小料理 タヌキ屋 2

まんまるムーン

文字の大きさ
4 / 12

4

しおりを挟む


「昔から…俺と付き合う女の子は…おかしくなっちゃうんですよ…」

思い返してみれば、いつも同じパターンだった。もともと家庭的な子が好みだった。そして一緒にいて楽しい子と付き合いたいと思っていた。

付き合ってしばらくは、本当に楽しい日々が続くが、半年くらいたつと女の子たちは変わっていった。皆、一様に不機嫌になるのだ。この間別れた元カノもまさにそうだった。

自分より年下と付き合うことが多かったから幼稚な嫉妬をするのだと思って、次に付き合うのなら、大人の女性と付き合おうと決めていた。そして理想だと思えた三つ年上のその元カノと付き合うことになった時、俺は本当に嬉しかった。やっと出会えた、そう思っていた。

しかし、やはり元カノもそうではなかった。最初の頃は、仕事で遅くなったり友達や会社の飲み会なんかも、笑顔で大人の対応をしてくれていた。やっぱり年上はいいなと思っていた。

だけどそれもつかの間、そのうち飲み会や残業も嫌な顔をするようになり、男友達との約束ですら、だんだんと文句を言うようになった。そしてあろうことか、浮気を疑われるようになった。

そんな風で、何もかもが楽しいと思えなくなっていった。こんなに疑っている彼氏と一緒にいたいと思う元カノの気持ちがわからなくなってきた。

 年齢が年齢だから、結婚を焦っている?
 だけど…自分の目が届かない所にいると浮気をしていると思っているような男と結婚したいか?
 結婚って信頼関係の上に成り立つ物じゃないのか?
 そんなに嫌なら他の男を探せばいいじゃないか!   

正直俺も、彼女と付き合い始めて初めて結婚を意識した。そのつもりで付き合ってきた。だけど結果といえば…スマホにGPSをしこまれた。…俺の中で彼女との結婚は無くなった。

「浮気を疑われるような事したんじゃないの? というか浮気そのものをした…とか…」

「そんなことないですよ! 結婚まで考えてたんだ。そんなバカな事するはずがない! それに俺、そんなにモテないですよ…」

「…でしょうね…」
タヌキ女将は俺の目をじっと見て、深く頷いた。

そこは嘘でも「そんなことないわよ、あなたなかなか魅力あるわよ!」とか言ってくれ!
客商売でしょ!


「俺ね、登山が趣味なんですけど、付き合う前に彼女と趣味の話をしてたら、彼女も登山が趣味って言っていたんですよ。それで話が盛り上がっちゃって、最初の頃はよくデートで登山に行っていたんです。でもだんだん行きたがらなくなって、最近では休みの日っていったら家でゴロゴロテレビ見てるだけ…。最初の頃は家デートの時は凝った料理を作ってくれたりしてたんだけど、それもカップラーメンになって…。今思えば…ほんとは登山も料理も興味無かったのに、俺の気を引きたくて嘘を言ってたのかも…って思えてきちゃって…」

「全く興味無いのに無理して合わせてくれるなんていじらしいじゃない。」

「まぁ…いじらしいと言えばそうかもれしれないけど…。でも結婚を考えている相手だったら、どっちか片方が無理しなくても、お互いがありのままで居心地いいって思える関係じゃないと続かなくないですか? 俺ね、結婚相手には共通の趣味を持っている人がいいと思ってるんですよ。結婚生活って長いでしょ。ずっと一緒にいると空気みたいな存在になってくるっていうし、子供でも出来たらお互いもう男女ではなくてパパとママになっちゃう。愛情も変化するだろうし、もしかしたら最悪無くなるかもしれない。そうなった時、趣味が同じだといい関係を続けていけるような気がするんです。男女を通り越した親友になれるような気がするから。だから…偽って趣味を合わせられていたのって…俺としては完全にナシ…です…。」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

どうぞ添い遂げてください

あんど もあ
ファンタジー
スカーレット・クリムゾン侯爵令嬢は、王立学園の卒業パーティーで婚約もしていない王子から婚約破棄を宣言される。さらには、火山の噴火の生贄になるように命じられ……。 ちょっと残酷な要素があるのでR 15です。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

処理中です...