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しおりを挟む「ま、確かにねぇ…。私も次付き合うなら絶対パンダ好きの人がいいもの。一緒に世界中のパンダを見に行くのが夢なの、ウフッ。」
パンダ好きの雄タヌキ…現れるといいですね…
ハイボールを飲もうと思ったら、もう空になっていた。女将は絶妙なタイミングでおかわりをくれた。
「…仕事から疲れて帰ってきたら、お疲れ様の言葉の前に自分の仕事の愚痴や友達の悪口…。いかに自分が不幸かを延々と話し出すんですよ…。もう彼女と一緒にいても、そこに癒しは無いと…わかったんです。」
「…そうだったんなら…一緒にいてもお互い不幸になるだけよね…。きっと彼女も自分のやっていることを分かっていたんだろうけど、それを止められなかったのかもね…。」
「…俺が悪かったんスかね…?」
「…もともと相性が悪かったのか…、お互い出会う時期が今じゃなかったのか…」
「別れてからは周りからも非難轟々ですよ! 35の女を捨てたんだから…。ロクデナシとかクズとか責任とれよ!とか、別れるにしても、もっとはやく別れてやれよ! とか、この年で見捨てるなんて人としてあり得ない! とか…」
「…でしょうね…」
「でも女将! 5年かかっちゃったもんはしょうがないでしょ? 俺だって自分の努力で相手が変わるかもしれないと思ったこともあったし、結婚したら変わるのかと思ったこともあったし、それに元カノの年齢を考えたら別れるのはかわいそうって思って、すぐには決断できなかったんですよ。でもやっぱり無理だった。あの元カノとの結婚は考えられない。俺だって幸せな結婚生活をおくる権利あるでしょう? 死ぬまで我慢なんてしたくなかったんですよ!」
俺はつい感情的になって女将に訴えた。何のしがらみのない女将だからこそ、俺のこと間違ってないよ、あんたは悪くないよ、って言ってほしかった。
大勢から悪者にされて元カノから恨まれているのが辛かった。見ず知らずのタヌキ女将に救いを求めていた。
…女将…やけに静かだな…
「…女将…?」
寝てる!
寝てやがる!
タヌキ女将は幸せそうに居眠りをしていた。
寝顔は微笑んでいた。パンダの夢でも見ているのだろうか?
あるいはパンダ好きなイケメン雄タヌキの夢でも見ているのだろうか?
寝顔…可愛いな…
純は…寝顔まで眉間に皺を寄せていたな…
よっぽど俺に対する不満が溜まっていたのかな…
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