて物が言えないわ! あんたがこんなとこでさぼってるから私たちがあんたの仕事をさせられてるのよ! 分かってるのっ? 鈴原さんっ!」
「私の仕事…? どうせ誰にでも出来るような仕事でしょ? あんたたちだけで回ってんならそれでいいじゃん!」
「はぁ~!」
トイレガールズの最年長、川田が怒りのあまり泡を吹いて倒れてしまった。内海は川田を抱えて介抱しつつも私に文句を言っている。
「あ、そうだ。あんたたち、そんなに暇ならさ、ちょっと手伝ってくんない?」
「何で私たちがっ! あんたのせいで忙しいってのに!」
「悪口言ってる暇あるくらいだから退屈してんのかと思った。嫌ならいいよ。せっかく面白い創造的な仕事してもらいたいと思ったのに…。」
トイレガールズたちは引きつりながらも、その魅力的な提案に興味深々のようだった。彼女たちも自分たちの日々の仕事に面白みを感じていないのだ。私は有無を言わさず説明を始めた。
「この商品、今までのうちの商品とは別に、新しいイメージで、今度光ヶ丘店で売り出そうと思ってるの。あそこの住民は、都会から移り住んだ人も多いし、外国の人も多いから、新しい需要が狙えると思ってる。そこで、効果的な売り方を考えてもらいたいの。どう? やってみる?」
女子社員たちはお互い目配せをしてから一斉にこっちを向き、みんな同時に頷いた。
「じゃあ、すぐに取り掛かって! ダサいのは即却下するからね! 誰もが納得するようなアイデア出してよ!」
「はい!」
女子社員たちは引きつりながらも、どこかウキウキしながら部屋を出て行った。
「鈴原さん…すごいリーダーシップですね…。自分の事あれだけ嫌ってた人達を従わせるなんて…。ほんとに人が入れ替わっちゃったみたいだ…。」
若村は頭を傾げて私を見た。無理も無い…。実際、私と菜々子は入れ替わってるのだから…。
それにしても最近のこの充実感と言ったら何? そうよ…。私は元々こういう事がやりたかったのよ。CAの仕事もやりがいはあったけど、何か物足りなさを感じていた。結婚してからは尚之の良き妻になろうと思っていたけど(実際にはなれなかったけどね…)本当は私は夫を支えたいなど思っても無かった。
今、ハッキリと分かった!
私は誰かを支えるような仕事は向いていない!
他の誰でもない、自分の為に結果の出せる仕事をしたかったんだ!
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