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コークスの緊張
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今宵のダンスパーティは、父は会場を貸し出すのみで関与していないという。
ブルーレースは"宝石の国"と呼ばれるだけあり、ホール全体を照らすシャンデリアや調度品は見事なものだ。
巨大なシャンデリアの乱反射した光が熱気を帯びたホール内をさらに煌びやかに照らす。
通常のダンスパーティとは異なり、デビューしたての若い人達は少ない。
ここにいるほとんどが、すでに当主として爵位を叙爵しているか、王族と少なからず血縁関係がある高位貴族のどちらかで、比較的年齢層が高い。
ゆったりと音楽に乗りながらダンスに興じたり、商談を交わしていたり、時には道ならざる恋に身を投じたりしている。
私とコークスが会場に到着すると出席を管理している文官からホールに響くように高らかに名前が呼ばれた。その瞬間に、会場からの視線が一気に私達に降り注ぐ。
不躾に上から下まで値踏みするような視線は、決して気分のいいものではない。
しかし、私以上にこの視線に緊迫してる人がいた。
「……ジルコニア卿、大丈夫ですか?」
「な、何がですか? 特に問題ありません」
二人にしかわからない程度に声を落として、明らかに緊張してガチガチになっているコークスを見やった。
皆は認識阻害の眼鏡やコークスの堂々とした振る舞いに騙されてしまうのだろうが、至近距離で腕を借りている私からはコークスの動揺が痛いほど伝わってくる。
「少し震えているようですが」
「──、ッッ! そ、そんな事……」
「嘘です」
「……っ、貴女という人は……っ!」
きっと本当は顔を真っ赤にして怒っているところだろう。ここ三ヶ月でコークスの事を少しは理解してきている。
「必要以上に緊張する事はありませんよ。皆、“ワガママな私に付き合わされた哀れな婚約者の弟”として、貴方を見ているはずですので」
「……」
悪意を持たれていても、まぁ仕方ない。前世を思い出す前までは、確かに良い王女ではなかったから。
手始めに、このパーティの主催であるオブディシアン公爵夫妻の元へと挨拶に向かう。叔母はコークスと私を順番に下から上に舐め回すように見て、扇で口元を隠しながら「ごゆっくり」と声をかけてくれた。
ブルーレースは"宝石の国"と呼ばれるだけあり、ホール全体を照らすシャンデリアや調度品は見事なものだ。
巨大なシャンデリアの乱反射した光が熱気を帯びたホール内をさらに煌びやかに照らす。
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ここにいるほとんどが、すでに当主として爵位を叙爵しているか、王族と少なからず血縁関係がある高位貴族のどちらかで、比較的年齢層が高い。
ゆったりと音楽に乗りながらダンスに興じたり、商談を交わしていたり、時には道ならざる恋に身を投じたりしている。
私とコークスが会場に到着すると出席を管理している文官からホールに響くように高らかに名前が呼ばれた。その瞬間に、会場からの視線が一気に私達に降り注ぐ。
不躾に上から下まで値踏みするような視線は、決して気分のいいものではない。
しかし、私以上にこの視線に緊迫してる人がいた。
「……ジルコニア卿、大丈夫ですか?」
「な、何がですか? 特に問題ありません」
二人にしかわからない程度に声を落として、明らかに緊張してガチガチになっているコークスを見やった。
皆は認識阻害の眼鏡やコークスの堂々とした振る舞いに騙されてしまうのだろうが、至近距離で腕を借りている私からはコークスの動揺が痛いほど伝わってくる。
「少し震えているようですが」
「──、ッッ! そ、そんな事……」
「嘘です」
「……っ、貴女という人は……っ!」
きっと本当は顔を真っ赤にして怒っているところだろう。ここ三ヶ月でコークスの事を少しは理解してきている。
「必要以上に緊張する事はありませんよ。皆、“ワガママな私に付き合わされた哀れな婚約者の弟”として、貴方を見ているはずですので」
「……」
悪意を持たれていても、まぁ仕方ない。前世を思い出す前までは、確かに良い王女ではなかったから。
手始めに、このパーティの主催であるオブディシアン公爵夫妻の元へと挨拶に向かう。叔母はコークスと私を順番に下から上に舐め回すように見て、扇で口元を隠しながら「ごゆっくり」と声をかけてくれた。
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