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28 「トラクター王国の話」
しおりを挟む王様は大きな溜息を一つつきました。
「そうか。おまえが罪を償うというのなら、あの兵士の命は助けてやろう。」
「お父様!ありがとうございます!ありがとうございます!」
姫は涙ながらに王に感謝しました。
「姫よ、おまえは帝国に行き、帝国の王子に嫁ぐのだ。」
王は鋭い目で娘に言いました。
姫は自分に降りかかるであろう恐怖に震えたが、兵士を助けるためにその申し出を受け入れました。
「お父様!」
「なんじゃ、姫よ。」
「私は喜んで帝国に嫁いで行きましょう。しかし、最後に一つだけお願いがあります。」
「なんじゃ、申してみい。」
「最後にあの方に会わせてください。」
王はしばらく考えていましたが、姫の最後の望みを受け入れました。
帝国に嫁ぐ日の朝、姫と兵士の面会は許されました。兵士の監禁されている牢獄の重い鍵が開けられ、姫は中へ入っていきました。そこには、拷問を受け変わり果てた兵士がいました。
「おお!なんてこと!私のせいであなたがこんな目に合うなんて!」
姫はさめざめと泣きました。
「姫のせいではありません。どうか泣かないで。」
姫は懐からあるものを取り出しました。
それは四葉のクローバーのキーホルダーでした。
「姫、それは…。」
「私たちはこの世界で結ばれることが許されませんでした。だから私は私の想いをこのキーホルダーの中に閉じ込めたのです。あなたの鍵にこのキーホルダーを付けてください。私はいつもあなたのそばに居ます。」
「姫!」
二台はさめざめと泣きました。
「姫君、お時間です。」
看守がドアを開けて姫に告げた。
「いま、まいる。」
姫は王国の姫君の顔に戻り、毅然として王国の勤めを果たす為に出て行きました。
トラクター兵士は姫のキーホルダーをタイヤの間に握り締め、涙を流しながら姫君を見送りました。
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