恩返しにきた鶴……じゃなくて君

仁星まる

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7.開き直ったら、もう怖くはない

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「俺も……その、好きみたい……です」


 なんてチキンな告白なんだ。
 だって、こんな平凡な人生を歩んできた俺が。
 ザ高嶺の花!みたいな鶴さんに、告白だなんて、分不相応で一揆が起きないか!?村人Aが世界中から攻められないか!?

 頭の中でまたもやチキってると、ポカンとした表情の鶴さんが、更に大粒の涙を流し始めた。


「う、うわーーーーーんっ、えぐっ、ほ、本当……ですかっ」

「つ、鶴さん……?」

「まま眞知さん、ぼ、僕のこと、すき、なの?」

「は、はい」


 大号泣で、逃げないでと言っているように両腕を掴まれた。
 その手は小刻みに震えている。


「お、お試しは、お、終わり?」

「は、はい」

「ほほほほ本物の、恋人……です……か?」


 ああ。どうしよう。
 顔も涙でぐちゃぐちゃなのに。
 目の前のこの人が、誰よりも可愛くて、誰よりも──。


「鶴さん、好きです。俺と、本物のお付き合い、してくれませんか」

「はいいいいいっ」


 胸の中に飛び込んできた鶴さんを、おどおどとしながら、そっと抱きしめてみた。

 鶴さんは、こんな俺でもいいって言ってくれた。
 それなら、それでいいんじゃないか。

 うじうじと悩んでいた気持ちは、鶴さんによって吹き飛ばされた。

 開き直ったら、もう怖くはない。


 腕の中にいる人を。
 誰よりも好きだと、胸を張って言えばいいんだから。



 ◆◆◆


「あ、あの……鶴さん……?」

「想いが通じ合ったら、やっぱり、その、進んでみた方がいい、ですよね。だって、眞知さんの元恋人さんたちが知っていて、僕が知らない眞知さんが居るなんて……やっぱり耐えられない」


 思ったよりも、嫉妬深いらしい鶴さんは。
 俺を押し倒して、綺麗な顔で微笑んだ。


「大丈夫。僕、色々調べたんです。ゆっくり眞知さんをほぐすので、安心してください」

「えっ!!俺、そっち側なの!?」


 今まで、タチしかやったことがない、平凡な三十路過ぎのおっさんである。鶴さんがてっきり受け入れる方かと思い込んでいたので、吃驚した声を上げてしまった。

 いや、こんなおっさんに挿入したいとか、そんな欲望湧くはずもないと、そう思っていたのに。


「えっ!?まさか、眞知さん抱かれたことない!?ぼぼ、僕が初めてなんですかっ!!!!」


 俄然、やる気を増幅させてしまった。


「眞知さん!気持ちよくなってくださいね。初めての表情、僕にいっぱい見せてくださいっ」


 俺の尻が狙われている。
 こんな危機感を持ったのは生まれて初めてかもしれない。

 鶴さんは、俺に欲情できるのか?とかいう心配はあっという間に吹き飛ばされて、気づいたら風呂場で洗浄されて。人権はどうなったと頭が真っ白になったところで、これまたおしゃれな寝室のベッドに押し倒されていた。


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