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第一王子視点8 今度はカートになって学園祭のリアに会いに行きました
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「ザカリー。どういう事だ。あのリアのスカートの丈の短さは。お前の報告では全然問題ないということだったではないか」
生徒会室に呼び出した俺は切れていた。
「いや、殿下。私もハンナらには丈は出来る限り伸ばすと聞いていたので、あそこまでとは思っておりませんで」
俺の剣幕に怖れたのかザカリーはしどろもどろだった。
「それを探るのが貴様の仕事であろうが。あんないい加減な報告しか出来ないのでは、王宮で雇うわけにはいかないぞ」
「そんな、殿下」
ザカリーは蒼白となっていた。
「まあ、カーティス、そこまで言ってやるなよ。たかだかスカートの丈が短いだけじゃないか」
セドリックが他人事宜しく言ってくれた。
「はあああ、他人事だと思って。セドリック、例えばザカリーを偵察に出したとしよう。敵は10人の民兵で、大したことはありませんと」
俺は例を出した。
「しかし、その民兵が巨人族だったらどうするんだ。俺は10人くらいならとお前の兄の部隊に攻撃させた。その結果出てきたのは巨人族だった。お前の兄貴は腕を食いちぎられました。これが他人事宜しく言ってられるのか」
「いや、それは」
セドリックは慌てて否定しようとした。
「お前兄貴が腕を食い破られたのは、同じような状況なのだぞ。俺はそれ以来偵察には力を入れるし、下準備も完璧にするんだ。俺が気にしなくて良いのはリアと一緒にいる時だけなんだぞ。リアは第1騎士団の精鋭10人も一瞬で障壁で弾き飛ばすんだ。ドラゴンでも逃げていくんだからな」
「そこまで強いならそんなに気にしなくても」
「あんなミニスカート許せるか。何故俺以外の男にあんなに足を見せなければならないんだ」
俺は机を叩いた。
「まあ、カーティス。ザカリーくんもわざとじゃないんだから」
ご機嫌なメルヴィンがかばった。貴族の正装をしたプリシラにお茶してもらったメルヴィンはごきげんなのだ。二人の仲をリアに後押ししてもらったらしい。プリシラを狙っていた俺の弟にもリアがとどめを刺したとか。
「お前のところは良いよな。同じ大貴族同士、すぐに婚姻できるんだから」
イライラして俺が言う。
「そんなにスカートの丈が気になるなら、王宮のメイド服かなんか提供したら良いんじゃないか」
セドリックが言った。
「その手があったか。すぐに手配しよう。ザカリー、リアには必ずその服を着せろよ。判ったな。
でないとお前は、オーガストと一緒に辺境の地送りだ」
「はいっ、判りました。かならず、そうさせます」
ザカリーは慌てて頷いていた。
そして、翌日
「2回も行く暇はないだろう」
そう言うセドリックらを無視して、俺はメイドに買わせたリアが食べたいと言っていたチョコレート菓子を持って、リアの教室をカートとして訪れた。
リアはちゃんと王宮のメイド服を着ていた。ザカリーが頷いてくる。
なんだかな。そんなの俺が気づく前にやれよ。
どっちにしろザカリーは一から鍛え直しだ。生徒会に入れて徹底的に鍛えなおそう。でも、そうなるとリアに付いているやつがいなくなるし・・・・うーん、ここは悩みどころだ。
最初は不満タラタラだったリアも、俺が持ってきたチョコレート菓子を見た途端に態度が変わった。リアは本当にお菓子につられやすい。
俺がリアの目の前にチョコレート菓子を差し出すと、躰は下がろうとするのだが、目がそれを物欲しそうに見ている。手前に引くと顔がついてきて、その口に放り込んだ。
パクっと口を開けてチョコレート菓子を食べる。
とても幸せそうな顔を一瞬する。でもすぐに俺に怒っていたことを思い出して顔が鋭くなるが、チョコレート菓子を差し出すと、とたんに物欲しそうな顔をする。
3個もリアの口の中に入れると、リアは降参してきた。むっちゃ可愛い。
俺は思わず抱きしめたくなった。
おっといけない。
俺は理性を総動員してそれを抑え込むと同時に、週末のダンジョンデートの約束を交わす。
本当はもっと色んな所にいきたいんだが、まあ、もうじき夏休みだ。今年こそ、リアといろんなところに行こうと自分だけで計画を立てていたのだ。リアの交友関係の広さをもっと考えておくべきだった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次からサマーパーティー編です。
