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記憶を無くした青年
5話 魔力暴走 (グレイ視点)
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なんだかレイの様子がおかしい、足元がふらついている。
恐らく今日中には森を抜けれると思うが、レイの体調が良くないなら様子を見て休んだほうがよさそうだ。別に急いでもいないし大丈夫だろう。
歩けば歩くほどレイの足元はおぼつかなくなる。
「おい、大丈夫か?」
返事はなく、急に体が傾いた。
息が荒い、熱もありそうだ。
なぜこんなになるまで気づかなかったのか。恐らく無理をしていたのだろう。病み上がりなのにこの森を一週間歩くのは酷だったのだ。
今日はもうここで休んで様子を見よう。ただの熱なら1~2日で治るだろうからな。
3日たってもレイの体調は良くならなかった。それどころかひどくなってる気もする。
これはただの熱ではないのかもしれない。この3日看病して気づいたのだが、これは魔力暴走ではないだろうか。
初めてレイを見つけた時レイには魔力が一切無かった。この国の人間は皆、大なり小なり魔力を持っている。だからレイは他国の人間なのかもしれないと思っていたのだが、今はあり得ないほどレイの中の魔力量が上がっている。
俺も一応、魔力Sの最高ランクだというのに、それを遥かに上回る量だった。
「おいおい…、魔力の最高ランクはSだろ…?」
この世界で魔力Sを超える魔力量を持った存在なんて魔王くらいしか思いつかない。
「後は…勇者か?」
そういえばこの国は最近、勇者召喚を行ったと噂になっていた。国が公式に発表せずにいる為、実際はどうなのかはわからない。
「でもなんでったってあんな所に記憶をなくした勇者が倒れてたんだ…、魔王討伐にでも行ったんじゃないのか?」
今考えてもわからない為、とりあえず保留にしておこう。まずはこの魔力暴走をどうにかしないといけない。
そういえば昔ギルマスから勇者について教えてもらった気がする。
………「おい、グレイ、勇者召喚って知ってるか?」
「勇者召喚?、なんだそれは。」
「魔法の存在しない別の世界の人間をこの世界に召喚することで、空の器に召喚時に得られる膨大な魔力を入れた人間が召喚できるらしいぞ。」
「そんなのおとぎ話みたいなもんじゃないのか?」
「いや、最近この国で魔王に対抗するために勇者召喚が行われるって噂だぞ。もう何百年も行われてなかったから、半分伝説みたいになっちまってるが、昔は確かにやっていたそうだ。」
「その異世界人は魔法のない世界から来るんだろう?、急にそんな大量の魔力を入れても大丈夫なのか?」
「そこなんだよ、なんとその勇者ってのは空の器にありもしない魔力を大量に入れられるせいで、魔力暴走が十中八九起きるらしい、しかも定期的に。」
「魔力の安定していない魔力S持ちの子供にたまに起きるやつか。俺も小さい頃に経験したよ。」
「そうなんだが、この世界の魔力暴走のように魔力A以上が手でも繋いで魔力を流し込みゃ良いってもんでもないらしい。」
「確かに魔力Sの魔力暴走で、魔力A以上だもんな、…ってことは魔力Sじゃないと無理なのか。」
「あぁ、それに加えてただ手を繋いで魔力を流し込むだけでもダメらしいぞ。なんでったって魔力SSSだからな、…直接体内に入れないと。手っ取り早いのはまぁ、抱いてやることだな!」
………ギルマスがニヤニヤしながら話していた気がする。
「体内に直接って、そういうことだよな…。」
目の前には荒い息遣いで苦しそうにしているレイが横たわっている。その顔は蒸気しており艶めかしい。ほんとなのかどうかはわからんが今は早く楽にしてあげることを優先したほうがいいだろう。
「これは医療行為だ…うん…。」
ゴクリと唾を飲み込む。この状況で役得だと思ってしまうのは仕方ないことだろう。
恐らく今日中には森を抜けれると思うが、レイの体調が良くないなら様子を見て休んだほうがよさそうだ。別に急いでもいないし大丈夫だろう。
歩けば歩くほどレイの足元はおぼつかなくなる。
「おい、大丈夫か?」
返事はなく、急に体が傾いた。
息が荒い、熱もありそうだ。
なぜこんなになるまで気づかなかったのか。恐らく無理をしていたのだろう。病み上がりなのにこの森を一週間歩くのは酷だったのだ。
今日はもうここで休んで様子を見よう。ただの熱なら1~2日で治るだろうからな。
3日たってもレイの体調は良くならなかった。それどころかひどくなってる気もする。
これはただの熱ではないのかもしれない。この3日看病して気づいたのだが、これは魔力暴走ではないだろうか。
初めてレイを見つけた時レイには魔力が一切無かった。この国の人間は皆、大なり小なり魔力を持っている。だからレイは他国の人間なのかもしれないと思っていたのだが、今はあり得ないほどレイの中の魔力量が上がっている。
俺も一応、魔力Sの最高ランクだというのに、それを遥かに上回る量だった。
「おいおい…、魔力の最高ランクはSだろ…?」
この世界で魔力Sを超える魔力量を持った存在なんて魔王くらいしか思いつかない。
「後は…勇者か?」
そういえばこの国は最近、勇者召喚を行ったと噂になっていた。国が公式に発表せずにいる為、実際はどうなのかはわからない。
「でもなんでったってあんな所に記憶をなくした勇者が倒れてたんだ…、魔王討伐にでも行ったんじゃないのか?」
今考えてもわからない為、とりあえず保留にしておこう。まずはこの魔力暴走をどうにかしないといけない。
そういえば昔ギルマスから勇者について教えてもらった気がする。
………「おい、グレイ、勇者召喚って知ってるか?」
「勇者召喚?、なんだそれは。」
「魔法の存在しない別の世界の人間をこの世界に召喚することで、空の器に召喚時に得られる膨大な魔力を入れた人間が召喚できるらしいぞ。」
「そんなのおとぎ話みたいなもんじゃないのか?」
「いや、最近この国で魔王に対抗するために勇者召喚が行われるって噂だぞ。もう何百年も行われてなかったから、半分伝説みたいになっちまってるが、昔は確かにやっていたそうだ。」
「その異世界人は魔法のない世界から来るんだろう?、急にそんな大量の魔力を入れても大丈夫なのか?」
「そこなんだよ、なんとその勇者ってのは空の器にありもしない魔力を大量に入れられるせいで、魔力暴走が十中八九起きるらしい、しかも定期的に。」
「魔力の安定していない魔力S持ちの子供にたまに起きるやつか。俺も小さい頃に経験したよ。」
「そうなんだが、この世界の魔力暴走のように魔力A以上が手でも繋いで魔力を流し込みゃ良いってもんでもないらしい。」
「確かに魔力Sの魔力暴走で、魔力A以上だもんな、…ってことは魔力Sじゃないと無理なのか。」
「あぁ、それに加えてただ手を繋いで魔力を流し込むだけでもダメらしいぞ。なんでったって魔力SSSだからな、…直接体内に入れないと。手っ取り早いのはまぁ、抱いてやることだな!」
………ギルマスがニヤニヤしながら話していた気がする。
「体内に直接って、そういうことだよな…。」
目の前には荒い息遣いで苦しそうにしているレイが横たわっている。その顔は蒸気しており艶めかしい。ほんとなのかどうかはわからんが今は早く楽にしてあげることを優先したほうがいいだろう。
「これは医療行為だ…うん…。」
ゴクリと唾を飲み込む。この状況で役得だと思ってしまうのは仕方ないことだろう。
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