38 / 444
第二章 大国での失恋
王宮舞踏会2 クリスは大国皇太子と踊ります
しおりを挟む
挨拶がある程度終わると楽団が音楽を奏でだした。
「クリス。一曲御手合せ願いますか。」
オーウェンが手を差し出す。
皇太子と最初に踊るのが良いのかと若干クリスは戸惑ったが、オーウェンの熱い視線の前に屈した。
「喜んで」
クリスはオーウェンから差し出された手に自分の手を差し出す。
オーウェンはクリスの手を引いて中央へ乗り出す。
そして音楽とともに踊り出した。
「クリス、君と踊るのは二度目だね。」
「ええ、前回はありがとうございました。一番つらい時に助けて頂いて」
クリスは優雅にステップを切る。
それにオーウェンは合わせる。
クリスはいつもエドと踊る時は楽しくなんてなかった。
昔は楽しかったかもしれないけれど、いつの間にか義務になっていた。
踊る最中で話すなんてこともほとんど無かった。
でも今は違う。
目の前には暖かいオーウェンの瞳があった。
思わず下を見る。
でも、この視線前にも受けた。この前の舞踏会もそうだけどもっと昔。
誰かと踊った記憶があった。
練習したいって言って。
黒髪の男の子と…
「ごめんなさい。忘れていて。昔練習に付き合って頂けましたよね」
「あっやっと思い出してくれた。」
嬉しそうにオーウェンは言った。
「そう、その時は何回も足を踏まれたけど。」
「エドとやったら踏み合いになって喧嘩になってしまって
でも、オウはやさしくて。何回踏んでも笑ってくれてた。」
クリスはオーウェンの瞳を見た。
「そう、その頃に比べると格段にうまくなったね。」
オーウェンもクリスの青い瞳を見る。
「もう、昔の事は言わないで。恥ずかしいですから」
クリスが恥ずかしがっていう。
「でも、残念。そのクリスがうまくなっていく過程をずうっと見ていられなかったから」
「そんな事してたら今頃足が痣だらけになっていたかも」
「そうしたらいつまでもその事でからかえて面白かったかも。」
「まあ、そんな意地悪おっしゃられて」
クリスはきっとオーウェンを睨みつける。
それを笑ってオーウェンは流した。
クリスはオーウェンと踊れて楽しかった。
息もぴったり合っている。
二人は妖精の舞踏のように優雅に舞った。
余りの優雅さに多くの人は踊るのを止めて二人を見ていた。
「是非ともずうっと僕は君と踊っていたい。」
いつの間にかオーウェンがリードしつつクリスの目を見て言った。
クリスは微妙に首を振る。
クリスも踊るのは楽しかった。
オーウェンは自分に合わせて踊ってくれる。
でも、自分は婚約破棄をされたところ。
ドラフォードなんて大国の皇太子の横に立つ資格なんてない。
そして、自分はこの国に来て、やるべきことがあった。
世話になったオーウェンにも借りは返さなくては。
シンデレラの楽しい時間は終わったのだ。
「皇太子殿下。ここまでエスコートありがとうございました。
ここからは皇太子のお仕事にお戻りください。」
曲が終わろうとする前に、クリスが言った。
「しかし、クリス」
「私もここからは仕事がありますので。皇太子殿下もたくさんのご令嬢がお待ちですわ」
そう言って笑うとオーウェンを狙う女性の輪の中でオーウェンと別れる。
オーウェンはあっという間に令嬢方に囲まれてしまった。
オーウェンにも皇太子としての仕事を少しはしてもらわないと。
胸が痛まないかというとそんなことは無かったが、
クリスにはジャルカから与えられたミッションがあった。
「クリス。一曲御手合せ願いますか。」
オーウェンが手を差し出す。
皇太子と最初に踊るのが良いのかと若干クリスは戸惑ったが、オーウェンの熱い視線の前に屈した。
「喜んで」
クリスはオーウェンから差し出された手に自分の手を差し出す。
オーウェンはクリスの手を引いて中央へ乗り出す。
そして音楽とともに踊り出した。
「クリス、君と踊るのは二度目だね。」
「ええ、前回はありがとうございました。一番つらい時に助けて頂いて」
クリスは優雅にステップを切る。
それにオーウェンは合わせる。
クリスはいつもエドと踊る時は楽しくなんてなかった。
昔は楽しかったかもしれないけれど、いつの間にか義務になっていた。
踊る最中で話すなんてこともほとんど無かった。
でも今は違う。
目の前には暖かいオーウェンの瞳があった。
思わず下を見る。
でも、この視線前にも受けた。この前の舞踏会もそうだけどもっと昔。
誰かと踊った記憶があった。
練習したいって言って。
黒髪の男の子と…
「ごめんなさい。忘れていて。昔練習に付き合って頂けましたよね」
「あっやっと思い出してくれた。」
嬉しそうにオーウェンは言った。
「そう、その時は何回も足を踏まれたけど。」
「エドとやったら踏み合いになって喧嘩になってしまって
でも、オウはやさしくて。何回踏んでも笑ってくれてた。」
クリスはオーウェンの瞳を見た。
「そう、その頃に比べると格段にうまくなったね。」
オーウェンもクリスの青い瞳を見る。
「もう、昔の事は言わないで。恥ずかしいですから」
クリスが恥ずかしがっていう。
「でも、残念。そのクリスがうまくなっていく過程をずうっと見ていられなかったから」
「そんな事してたら今頃足が痣だらけになっていたかも」
「そうしたらいつまでもその事でからかえて面白かったかも。」
「まあ、そんな意地悪おっしゃられて」
クリスはきっとオーウェンを睨みつける。
それを笑ってオーウェンは流した。
クリスはオーウェンと踊れて楽しかった。
息もぴったり合っている。
二人は妖精の舞踏のように優雅に舞った。
余りの優雅さに多くの人は踊るのを止めて二人を見ていた。
「是非ともずうっと僕は君と踊っていたい。」
いつの間にかオーウェンがリードしつつクリスの目を見て言った。
クリスは微妙に首を振る。
クリスも踊るのは楽しかった。
オーウェンは自分に合わせて踊ってくれる。
でも、自分は婚約破棄をされたところ。
ドラフォードなんて大国の皇太子の横に立つ資格なんてない。
そして、自分はこの国に来て、やるべきことがあった。
世話になったオーウェンにも借りは返さなくては。
シンデレラの楽しい時間は終わったのだ。
「皇太子殿下。ここまでエスコートありがとうございました。
ここからは皇太子のお仕事にお戻りください。」
曲が終わろうとする前に、クリスが言った。
「しかし、クリス」
「私もここからは仕事がありますので。皇太子殿下もたくさんのご令嬢がお待ちですわ」
そう言って笑うとオーウェンを狙う女性の輪の中でオーウェンと別れる。
オーウェンはあっという間に令嬢方に囲まれてしまった。
オーウェンにも皇太子としての仕事を少しはしてもらわないと。
胸が痛まないかというとそんなことは無かったが、
クリスにはジャルカから与えられたミッションがあった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,442
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる