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第二章 ノルディン帝国の侵攻

ノザレ退却戦5 戦神シャラザール来臨しました

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追撃戦を行っていたアレクは遠くで巨大な魔力を感じた。
「何だ。誰がやったんだ?」
その魔力の大きさはそんじょそこらのものとは違った。その魔力の規模は下手したらアレクよりも上だと思わせるものだった。
確認するために慌ててアレクはその爆心地に向けて転移して向かった。


クリスの魔力の暴走は凄まじかった。
巨大な雷撃の後が長さ2キロ最大幅500メートルという巨大な爪痕を残していた。

何とか生き残ったノルディン軍の兵士が遠巻きにしながらゆっくりと接近する。
周りの木々は倒され、地面はえぐり取られていた。
その中心地には魔力を暴走させたショックで倒れ込んでいるクリスがいた。

「なんだ。この女がやったのか」
ニマエフはおっかなびっくりでやって来て倒れているのが少女なのに驚いた。
「魔力暴走して気絶してますぜ」
「ふんっ。もう魔力も残っていまい。多くの仲間がこいつのせいで殺された。仲間の仇を取らせてもらおう」
ニマエフがニヤリと笑った。
「魔力無効手錠を嵌めろ。そして素っ裸にしてかわいがってやるぜ」
「ふんっ可愛い顔して、恐ろしいやつだな」
「俺らのでヒイヒイ言わせてやるぜ」
下卑た笑いで男達は近づいた。

それを転移して現れたアレクは遠くから見ていた。

アレクは戦場での規律にうるさかった。イネッサの事があるので、女を犯したら即処刑だった。
それは他師団でも躊躇なく行って来ていた。アレクの師団は元より、他師団にもその話は伝わっていた。ただし、第2師団の面々は師団長がマクシム王子だということで甘く見ていた。いくら赤い死神でも残虐王子には遠慮するだろうと。しかし、アレクは伊達に赤い死神と呼ばれているわけはなかった。残虐王だろうがなんだろうが、関係無かった。

ノルディンの兵士でそのような蛮行を行う奴らには死しか無い。アレクはにやけた笑みを浮かべている男達を一瞬で消滅させようとした。
しかし、アレクが男達を消し去ろうとする前に、男達は爆裂魔法で弾き飛ばされていた。
アレクの前に立っていた、少年兵が攻撃したのだ。よく見るとそれは第14王子のボリスだった。

12歳の第14王子のボリスは今回が初陣だった。母は平民なので、それほど魔力が強いわけでも剣技が優れているわけでもなかった。元々この要塞に派遣されていた関係で、駆り出されたのだ。
彼はノルディンの王子の中では珍しく、頭が良かった。将来的には魔道具を開発したかった。そして、野蛮なものは嫌いだった。目の前の可憐な女の子が、汚らしい男達に汚されるのは許せなかった。
思わず魔術で男達を殺してしまったが、ボリスは後悔はしなかった。
ノルディンの恥晒し共は死ねばいい。

そして、金髪で色の白い女の子に駆け寄る。
「おい、大丈夫?」
ボリスは女の子を揺すったが、女の子はびくともしなかった。
仕方無しに、気づけ薬を取り出すと、きれいで整った女の子の顔に寄せる。
そして、それはアルコール系だった。
いざという時はクリスに酒を飲ませろとジャルカがグリフィズに指示していたが、グリフィズは完全にクリスを見失っていた。マーマレードに取ってその事は大ピンチだった。グリフイズは生き残るのに精一杯で、クリスのことなどもう一顧だにしていなかった。コリンはクリスの為に命をかけたのに、諜報部員が最終兵器を見失うなど、下手したら処刑ものだった。
しかし、そのグリフィズの代わりをボリスがやってくれた。何も考えずに。
その結果、

ダンッ

一瞬にてあたりの音がやんだ。
そして、シャラザールの封印が解けた。

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ついにシャラザール来臨です。
敵のアレクはどうするのか。
絶体絶命のピンチです。
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