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記憶を無くした青年
8話 これから
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日が沈みかかった頃、村が見えてきた。
村全体を囲むように180センチほどの柵が立てられており、人口は80~100人ほどの小さな村だ。
1番境界の森に近いこの村には冒険者のための宿が多くあり、住民の6割は宿屋をして生計を立てている。
村に入る前にグレイからフード付きのマントを渡され、極力人に髪や瞳を見られないように注意された。
魔族領の近いこの付近では黒髪黒目は魔王の特徴として知られている。自分がついているとはいえ、なるべく隠すように言われた。
村の見張りをしていた男に挨拶をし、グレイが冒険者の身分証のような物を相手に見せる。
「おっ!グレイさんじゃないですか、もう森の調査は終わったんですかい?」
「あぁ、とりあえず終わったよ。今日はこのまま村に泊まって、明日に出発するつもりだ。」
「なるほど。…ん?、その後ろの……嬢ちゃん?は誰ですかい?」
「境界の森に倒れてたんだ、こいつも一緒にギルドに連れてこうと思ってる。身分は俺が保証するよ。あと、こいつは男だ。」
「そりゃあ難儀なことで、、って、坊主だったのか!悪かったな!!」
あっはっはと笑いながら肩をバンバン叩かれた。思わず前屈みになる。力強いなこのおじさん。
「俺って女に見えるのかな、、」
村の入り口を通り過ぎ、宿屋に向かう途中にぽそりと声に出た。
「まぁ、この世界の男どもは魔法師でなけりゃ基本ガタイのいい奴ばっかりだからな。レイは身長も平均よりずいぶん下だし、細身だから見間違えたんじゃないか?」
「それって悪口?」
「…えっ?!違うぞ!そのーーー。」
ぽそりと出てしまった言葉に対してなんの慰めにもならない言葉に少しイラッとする。これでも元の世界ではだいたい平均くらいだったのに。
……?元の世界??
ーーーーー「そっ、それより、、……レイ?大丈夫か??もうすぐそこだ、今日こそ柔らかいベットで寝ようぜ。」
「あ…あぁ、今行く。」
何かを思い出しかけたような気もするが、早く疲れた体を休めたかったので考えを放棄してグレイの元へ足を進めた。
翌朝、すぐに村を出発した。昨日の宿屋は、グレイが1番いい部屋を選んでくれたらしく、小さな村ながら、なかなか設備やサービスが整っていた。久しぶりのベットはやはりとても良い物で、体が嘘のように軽い。
「なぁ、レイ。俺はお前をとりあえずグラティスにあるギルドまで連れて行くつもりだ。そこで冒険者登録をして身分証を発行する。その後俺は首都にあるギルドのギルマスに調査の報告をしなきゃいけないから首都に向かうが、お前はどうしたい?……お前は恐らく勇者だ。だからと言って必ずしもこの国…世界のために、命をかけて戦わなくても良いんだぞ。自分のやりたいことをやれば良い。」
「えっ、、」
そうかグレイは俺を街まで連れてってくれると言っていただけで俺もこの先どうしたいか考えていなかった。
でも、あの夢の映像が思い浮かぶ…。
「ありがとうグレイ。でも、俺は自分が何者で、どこから来たのか知りたいんだ。勇者かどうかはまだよく分からないけど。俺を待ってて、必要としてる人がいるなら力になりたい。できれば俺もその後、首都に一緒について行って良いか?」
「そうか…。勿論だ。これから長旅になるがよろしくな!」
森を抜けてからは村から村への移動を繰り返し、村は首都へ近づくたびに段々と大きくなっていっている気がした。
途中の村に来ていた商団から他国の国民に多い金髪のカツラが売られていたので、変装用にグレイがいくつか買ってくれた。
おかげで外国人としての視線はあるがフードをはずして歩くことができ、久しぶりの爽快感に気分が良かった。
この国の人は明るめの茶髪茶瞳が1番多いので黒い瞳は近くで覗かれない限り、分からないだろうとグレイがいっていたのだ。
「レイ、もうすぐ一つ目の街に着くぞ。」
乗合用の馬車に揺られてグレイにそう告げられる。だんだんと大きく見えてくる街は今までの村とは違い、高く分厚い壁に囲まれており、入り口は鎧を着た男たちが警備していた。
この日は風が気持ちよく、天気も良かったのでフードは一日中外していた。
今思えばこれがよくなかった、安心しきっていたのだ。今まで何一つ問題なくいっていたために…、何も問題は無いと。
村全体を囲むように180センチほどの柵が立てられており、人口は80~100人ほどの小さな村だ。
1番境界の森に近いこの村には冒険者のための宿が多くあり、住民の6割は宿屋をして生計を立てている。
村に入る前にグレイからフード付きのマントを渡され、極力人に髪や瞳を見られないように注意された。
魔族領の近いこの付近では黒髪黒目は魔王の特徴として知られている。自分がついているとはいえ、なるべく隠すように言われた。
村の見張りをしていた男に挨拶をし、グレイが冒険者の身分証のような物を相手に見せる。
「おっ!グレイさんじゃないですか、もう森の調査は終わったんですかい?」
「あぁ、とりあえず終わったよ。今日はこのまま村に泊まって、明日に出発するつもりだ。」
「なるほど。…ん?、その後ろの……嬢ちゃん?は誰ですかい?」
「境界の森に倒れてたんだ、こいつも一緒にギルドに連れてこうと思ってる。身分は俺が保証するよ。あと、こいつは男だ。」
「そりゃあ難儀なことで、、って、坊主だったのか!悪かったな!!」
あっはっはと笑いながら肩をバンバン叩かれた。思わず前屈みになる。力強いなこのおじさん。
「俺って女に見えるのかな、、」
村の入り口を通り過ぎ、宿屋に向かう途中にぽそりと声に出た。
「まぁ、この世界の男どもは魔法師でなけりゃ基本ガタイのいい奴ばっかりだからな。レイは身長も平均よりずいぶん下だし、細身だから見間違えたんじゃないか?」
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「…えっ?!違うぞ!そのーーー。」
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翌朝、すぐに村を出発した。昨日の宿屋は、グレイが1番いい部屋を選んでくれたらしく、小さな村ながら、なかなか設備やサービスが整っていた。久しぶりのベットはやはりとても良い物で、体が嘘のように軽い。
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「えっ、、」
そうかグレイは俺を街まで連れてってくれると言っていただけで俺もこの先どうしたいか考えていなかった。
でも、あの夢の映像が思い浮かぶ…。
「ありがとうグレイ。でも、俺は自分が何者で、どこから来たのか知りたいんだ。勇者かどうかはまだよく分からないけど。俺を待ってて、必要としてる人がいるなら力になりたい。できれば俺もその後、首都に一緒について行って良いか?」
「そうか…。勿論だ。これから長旅になるがよろしくな!」
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おかげで外国人としての視線はあるがフードをはずして歩くことができ、久しぶりの爽快感に気分が良かった。
この国の人は明るめの茶髪茶瞳が1番多いので黒い瞳は近くで覗かれない限り、分からないだろうとグレイがいっていたのだ。
「レイ、もうすぐ一つ目の街に着くぞ。」
乗合用の馬車に揺られてグレイにそう告げられる。だんだんと大きく見えてくる街は今までの村とは違い、高く分厚い壁に囲まれており、入り口は鎧を着た男たちが警備していた。
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