70 / 120
公爵家には挨拶だけのつもりだったのにそのまま週末の逗留が決まってしまいました
しおりを挟む
私は今まで辛かったことを大叔母様やエルザさんに話して慰められた後、そろそろ暗くなってきたのでお暇しようとした。
「クラウディアさん。明日は土曜日で学園は休みでしょう。今日と明日は我が家で泊まっていきなさい」
と大叔母様に言われたのだ。
「いえ、そんな、滅層もない」
私は断ろうとした。
「何を遠慮しているの。あなたは元々このライゼマン公爵家の人間なんだから、遠慮なんてする必要はないわ」
大叔母様に言われた。
「でも、私のお祖母様は、先代様から勘当されたのでは?」
「何言っているのよ。そんなの口先だけよ。エルザのお義父様に遠慮して大っぴらにはしなかったけれど、男爵家になったおいシュタット家には我が家から毎年援助もしていたのよ。でも、あなた全然もらっていないんでしょ」
「おそらく」
大叔母様に言われても私には判らなかった。私の衣装はメイド服かお古で、まともな衣装なんて無かったし、領地の運営に回されたのかもしれないけれど……
「本当に信じられないわ」
「これもちゃんと見ていなかったオイゲンのせいね」
「それじゃあ衣装もほとんどないんでしょ」
「あら、ルードはクラウディアさんの衣装を作らなかったの?」
大叔母様はルードを見たけれど、
「そんなのこの子に言っても無駄よ。その点はエーリックと一緒でからきしだめなんだから。お父様もそうでしょ」
「いや、母上、私も少しは衣装を揃えましたよ」
「よく言うわ。ルードが用意したのって平民の着る既製品の少し高級なものでしょ」
「まあ、ライゼマン公爵家の者がそれではだめだわ。すぐにドレス工房の者を呼ばないと」
「私の工房のものも呼ぶわ」
「でも、明日すぐに来てくれるかしら」
「私とお母様が呼べばすぐに来るわよ。こなければ他の店にすれば良いんだし」
「それもそうね」
私の意思を無視して、大叔母様達は勝手に決めてくれるんだけど……
「カトリナ。客室にクラウディアさんを案内して。それと私の学生の頃の衣装があるはずだからとりあえず、クラウディアさんに合いそうなのを2、3他の侍女に指示して持ってこさせて」
「判りました」
カトリナと呼ばれた侍女が他の侍女に指示した後、私は断るまもなく客室に案内されたのだ。
その客室はとても広くて立派だった。
真ん中に天蓋付きの高級なベッドまである。
中はトイレや広いお風呂まであって私はびっくりした。
これじゃ完全に王侯貴族だ。
まあ、ここは帝国の公爵家だからオイシュタット男爵家とは比べようもなかったけれど……
部屋を一通り見せてもらったらエルザ様の昔使っていた衣装が届いた。
ちょっと胸のあたりが涼しいんだけど……
なんとか着れるものがあったので、それをカトリナに手伝ってもらって来た。
「ではクラウディア様。食事になったらお迎えに上がりますので、それまでこの部屋でおくつろぎください」
そう言うとカトリナは部屋から出ていったのだ。
一人で部屋に残された私はこの急激な変化に戸惑っていた。
とりあえずくつろぐって何をしたら良いか判らなかったが、ベッドがどんな感じだろうと上に寝転んでみると本当に布団はふかふかだった。
「本当に、夢みたい」
私はそう言うと今日起こったことを思い出していたら、いつの間にか眠っていたみたいだ。
なんか、息が苦しいとハッとして起きると鼻をつままれていた。
「やっと起きたな」
私の眼の前にはルードの整った顔があった。
「ルード!」
私は一瞬真っ赤になった。
ルードに寝顔を見られた事がとても恥ずかしかったのだ。
「えっ、ここは?」
一瞬私はどこにいるか判らなかった。
「ライゼマン公爵家だ」
「あっ」
そうだった。この客間に案内されて、寝てしまったのだ。
私は慌てて飛び起きた。
「ルード坊ちゃま。私が起こすと申し上げましたのに、さっさとお入りになって! 淑女の鼻をつまむなんて、なんということですか?」
その後ろには怒った顔のカトリナさんがいた。
「あっ、あなたルードの侍女のカトリナなの!」
私は思い出した。そう言えば私の家に滞在していた時のルードの侍女がこのカトリナだった。
カトリナにはルードに虐められた時に良く叱ってもらっていたのだ。
「そうですよ。クラウディアお嬢様。良く覚えて頂けていましたね。本当にルード坊ちゃまと来たら相変わらずなんですから。淑女の鼻をつまむとは何事ですか!」
「良いじゃないか。カトリナ。今日は母上とお祖母様に取られてほとんどクラウの相手ができていないんだから」
ルードがすねていってくれた。
「まあまあ、ルード坊ちゃまは昔からクラウディアお嬢様のことが好きですからね」
「えっ?」
私はその言葉に一瞬固まった。
好きってどういうことだろう?
「うん、クラウはからかうと面白いからな」
そうか、やっぱり私はルードのおもちゃなのか?
私はムッとした。
「はいはい、恥ずかしがり屋のルード坊ちゃまは相変わらずですね」
なんか生暖かい目でカトリナさんはルードと私を見てくれるんだけど……
「そんなんじゃないからな」
そう言うルードが少し赤くなっのは気の所為だろうか?
