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ころちゃん視点 フェルディナントの邪魔をしようと心に誓いました
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「アーレンツ、俺は父からはそうは聞いていないぞ」
フェルディナントの否定する声がした。
俺は光の漏れている隙間から覗いた。
中にはフェルデイナントと少し小太りの匂いのきつい葉巻を吸っている男がいた。
確かこの男はサウス帝国の大使だったと思う。
「そうでしたか? 似たようなお言葉だったと思いますが」
大使が不審そうにフェルディナントを見た。
「ふんっ、俺が聞いたのはこのモルガン王国で有力者と親しくなって出来れば婚姻に持ち込めとのことだった」
「この国で一番力のあるのは宰相のヘルブラント・レーネン殿ではございませんか。その宰相の娘のアレイダ殿と殿下が婚約されるのが一番陛下のお心を満たすと思いますが」
アーレンツ大使の言うことは、むかつくことにその通りだった。この国では王家よりも宰相の方が力を持っている。
「ふん、力を持っていると言ってもそれは宰相の妻がノース帝国皇帝の妾の娘だからだ」
フェルディナントが嫌そうに言った。
「まあ、それもございましょう。しかし、宰相の家が、元々代々宰相を務める家柄で力があったのは事実です。ノース帝国との繋がりでさらなる力を掴んだのは事実ですが、それ以前からこの国では一番有力な貴族ですよ」
大使はフェルディナントに反論した。
「しかし、あのアレイダはわがままだぞ。それにあの母親はなんだ? 教養のかけらもないではないか。あの女を義母上と呼ばなければいけない俺の身にもなれ」
「しかし、ですな、殿下。私はこの婚姻の準備に一年かけているのですぞ。その私の努力を無視してカーラ王女に近寄られるのはどうなのです。この王家はもう保ちますまいと思われますぞ」
俺は大使に殴りかかりそうになった。なんと言うことをいうのだ。
「何を言うのだ。アーレンツ。我がサウス帝国が後ろにつけば良いではないか」
「殿下こそ、何を言われるのです。ノース帝国と喧嘩をするというのですか?」
フエルディナントの言葉に大使は驚いてフェルディナントを見た。
「喧嘩とな、アーレンツ、何をふざけたことを申しているのだ。我が国とノースはいつもいがみ合っているではないか」
「それはさようでございますが……」
大使は途端に歯切れが悪くなった。
「例えここで、俺が宰相家に婿に入ったとしよう。それで我が国の利点は何がある?」
フェルディナントは大使を見て聞いていた。
「このモルガンの権益の一部に食い込めます」
「何を言っているのだ。ほとんどノース帝国の関係者に既に抑えられているではないか。我々サウス帝国は体よく使われて権益はほとんどないのだぞ」
「それはやってみねば判りますまい」
「ふん、貴様は何年ノース帝国のやり方を見ているのだ。ノースの権益など中々ノースの連中は手放すわけはなかろう」
フェルディナントは言い切った。おそらくこのことはフェルディナントの言うことが正しい。あのアレイダのむかつく母も自国のノース帝国の権益を守る方に力を入れるだろう。
「しかし、なら殿下はどうなさるのです?」
サウス帝国の大使は逆に聞いていた。
「俺はカーラに婚姻の申し込みをするつもりだ」
フェルディナントの言葉に俺はむっとした。
「そのような。沈み行く船に乗り込むのですか?」
大使の言葉にも頭にきた。確かにこの国は宰相が力を持っているが、まだやりようはあると思うのだ。
「何を言っているのだ。サウス帝国の後ろ盾があればなんとでもなろう。カーラはまだ王女なのだ。この国唯一の王位継承権者でもある。婚姻して宰相一派を追い出してみろ。権益は全てサウス帝国の物になる。これほど父を喜ばせることがあるか。なおかつ、生まれた子供はサウス帝国の嫡孫なのだ。ノース帝国の血は全く含んでいないのだ。宰相からクーデターを起こさせるよりも確実に国の実権は握れる。それにカーラの方があの煩い母親がついているアレイダよりも余程御しやすいぞ」
フエルディナントの声に俺はいきり立った。
なんて奴だ。カーラを道具にしか見てやがらない。俺はこのフェルディナントがつくづく嫌いになった。
「それにあのカーラは可愛いのだ」
なんか不気味な笑みまで浮かべていやがる。
俺は出来たら飛び出してフェルディナントを殴りたかった。
しかし、今飛び出すことは出来ない。
俺は我慢することにしたのだ。
「しかし、殿下。婚姻できる見込みはあるのですか? その動きを察知したらノース帝国が何か仕掛けてくるのではありますまいか」
大使が懸念事項を述べだした。
「だから、どちらにもいい顔をしておくのだ」
「そう簡単にいきますか?」
「少なくとも俺は明日カーラに呼ばれている。そこで次のデートの申し込みをするつもりだ」
「アレイダが何か察知しませんか」
「単にたまたま出会ったとでもいっておけば良かろう。それよりも早急に父の了解を取ってくれ」
「まあ、お話はしてみますが、陛下はどうお考えになるかは判りませぬぞ」
「俺の言う方が我が帝国には利があるのだ。おそらく父は俺の言うことに賛成するはずだ」
「判りました。すぐに帝国に帰って陛下のご意向を確認します。殿下はくれぐれもどちらにも動けるようにしておいてくださいよ」
「任せておけ。アレイダにも良い顔をしておくよ」
フェルディナントは笑ってくれたのだ。
なんて奴だ。最低な奴だ。カーラとうまくいかなかったにしても、その時はこいつはアレイダに乗り換えるつもりなのだ。
