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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
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しおりを挟む私は真帆さんをカフェに連れ出した。
「これ…見ていただけますか?」
私は真帆さんの付き合っている男に関する資料を真帆さんの前に出した。
「…これは…」
「そうです。あなたが付き合っている生田裕一郎さんです。一緒に移っているのは奥様と二人の娘さん。幸せな家庭を築いているみたいです…。」
「…そ、そんな筈ないわ。裕一郎は、妻とはずっと前から関係が冷え切っていて仮面夫婦なんだ、今離婚の話を進めているから少しだけ待っていて欲しい、僕が本当に愛しているのは君なんだ、君こそが運命の相手なんだ、必ず君を迎えに行くから! って、そう私に言ってくれたのよ!」
真帆さんは半狂乱で叫んだ。私はさらに次の写真を出した。三人目の赤ちゃんをベビーカーに乗せてそれを押している裕一郎。その横には満たされたような笑顔で二人の娘の手を引く妻。
「夫婦関係は至って円満で、この間待望の三人目のお子さんも生まれたそうです…。」
「…そ…そんな…。」
「信じられませんか? じゃあ、本人から聞いてみましょう。」
「え、どういうこと…?」
しばらくすると、生田裕一郎がやって来た。私はこの日の為に、裕一郎のSNSサイトでやつと交流していのだ。最初は裕一郎を褒めちぎるコメントを書き、それを何度かした後、DMを送った。あなたのファンになりました。よかったら会ってもらえませんか…と。そしてこの夏子のゴージャスな顔で自撮り写真を送り付けた。裕一郎はイチコロだった。是非お会いしたいと、ソッコー返事が来た。…ほんとにバカな男…。
私は立ち上がって笑顔で手を振った。裕一郎はすぐに私に気づいた。私を見るや頬を赤らめ、だらしなく鼻の下を伸ばした。かと思ったら、いきなりキメ顔で髪をかき上げながら私の席にやって来た。
「夏子さんですよね。初めまして、生田です。いやぁ、正直驚きましたぁ~。写真もすごく美人だったけど、こんなにキレイな人だったなんて…。…ん? こちらはお友達の方?」
裕一郎は私と二人で会うつもりでいたので、まさかもう一人来るとは思いもよらなかったようだ。しかもそれが真帆さんだとは…。私は彼に笑顔で答えた。
「私たちの共通の知人をお連れしたんです。」
真帆さんが振り向くと、裕一郎の顔から血の気が引いた。
帰ろうとする裕一郎の前に立ちはだかり行く手を塞いだ。そして私はその資料を裕一郎の前に出した。
「さあ、生田裕一郎さん、本当の事を真帆さんに説明してください!」
「説明って…」
「あなたは真帆さんを騙して貢がせたり奢らせたりしてたでしょ!」
「そ…それは…」
裕一郎は怯えるように真帆さんをチラチラ見た。
「本当の事言わないんだったら、これ奥さんに渡します。」
「うわ~!」
裕一郎は取り乱して資料を引きちぎりだした。これが嫁に渡るとよっぽど困るのか、写真を食べようとしている。なんて下らない男なの!
「いくらあなたが証拠を隠滅したって、こっちにはコピーがいくらでもあるの。」
私はカバンから同じ資料を出して見せた。裕一郎は写真を吐き出して思いっきり私たちを睨んできた。
「お、俺のせいじゃない! 俺はその気も無かったのに、こいつが俺にすり寄って来たんだ! 貢がせたって、勘違いしないでもらいたい! こいつが勝手に物をくれたり奢ってくれたりしただけなんだ。俺の方が被害者なんだ!」
裕一郎は狂ったように叫びまくった。
「ちなみに…こっちもどうぞ!」
私はさらなる資料を裕一郎の前に並べた。
「彼女とも付き合っていましたよね!」
なんと裕一郎は、真帆さんだけではなく、他にも未婚の若い女性とも付き合っていたのだ! 私は数日前、その女性にも会いに行った。
坂井絵美香さんというその女性は、なんと私と同じナビに導かれて洗脳が溶けたというのだ。そして今では素敵な彼氏が出来て、近々結婚予定だと言っていた。彼女も裕一郎に対してかなりの恨みを持っていたので、何でも協力してくれると言ってくれた。
…それにしても…あのナビ…いろんなとこで…人助けしているって事…?
とにかく、絵美香さんのおかげもあって、裕一郎の手口は明らかになった。金づるを一人失った裕一郎は、さらに真帆さんから引き出すために真帆さんにさらに甘い言葉をかけて騙していたのだった。
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