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カートと皆におしゃれさせられてお出かけしました

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その週末の日曜日、私はカートとの約束のチョコパフェを奢ってもらうことにしたのだ。
ベッキーとエイミーにその話が知られると、土曜日には二人で街の服屋に連れて行かれた。
ああでもない、こうでもないと言う二人に着せかえ人形のように服を色々着せ替えさせられて、結局水色のワンピースとピンクのブラウスに白のスカートを買わされたのだ。

「こんなんじゃ、汚れるの気にしてポーション作れないじゃない」
と文句をいうと、

「その時はこのダサいジャージに着替えればいいでしょ」
「だ、ダサいとは何よ。このジャージにはいろんな加護がかけられていて買ったらとても高いんだから」
ベッキーに反論するとベッキーが白い目で見てきた。

「グチグチグチグチうるさいわね。たまには女の子らしい服装しなさい。カートとデートなんでしょ」

「えっ、で、デートじゃないよ。パフェおごってもらうだけだし」
私が真っ赤になって言うと

「男と女が二人で行くんでしょ。それをデートと言わずになんて言うのよ」
ベッキーの言葉に撃沈してしまった。

うーん、本当にデートなんだろうか。カートにとって私は妹分みたいなもんだし・・・・



で、丈の短い白いスカートはスースーして嫌だったので、丈の長いこの水色のワンピースにしたのだ。
これでも、足元がすーすーする。

私が校門の横で足元を気にして待っていると

「おまたせ!」
外からカートが声をかけてきた。

「あれっ、カート、なんで外から」
寮からでてくると思ったのに。

「・・・・」
私の言葉にカートの返事がない。

「どうしたの?」
私がカートを見ると何故か赤くなっていた。

「いや、そんな服も持っていたんだって」
驚いてカートが言った。

「カートとお出かけするって言ったら、ベッキーとエイミーに服屋に連れて行かれて買わされたの。似合う?」
私はカートの前でぐるっと一周した。

カートが固まっていた。

「えっ、そんなに似合わない?」
そうよね。こんなかわいい女の子が着るような服、私には似合わないよね。

「いや、違う、ちょっと驚いただけで」
「そう?普段着のスカートって慣れないのよね」
そう言いつつ、スカートの裾を少し持ち上げてみる。

「やめろ、足を出すな」
カートが慌てて注意してきた。

通っていく生徒たちが私達を白い目で見て行く。


「行くぞ」
カートは私の手を握ってずんずん歩き出した。

「カート、足速い!」
私が文句をいうと、

「あ、ゴメンゴメン」
慌ててカートは脚の歩みを緩めた。

「そんなにこの服、変だったら着替えてくるよ」
「いや、違う。あまりにも可愛くて」
「えっ」
その言葉に私は固まってしまった。

真っ赤になる。

可愛いなんてカートの口から初めて聞いた。

可愛いか・・・・私はベッキーらに心の底から感謝した。

私がカートを見るとカートが目を泳がせた。

「えっ、カート本当にそう思っている?」
私が少し不機嫌に言う。

「思っているって。ただ、見慣れなくて」
なんかカートが赤くなっている。

うーん、本当にそう思っているのだろうか?

ま、良いか。

単純な私はあっさりと機嫌を直してカートに手を引かれて歩き出した。そう言えば手をつないで歩くなんて初めてかも。私は恥ずかしいような嬉しいような気がして少し赤くなった。

黙って歩くカートにひかれて付いていく。

今日のカフェは王都の貴族街の中にあるそうだ。学園の前の三叉路を王城の方に向かって歩き出す。道を文房具屋や制服屋の前を通り過ぎると、すぐに貴族の邸宅が現われた。

「うわ~~~。大きい」
私は思わず声が出た。
王都のタウンハウスは領地のに比べると基本は小さいはずだが、それでもこれはでかい。
幅だけで200メートルはあるだろうか。

「これは、アボット公爵の邸宅だ」
「ああ、茶色い毛一本の公爵様の家ね」
私がそう言うとカートが吹き出した。

「違う、それは前公爵。気さくな人だったんだが、3年前に亡くなってる。変なことで覚えているなよな」
カートが訂正したついでに文句を言ってきた。私のおかげで色んな人を見る度に笑うのを我慢するのが大変だったそうだ。でも、平民の私達がそんなにたくさんのお貴族様に会うことがあるのかと不思議に思って聞いたら、アルバイトでパーティーのヘルプをやらされることがあってその時に会ったのだとか。

「まあ、私はあんまり会う機会はないけど」
「何言ってんだよ。この前副学長に会ったろ」
「あれは特別よ」
「カンタベル先生が言っていたぞ。オーレリアさんの『あっ、かつらになってる』に吹き出すの抑えるのに苦労したって」
「だって元々半分ハゲだったんですもの。勝手に変えると覚え直さないといけないじゃない」
「だから半分ハゲとか、一本だけとかで覚えるなよ」
「仕方が無いでしょ。全部で数千人覚えるのって特徴で覚えるしか無いんだから。カートも奥さんが怖そうとか愛人が太っているとか関係ないことで覚えていたじゃない」

「あれ」
カートが前を見て止まった。

「ん、どうしたの?」
カートの肩越しに先を見る。


通用門のところで、女の子に男が話しかけている。女の子はきれいな服着た貴族令嬢ってプリシラさんだ。アボツト公爵家ってプリシラさんの家だった。そうか、学校の隣に住んでいるんだ。男はっと。
「プリシラさんとメルヴィン様だ。どうしたのカート。固まって」
私はカートから反応がないのにいぶかしんだ。
「えっ、ひょっとしてプリシラさんが好きだったとか。声をかけているメルヴィン様に嫉妬してるの?」
「バカッ、お前がくっつきすぎなんだよ」
慌ててカートが言ってきた。

「えっ」
そう言えば急に止まるからカートにくっついてしまったのだ。

「む、胸があたってる」
「えっ、エッチ」
私は思いっきりカートを叩いていた。

「何言うのよ」
私は真っ赤になった。
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