「これからクラウディアお嬢様は少し支度がありますので、坊ちゃまは外でお待ち下さい」
そう言うとカトリナは強引にルードを外に連れ出してくれたのだった。
「クラウディアさん。明日は土曜日で学園は休みでしょう。今日と明日は我が家で泊まっていきなさい」
と大叔母様に言われたのだ。
「いえ、そんな、滅層もない」
私は断ろうとした。
「何を遠慮しているの。あなたは元々このライゼマン公爵家の人間なんだから、遠慮なんてする必要はないわ」
大叔母様に言われた。
「でも、私のお祖母様は、先代様から勘当されたのでは?」
「何言っているのよ。そんなの口先だけよ。エルザのお義父様に遠慮して大っぴらにはしなかったけれど、男爵家になったおいシュタット家には我が家から毎年援助もしていたのよ。でも、あなた全然もらっていないんでしょ」
「おそらく」
大叔母様に言われても私には判らなかった。私の衣装はメイド服かお古で、まともな衣装なんて無かったし、領地の運営に回されたのかもしれないけれど……
「本当に信じられないわ」
「これもちゃんと見ていなかったオイゲンのせいね」
「それじゃあ衣装もほとんどないんでしょ」
「あら、ルードはクラウディアさんの衣装を作らなかったの?」
大叔母様はルードを見たけれど、
「そんなのこの子に言っても無駄よ。その点はエーリックと一緒でからきしだめなんだから。お父様もそうでしょ」
「いや、母上、私も少しは衣装を揃えましたよ」
「よく言うわ。ルードが用意したのって平民の着る既製品の少し高級なものでしょ」
「まあ、ライゼマン公爵家の者がそれではだめだわ。すぐにドレス工房の者を呼ばないと」
「私の工房のものも呼ぶわ」
「でも、明日すぐに来てくれるかしら」
「私とお母様が呼べばすぐに来るわよ。こなければ他の店にすれば良いんだし」
「それもそうね」
私の意思を無視して、大叔母様達は勝手に決めてくれるんだけど……
「カトリナ。客室にクラウディアさんを案内して。それと私の学生の頃の衣装があるはずだからとりあえず、クラウディアさんに合いそうなのを2、3他の侍女に指示して持ってこさせて」
「判りました」
カトリナと呼ばれた侍女が他の侍女に指示した後、私は断るまもなく客室に案内されたのだ。
その客室はとても広くて立派だった。
真ん中に天蓋付きの高級なベッドまである。
中はトイレや広いお風呂まであって私はびっくりした。
これじゃ完全に王侯貴族だ。
まあ、ここは帝国の公爵家だからオイシュタット男爵家とは比べようもなかったけれど……
部屋を一通り見せてもらったらエルザ様の昔使っていた衣装が届いた。
ちょっと胸のあたりが涼しいんだけど……
なんとか着れるものがあったので、それをカトリナに手伝ってもらって来た。
「ではクラウディア様。食事になったらお迎えに上がりますので、それまでこの部屋でおくつろぎください」
そう言うとカトリナは部屋から出ていったのだ。
一人で部屋に残された私はこの急激な変化に戸惑っていた。
とりあえずくつろぐって何をしたら良いか判らなかったが、ベッドがどんな感じだろうと上に寝転んでみると本当に布団はふかふかだった。
「本当に、夢みたい」
私はそう言うと今日起こったことを思い出していたら、いつの間にか眠っていたみたいだ。
なんか、息が苦しいとハッとして起きると鼻をつままれていた。
「やっと起きたな」
私の眼の前にはルードの整った顔があった。
「ルード!」
私は一瞬真っ赤になった。
ルードに寝顔を見られた事がとても恥ずかしかったのだ。
「えっ、ここは?」
一瞬私はどこにいるか判らなかった。
「ライゼマン公爵家だ」
「あっ」
そうだった。この客間に案内されて、寝てしまったのだ。
私は慌てて飛び起きた。
「ルード坊ちゃま。私が起こすと申し上げましたのに、さっさとお入りになって! 淑女の鼻をつまむなんて、なんということですか?」
その後ろには怒った顔のカトリナさんがいた。
「あっ、あなたルードの侍女のカトリナなの!」
私は思い出した。そう言えば私の家に滞在していた時のルードの侍女がこのカトリナだった。
カトリナにはルードに虐められた時に良く叱ってもらっていたのだ。
「そうですよ。クラウディアお嬢様。良く覚えて頂けていましたね。本当にルード坊ちゃまと来たら相変わらずなんですから。淑女の鼻をつまむとは何事ですか!」
「良いじゃないか。カトリナ。今日は母上とお祖母様に取られてほとんどクラウの相手ができていないんだから」
ルードがすねていってくれた。
「まあまあ、ルード坊ちゃまは昔からクラウディアお嬢様のことが好きですからね」
「えっ?」
私はその言葉に一瞬固まった。
好きってどういうことだろう?
「うん、クラウはからかうと面白いからな」
そうか、やっぱり私はルードのおもちゃなのか?
私はムッとした。
「はいはい、恥ずかしがり屋のルード坊ちゃまは相変わらずですね」
なんか生暖かい目でカトリナさんはルードと私を見てくれるんだけど……
「そんなんじゃないからな」
そう言うルードが少し赤くなっのは気の所為だろうか?
「これからクラウディアお嬢様は少し支度がありますので、坊ちゃまは外でお待ち下さい」
そう言うとカトリナは強引にルードを外に連れ出してくれたのだった。
100
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる