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第三部 ルートン王国交換留学編
ソニアをなぐさめていたら、アルメリアの海賊船団が攻めてきました
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パシンッ
「何言っているのよ。この腐れ外道!」
私は叫ぶ前に王太子を張り倒していた。
口よりも先に手が出るといつもジェドに言われているんだけど、今回は私は悪くないと思う。
私に張り倒された王太子が無事なわけは無くて、三年A組の方へ飛んで行った。
グレースとピンク頭を巻き込んでドミノ倒しを起こしているみたいだけど、アドみたいに校舎の壁に突きささなかっただけましだ。でも、これで大国の王太子を二人も張り倒したことになるんだけど……また、後でフェリシー先生に何か言われそう。
そもそも公衆の面前で婚約破棄する王太子も許せなければ、その原因を私にもってくるのも許せなかった。人を婚約破棄の理由にするんじゃないわよ!
そもそも私にはアドっていう婚約者がいるのだ。その私を勝手に婚約者にするな!
被害者のソニアはどこ?
探すと涙にくれて後ろも振り返らずに走っていく、ソニアの後ろ姿が見えた。
「ソニア!」
私は慌ててソニアを追いかける。
「ヴァン、後はやっておいて!」
「えっ、ちょっと義姉上……」
なにか文句を言っている来賓で呼ばれていたヴァンに丸投げした。ヴァンならばきちんとまとめてくれるだろう。
それよりもソニアだ。
「ちょっとフラン様」
私は前に現れたダミアンを私の行動を邪魔すると一瞬で敵認定した。
「退きなさい」
切れている私の前に出てくるなんて、一学期の騎士長以来だ。騎士長は脳震盪で気絶したんだけど。こいつも本当に馬鹿だ。瞬時に弾き飛ばした!
「貴様、良くもソニアを泣かしたな!」
そう言って私の前に飛び出してきたのはソニアの兄だ。
でも、ゴメン、気付いた時には弾き飛ばしていた。
近衛騎士たちが、私を捕まえようとするけど、怒り狂った私の前に出てくるなんて、いきなり車の前に飛び出すのと同じだ。
申し訳ないけれど、これも弾き飛ばしたのだ。
今の最優先はソニアを捕まえることだ。
私は追いかけた。
海岸に出ると、ソニアは海岸の砂浜で力尽きて身を投げ出して、泣いていた。
さて、どうやって慰めよう?
飛んできたけれど、慰めの言葉もすぐには出てこない。
でも、いつまでも見ていても埒は開かない。
「ソニア、大丈夫?」
私は思い切って声をかけたのだ。
「ふ、フランソワーズ様」
ソニアは驚いて私を見た。
「だ、大丈夫?」
私はそうとしか聞けなかった。本当にこういう時にボキャブラリが無い。どう言って慰めて良いか判らなかった。
「も、申し訳ありません。あなた様には海賊に襲われた時に助けられたのに、身分を偽ってお礼も言えずに」
「そんなのは良いのよ。言えない理由が合ったんでしょう。ごめんなさいね。私鈍くて、ちょっと変装されただけで、すぐに見分けがつかなくなるのよ。本来は私があなただって判って、私からからあなたに声をかけてあげたら良かったのに」
私は素直に謝った。
「いえ、フランソワーズ様に言わなかった私が悪いんです。殿下が最近あまり話してくれなくて、海賊に攫われたって知れたら、貞操を疑われて婚約破棄されたら困るって思って言えなかったんです。本当に申し訳ありません」
「ソニアさん。そんなので婚約破棄されるくらいならば、こっちから婚約破棄してやればよかったのに」
私は言い切ったのだ。
「いや、でも」
「ちょっとフラン、あなたの基準を他の人に当てはめるのは止めなさいって。ソニア様が困っているじゃない。」
何故か後ろからメラニーが出てきたのだ。
「ええええ! そうかな?」
「当たり前でしょ。どこの世界に他国の王太子を張り倒せる公爵令嬢がいるのよ」
「悪い事したら張り倒されるのは当然よ。私なんて、悪いこともしていないのに、5歳の時に、母に魔の森に放り込まれたのよ」
私がムッとして言うと、
「はいはい、そこで逃げようとしたドラゴンを張り倒して家来にしたんだっけ?」
何かどうでもいい事のようにメラニーが言ってくれるんだけど。ちょっとその言い方はないんじゃない!
「何言っているのよ。5歳でドラゴンなんて無理よ。私はフェンリルに助けてもらっただけで」
「フェンリルって巨大な狼の魔物でしょ。普通大人でも家来にするのは無理よ。何したのよ。張り倒したの?」
「あんたね。私はその時、まだ5歳だったのよ」
「でも、今の王太子より強かったでしょ」
「そんな事無いわよ。私に向かって吠えてきたから、めって注意しただけよ」
「ちょっと待ってよ。魔物がめって注意して言う事聞くわけ無いでしょ」
「だって聞いたもん」
「余程あなたの声が怖かったんじゃない」
「なわけ無いでしょ」
私はメラニーに反論した。
「ねっ、ソニア様。今の聞いてもわかるように、フランの常識は世間の非常識だから参考にしてはいけないわよ」
でも、メラニーは私の方は見もしないで今度はソニアにとんでもないことを言うんだけど。
「ちょっと、メラニー、それどう言うことよ!」
「えっ、事実だけど」
何かめちゃくちゃムカつく。
「あのう、一つお伺いしたいんですけど、殿下をフランソワーズ様が張り倒されたんですか」
やっとソニアが言ってきたのがそこだ。ソニアは私が張り倒した時にはもう、走り出していたのだ。
「だって、私のせいでソニアを婚約破棄するなんてあり得る? そもそも、私にはアドっていう婚約者がいるのよ。勝手に人を婚約者に持ってこようとするなっていうの」
「ソニア様が聞いているのはあんたが王太子殿下を張り倒したことよ。普通は不敬罪で処刑よ」
「ふんっ、ソニアさんに、あんな公の場で婚約破棄して私に乗り換えようなんてハレンチ男は当然の罰よ」
私は言い切ったのだ。
「まあ、フランは自国の王太子もしょっちゅう張り倒しているから」
メラニーがまたとんでもないことを言い出すんだけど。
「ええええ! そうだったっけ?」
私は明後日の方を見た。
「少なくとも私は二回以上見た記憶があるんだけど」
「そんなわけは無いはずよ」
私はしらばっくれた。そんなはずはないはずだ。
「ソニア様、聞きました? フランは婚約者を何回張り倒したかも覚えきれないくらい張り倒しているんですよ。基本的に常識人のルートン王国王太子殿下が耐えられるわけないんです」
「何よその言い方。私がしょっちゅうアドを張り倒しているみたいじゃない?」
「事実でしょ」
メラニーが言い切るんだけど。そんな訳は……ないはずだ……
ジリリリリーーーーー!
その時だ。
王宮から非常警報のような巨大な音が響き出したんだけど。
「えっ、どうしたの?」
私はキョトンとした。
「ちょっと、フラン、沖合に船が沢山見えない?」
メラニーが悲鳴を上げた。
「えっ、本当だ」
夕闇の迫る中、大船団が現れたのだった。
「カラン、カラン、カラン」
鐘が大きくなりだした。
「海賊船だ」
騎士たちが叫びだした。
そう、海賊旗を掲げた大船団が沖合に現れたのだ。
*******************************************************
海賊襲来、どうするフラン?
続きは今夜更新予定です。
「何言っているのよ。この腐れ外道!」
私は叫ぶ前に王太子を張り倒していた。
口よりも先に手が出るといつもジェドに言われているんだけど、今回は私は悪くないと思う。
私に張り倒された王太子が無事なわけは無くて、三年A組の方へ飛んで行った。
グレースとピンク頭を巻き込んでドミノ倒しを起こしているみたいだけど、アドみたいに校舎の壁に突きささなかっただけましだ。でも、これで大国の王太子を二人も張り倒したことになるんだけど……また、後でフェリシー先生に何か言われそう。
そもそも公衆の面前で婚約破棄する王太子も許せなければ、その原因を私にもってくるのも許せなかった。人を婚約破棄の理由にするんじゃないわよ!
そもそも私にはアドっていう婚約者がいるのだ。その私を勝手に婚約者にするな!
被害者のソニアはどこ?
探すと涙にくれて後ろも振り返らずに走っていく、ソニアの後ろ姿が見えた。
「ソニア!」
私は慌ててソニアを追いかける。
「ヴァン、後はやっておいて!」
「えっ、ちょっと義姉上……」
なにか文句を言っている来賓で呼ばれていたヴァンに丸投げした。ヴァンならばきちんとまとめてくれるだろう。
それよりもソニアだ。
「ちょっとフラン様」
私は前に現れたダミアンを私の行動を邪魔すると一瞬で敵認定した。
「退きなさい」
切れている私の前に出てくるなんて、一学期の騎士長以来だ。騎士長は脳震盪で気絶したんだけど。こいつも本当に馬鹿だ。瞬時に弾き飛ばした!
「貴様、良くもソニアを泣かしたな!」
そう言って私の前に飛び出してきたのはソニアの兄だ。
でも、ゴメン、気付いた時には弾き飛ばしていた。
近衛騎士たちが、私を捕まえようとするけど、怒り狂った私の前に出てくるなんて、いきなり車の前に飛び出すのと同じだ。
申し訳ないけれど、これも弾き飛ばしたのだ。
今の最優先はソニアを捕まえることだ。
私は追いかけた。
海岸に出ると、ソニアは海岸の砂浜で力尽きて身を投げ出して、泣いていた。
さて、どうやって慰めよう?
飛んできたけれど、慰めの言葉もすぐには出てこない。
でも、いつまでも見ていても埒は開かない。
「ソニア、大丈夫?」
私は思い切って声をかけたのだ。
「ふ、フランソワーズ様」
ソニアは驚いて私を見た。
「だ、大丈夫?」
私はそうとしか聞けなかった。本当にこういう時にボキャブラリが無い。どう言って慰めて良いか判らなかった。
「も、申し訳ありません。あなた様には海賊に襲われた時に助けられたのに、身分を偽ってお礼も言えずに」
「そんなのは良いのよ。言えない理由が合ったんでしょう。ごめんなさいね。私鈍くて、ちょっと変装されただけで、すぐに見分けがつかなくなるのよ。本来は私があなただって判って、私からからあなたに声をかけてあげたら良かったのに」
私は素直に謝った。
「いえ、フランソワーズ様に言わなかった私が悪いんです。殿下が最近あまり話してくれなくて、海賊に攫われたって知れたら、貞操を疑われて婚約破棄されたら困るって思って言えなかったんです。本当に申し訳ありません」
「ソニアさん。そんなので婚約破棄されるくらいならば、こっちから婚約破棄してやればよかったのに」
私は言い切ったのだ。
「いや、でも」
「ちょっとフラン、あなたの基準を他の人に当てはめるのは止めなさいって。ソニア様が困っているじゃない。」
何故か後ろからメラニーが出てきたのだ。
「ええええ! そうかな?」
「当たり前でしょ。どこの世界に他国の王太子を張り倒せる公爵令嬢がいるのよ」
「悪い事したら張り倒されるのは当然よ。私なんて、悪いこともしていないのに、5歳の時に、母に魔の森に放り込まれたのよ」
私がムッとして言うと、
「はいはい、そこで逃げようとしたドラゴンを張り倒して家来にしたんだっけ?」
何かどうでもいい事のようにメラニーが言ってくれるんだけど。ちょっとその言い方はないんじゃない!
「何言っているのよ。5歳でドラゴンなんて無理よ。私はフェンリルに助けてもらっただけで」
「フェンリルって巨大な狼の魔物でしょ。普通大人でも家来にするのは無理よ。何したのよ。張り倒したの?」
「あんたね。私はその時、まだ5歳だったのよ」
「でも、今の王太子より強かったでしょ」
「そんな事無いわよ。私に向かって吠えてきたから、めって注意しただけよ」
「ちょっと待ってよ。魔物がめって注意して言う事聞くわけ無いでしょ」
「だって聞いたもん」
「余程あなたの声が怖かったんじゃない」
「なわけ無いでしょ」
私はメラニーに反論した。
「ねっ、ソニア様。今の聞いてもわかるように、フランの常識は世間の非常識だから参考にしてはいけないわよ」
でも、メラニーは私の方は見もしないで今度はソニアにとんでもないことを言うんだけど。
「ちょっと、メラニー、それどう言うことよ!」
「えっ、事実だけど」
何かめちゃくちゃムカつく。
「あのう、一つお伺いしたいんですけど、殿下をフランソワーズ様が張り倒されたんですか」
やっとソニアが言ってきたのがそこだ。ソニアは私が張り倒した時にはもう、走り出していたのだ。
「だって、私のせいでソニアを婚約破棄するなんてあり得る? そもそも、私にはアドっていう婚約者がいるのよ。勝手に人を婚約者に持ってこようとするなっていうの」
「ソニア様が聞いているのはあんたが王太子殿下を張り倒したことよ。普通は不敬罪で処刑よ」
「ふんっ、ソニアさんに、あんな公の場で婚約破棄して私に乗り換えようなんてハレンチ男は当然の罰よ」
私は言い切ったのだ。
「まあ、フランは自国の王太子もしょっちゅう張り倒しているから」
メラニーがまたとんでもないことを言い出すんだけど。
「ええええ! そうだったっけ?」
私は明後日の方を見た。
「少なくとも私は二回以上見た記憶があるんだけど」
「そんなわけは無いはずよ」
私はしらばっくれた。そんなはずはないはずだ。
「ソニア様、聞きました? フランは婚約者を何回張り倒したかも覚えきれないくらい張り倒しているんですよ。基本的に常識人のルートン王国王太子殿下が耐えられるわけないんです」
「何よその言い方。私がしょっちゅうアドを張り倒しているみたいじゃない?」
「事実でしょ」
メラニーが言い切るんだけど。そんな訳は……ないはずだ……
ジリリリリーーーーー!
その時だ。
王宮から非常警報のような巨大な音が響き出したんだけど。
「えっ、どうしたの?」
私はキョトンとした。
「ちょっと、フラン、沖合に船が沢山見えない?」
メラニーが悲鳴を上げた。
「えっ、本当だ」
夕闇の迫る中、大船団が現れたのだった。
「カラン、カラン、カラン」
鐘が大きくなりだした。
「海賊船だ」
騎士たちが叫びだした。
そう、海賊旗を掲げた大船団が沖合に現れたのだ。
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海賊襲来、どうするフラン?
続きは今夜更新予定です。
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