こいつだけはカーラを任せる訳にはいかない。
俺は絶対にこいつとカーラの仲を邪魔しようと心に誓ったのだ。
フェルディナントの否定する声がした。
俺は光の漏れている隙間から覗いた。
中にはフェルデイナントと少し小太りの匂いのきつい葉巻を吸っている男がいた。
確かこの男はサウス帝国の大使だったと思う。
「そうでしたか? 似たようなお言葉だったと思いますが」
大使が不審そうにフェルディナントを見た。
「ふんっ、俺が聞いたのはこのモルガン王国で有力者と親しくなって出来れば婚姻に持ち込めとのことだった」
「この国で一番力のあるのは宰相のヘルブラント・レーネン殿ではございませんか。その宰相の娘のアレイダ殿と殿下が婚約されるのが一番陛下のお心を満たすと思いますが」
アーレンツ大使の言うことは、むかつくことにその通りだった。この国では王家よりも宰相の方が力を持っている。
「ふん、力を持っていると言ってもそれは宰相の妻がノース帝国皇帝の妾の娘だからだ」
フェルディナントが嫌そうに言った。
「まあ、それもございましょう。しかし、宰相の家が、元々代々宰相を務める家柄で力があったのは事実です。ノース帝国との繋がりでさらなる力を掴んだのは事実ですが、それ以前からこの国では一番有力な貴族ですよ」
大使はフェルディナントに反論した。
「しかし、あのアレイダはわがままだぞ。それにあの母親はなんだ? 教養のかけらもないではないか。あの女を義母上と呼ばなければいけない俺の身にもなれ」
「しかし、ですな、殿下。私はこの婚姻の準備に一年かけているのですぞ。その私の努力を無視してカーラ王女に近寄られるのはどうなのです。この王家はもう保ちますまいと思われますぞ」
俺は大使に殴りかかりそうになった。なんと言うことをいうのだ。
「何を言うのだ。アーレンツ。我がサウス帝国が後ろにつけば良いではないか」
「殿下こそ、何を言われるのです。ノース帝国と喧嘩をするというのですか?」
フエルディナントの言葉に大使は驚いてフェルディナントを見た。
「喧嘩とな、アーレンツ、何をふざけたことを申しているのだ。我が国とノースはいつもいがみ合っているではないか」
「それはさようでございますが……」
大使は途端に歯切れが悪くなった。
「例えここで、俺が宰相家に婿に入ったとしよう。それで我が国の利点は何がある?」
フェルディナントは大使を見て聞いていた。
「このモルガンの権益の一部に食い込めます」
「何を言っているのだ。ほとんどノース帝国の関係者に既に抑えられているではないか。我々サウス帝国は体よく使われて権益はほとんどないのだぞ」
「それはやってみねば判りますまい」
「ふん、貴様は何年ノース帝国のやり方を見ているのだ。ノースの権益など中々ノースの連中は手放すわけはなかろう」
フェルディナントは言い切った。おそらくこのことはフェルディナントの言うことが正しい。あのアレイダのむかつく母も自国のノース帝国の権益を守る方に力を入れるだろう。
「しかし、なら殿下はどうなさるのです?」
サウス帝国の大使は逆に聞いていた。
「俺はカーラに婚姻の申し込みをするつもりだ」
フェルディナントの言葉に俺はむっとした。
「そのような。沈み行く船に乗り込むのですか?」
大使の言葉にも頭にきた。確かにこの国は宰相が力を持っているが、まだやりようはあると思うのだ。
「何を言っているのだ。サウス帝国の後ろ盾があればなんとでもなろう。カーラはまだ王女なのだ。この国唯一の王位継承権者でもある。婚姻して宰相一派を追い出してみろ。権益は全てサウス帝国の物になる。これほど父を喜ばせることがあるか。なおかつ、生まれた子供はサウス帝国の嫡孫なのだ。ノース帝国の血は全く含んでいないのだ。宰相からクーデターを起こさせるよりも確実に国の実権は握れる。それにカーラの方があの煩い母親がついているアレイダよりも余程御しやすいぞ」
フエルディナントの声に俺はいきり立った。
なんて奴だ。カーラを道具にしか見てやがらない。俺はこのフェルディナントがつくづく嫌いになった。
「それにあのカーラは可愛いのだ」
なんか不気味な笑みまで浮かべていやがる。
俺は出来たら飛び出してフェルディナントを殴りたかった。
しかし、今飛び出すことは出来ない。
俺は我慢することにしたのだ。
「しかし、殿下。婚姻できる見込みはあるのですか? その動きを察知したらノース帝国が何か仕掛けてくるのではありますまいか」
大使が懸念事項を述べだした。
「だから、どちらにもいい顔をしておくのだ」
「そう簡単にいきますか?」
「少なくとも俺は明日カーラに呼ばれている。そこで次のデートの申し込みをするつもりだ」
「アレイダが何か察知しませんか」
「単にたまたま出会ったとでもいっておけば良かろう。それよりも早急に父の了解を取ってくれ」
「まあ、お話はしてみますが、陛下はどうお考えになるかは判りませぬぞ」
「俺の言う方が我が帝国には利があるのだ。おそらく父は俺の言うことに賛成するはずだ」
「判りました。すぐに帝国に帰って陛下のご意向を確認します。殿下はくれぐれもどちらにも動けるようにしておいてくださいよ」
「任せておけ。アレイダにも良い顔をしておくよ」
フェルディナントは笑ってくれたのだ。
なんて奴だ。最低な奴だ。カーラとうまくいかなかったにしても、その時はこいつはアレイダに乗り換えるつもりなのだ。
こいつだけはカーラを任せる訳にはいかない。
俺は絶対にこいつとカーラの仲を邪魔しようと心に誓ったのだ。
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