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4. デート代は男が払うのか否か
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「○○宅配です。」
砂原が宅配業者を装って言った。
「…玄関前に置いて下さい。」
絵美のかすれるような声がモニターから聞こえてきた。
「冷凍食品なので、置いて行く訳にはいかないので、受け取ってもらえませんか?」
砂原は機転を利かしてそう言った。すると、玄関ドアが少し開いた。その隙に、繁充と砂原は玄関ドアを思いっきり引っ張り開けた。
「キャア」
絵美は叫んだ。二人は構わず中へ入っていった。綾女も二人の後をついて、小さく「お邪魔します」と断って中へ入った。
「どうしたのコレ!?」
綾女は思わず小さく叫んでしまったそれもそのはず、家の中は無茶苦茶に荒らされていた。ダイニングの椅子のいくかは足が折れていて、部屋のドアもけ破られた跡がある。棚に入っていただろう物は床にぶちまけられたように散らばっている。
「泥棒にでも入られたの?」
綾女は絵美に言った。
「…そんなんじゃない…。」
絵美は俯いたまま言った。
「…酷いな…?」
繁充は家の中をキョロキョロと見ながら呟いた。
「もしかしてこの間の彼…?」
綾女は絵美に聞いた。
「この間の彼って?」
状況を知らない砂原は何も考えずにドストレートに言った。
「…それは…その…」
綾女は返答に困った。
「前田さんのストーカーだよ。」
繁充がこれまたドストレートに言った。
―繁充君っ!
綾女はハラハラしながら絵美を覗き見た。
「絵美…そうなの? あの彼が…ここで暴れたの?」
綾女は恐る恐る聞いてみた。
「…みんな…」
絵美は小さく震えていた。
「…大丈夫。」
繁充は絵美の肩をポンポンと叩いて微笑みかけた。
「立川さん! 前田さんを頼むね。」
繁充はそう言うと、絵美を綾女に託した。
「うん、分かった。…って、何なの? 私、全然状況分かってない!」
綾女は絵美の肩を抱きかかえたまま叫んだ。
「じゃあ、俺たちは…」
繁充は砂原に言った。
―おい繁充! 俺たちって…俺も状況全く分かってないぞ!
砂原は思った。
繁充と砂原は二階に登って行った。繁充は廊下の突き当りまでくると立ち止まった。
「おい、繁充! ここにヤツがいるのか? これって危ないんじゃねーか? 警察呼んだ方がいいよ!」
砂原は繁充に囁いた。
「警察が取り合ってくれるとは思えないし…。」
「何で? 実際、前田は監禁されてたんだろ? それって立派な犯罪じゃん!」
「だって…ここにいるの、生霊だから。」
「えっ!?」
砂原の顔から血の気が引いた。
「俺、帰るわ…。霊とか無理…。」
立ち去ろうとする砂原の腕を繁充はガッチリと掴んだ。
「…俺を一人にしないで…」
繁充は情けない顔で砂原にすがりついた。
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