ミスリード役のワガママ小物王女は、ひねくれた不憫系ラスボスを懐柔したい

いずみ

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これまでの私

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私ことガーネット・ブルーレースは、常にこの世界の中心だった。
 父は広大で豊かな国を統べる王アレキサンドライト・ブルーレース。母は流行病により早逝したが『傾国の美姫』として他国にも轟くほどの美しさで、幸運にも私と弟であるデマントイドはその美貌を受け継ぎ、なんの不自由もなく愛情を注がれて育った。

 目一杯に甘やかされて育った私は常に自分のことだけで頭がいっぱいで、気の弱い弟の存在はいないも同然であり、大して関わることもなく過ごしてきた。

 私が十一才の時に王家とも縁の深いジルコニア公爵家であるアダマス・ジルコニアが成人し、私の婚約者として両家が国をあげて正式に発表された。
 その時に祝福として打ち上がった大きな花火は、これまで見てきたどんな宝石よりもとても綺麗で、人生で一番誇らしい気持ちになれた瞬間だった。

 それから五年の歳月が流れ、私は十六歳となり自他共に認める程に美しく成長した。

 ただ、私の身長が平均よりも少し低いのが唯一のコンプレックスで、この事が原因で舐められるのは耐えられなかった。
 少しでも大人ぽく見えるように高いヒールの靴を履いたり、魅惑的な匂いのする高級な香水を振りかけたり、わざと胸元の空いた服を着たりして、愚かな事に見た目にばかり注視してしまっていたのだ。

 成人を迎えデビューも果たし、いよいよ結婚式の話が出てきたちょうどその年に、アダマスが騎士団長として就任が決まってしまい、正式な結婚が二年先に伸ばされて行われることになってしまった。
 この国で騎士職と言えば昔から魔獣や他国からの侵略にも勇敢に立ち向かう姿が英雄視されていて、王族にも引けを取らない栄誉ある職業として認知されてるので、私も渋々だったが承諾したのだ。

(私の夫となる男だもの。私と同じ位の地位がないと嫌だと思っていたの)

 彼が団長として着任して更に二年の月日が経って"来年には盛大な結婚式が催されるだろう"と、周囲も、もちろん私も期待していた。

 そろそろデザイナーに結婚式のドレスの依頼しようかという矢先に、私は十年前にお母様の命を奪った憎き病に罹患してしまったのだ。

 高熱に魘され、激しい頭痛に苦しみ、三日三晩生死の境を彷徨って、ようやく目を覚ました私は、この世の理を知るという天啓を授かった。

 ──そう。ここは、前世の私がやりこんでいたBLゲーム【エンゲージリング★ジュエル】の世界なんだという、前世の記憶を呼び覚ましたのだ。
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