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3.おにぎり
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しおりを挟む翌朝
普段は自分で起きるルリだったが、今朝は時間が過ぎても部屋から出てこない。心配した母親はルリの部屋へ行った。
ルリはベッドの中で布団の中に丸まって寝ていた。顔色も良くない。
―やっぱり具合が良く無いんだわ…
母親は学校に連絡して今日はルリを休ませると伝えた。
その日は朝から雨が降っていて、校舎の中は昼間だというのにどんよりと薄暗かった。
砂原はルリのクラスへ行った。見渡してみたがルリの姿は無かった。同じクラスの女生徒がルリは体調不良で休みだと教えてくれた。
(ルリ、大丈夫? 今日は無理しないでゆっくり休んで!)
砂原はメッセージを送ったが、返信は来なかった。
どんよりと暗い黎明館の展示室に繁充は一人立っていた。
繁充は展示の中をゆっくりと歩いて回った。そして昨日ルリが倒れた千人針の前で立ち止まった。
本来閉まってあるはずのガラスケースは空いていた。
繁充は千人針を手に取ってじっと眺めた。
「…はて…どうしたものか…」
繁充は小さく呟くと、展示室を後にした。
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