次話今夜更新予定です
生徒会室に呼び出した俺は切れていた。
「いや、殿下。私もハンナらには丈は出来る限り伸ばすと聞いていたので、あそこまでとは思っておりませんで」
俺の剣幕に怖れたのかザカリーはしどろもどろだった。
「それを探るのが貴様の仕事であろうが。あんないい加減な報告しか出来ないのでは、王宮で雇うわけにはいかないぞ」
「そんな、殿下」
ザカリーは蒼白となっていた。
「まあ、カーティス、そこまで言ってやるなよ。たかだかスカートの丈が短いだけじゃないか」
セドリックが他人事宜しく言ってくれた。
「はあああ、他人事だと思って。セドリック、例えばザカリーを偵察に出したとしよう。敵は10人の民兵で、大したことはありませんと」
俺は例を出した。
「しかし、その民兵が巨人族だったらどうするんだ。俺は10人くらいならとお前の兄の部隊に攻撃させた。その結果出てきたのは巨人族だった。お前の兄貴は腕を食いちぎられました。これが他人事宜しく言ってられるのか」
「いや、それは」
セドリックは慌てて否定しようとした。
「お前兄貴が腕を食い破られたのは、同じような状況なのだぞ。俺はそれ以来偵察には力を入れるし、下準備も完璧にするんだ。俺が気にしなくて良いのはリアと一緒にいる時だけなんだぞ。リアは第1騎士団の精鋭10人も一瞬で障壁で弾き飛ばすんだ。ドラゴンでも逃げていくんだからな」
「そこまで強いならそんなに気にしなくても」
「あんなミニスカート許せるか。何故俺以外の男にあんなに足を見せなければならないんだ」
俺は机を叩いた。
「まあ、カーティス。ザカリーくんもわざとじゃないんだから」
ご機嫌なメルヴィンがかばった。貴族の正装をしたプリシラにお茶してもらったメルヴィンはごきげんなのだ。二人の仲をリアに後押ししてもらったらしい。プリシラを狙っていた俺の弟にもリアがとどめを刺したとか。
「お前のところは良いよな。同じ大貴族同士、すぐに婚姻できるんだから」
イライラして俺が言う。
「そんなにスカートの丈が気になるなら、王宮のメイド服かなんか提供したら良いんじゃないか」
セドリックが言った。
「その手があったか。すぐに手配しよう。ザカリー、リアには必ずその服を着せろよ。判ったな。
でないとお前は、オーガストと一緒に辺境の地送りだ」
「はいっ、判りました。かならず、そうさせます」
ザカリーは慌てて頷いていた。
そして、翌日
「2回も行く暇はないだろう」
そう言うセドリックらを無視して、俺はメイドに買わせたリアが食べたいと言っていたチョコレート菓子を持って、リアの教室をカートとして訪れた。
リアはちゃんと王宮のメイド服を着ていた。ザカリーが頷いてくる。
なんだかな。そんなの俺が気づく前にやれよ。
どっちにしろザカリーは一から鍛え直しだ。生徒会に入れて徹底的に鍛えなおそう。でも、そうなるとリアに付いているやつがいなくなるし・・・・うーん、ここは悩みどころだ。
最初は不満タラタラだったリアも、俺が持ってきたチョコレート菓子を見た途端に態度が変わった。リアは本当にお菓子につられやすい。
俺がリアの目の前にチョコレート菓子を差し出すと、躰は下がろうとするのだが、目がそれを物欲しそうに見ている。手前に引くと顔がついてきて、その口に放り込んだ。
パクっと口を開けてチョコレート菓子を食べる。
とても幸せそうな顔を一瞬する。でもすぐに俺に怒っていたことを思い出して顔が鋭くなるが、チョコレート菓子を差し出すと、とたんに物欲しそうな顔をする。
3個もリアの口の中に入れると、リアは降参してきた。むっちゃ可愛い。
俺は思わず抱きしめたくなった。
おっといけない。
俺は理性を総動員してそれを抑え込むと同時に、週末のダンジョンデートの約束を交わす。
本当はもっと色んな所にいきたいんだが、まあ、もうじき夏休みだ。今年こそ、リアといろんなところに行こうと自分だけで計画を立てていたのだ。リアの交友関係の広さをもっと考えておくべきだった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
次からサマーパーティー編です。
次話今夜更新予定です
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