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サマーパーティー準備編 カートが人気のデザイナーの衣装を贈ってくれました

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テストが終わって、皆の関心はサマーパーティー一色になっていた。
テスト期間中、私は多くの生徒から、サマーパーティーへの誘いを受けた。学園祭1日目の衣装が絶対に目立ちすぎたのだ。余程ちょろい女に見えたのかも知れない。

とある伯爵家、いや、はっきり言うとマクガーニ伯爵家の嫡男、2年生のチェスターなんて私が断ると、

「お前、平民風情が我が伯爵家に逆らうだと。あんな破廉恥な服装をしていながら、今更自分を高く売ろうとなんかするんじゃないよ」
とのたまった。さすが俺様、偉いぞ貴族様だ。

「あなた、伯爵家の嫡男がサマーパーティーに出るのを振られたからって、言って良いことと悪いことがあるんだけど判っているの」
私が反論する前にベッキーが言ってくれた。

「うるさい。貴様ヨーク商会とこの小娘だろう。ヨーク商会ごと叩き潰してやろうか」
「やれるものなら、やってみなさいよ」
売り言葉に買い言葉だ。こんなお貴族様は、国にとっては不要だろう。私が切れて障壁を展開しようとしたが、ベッキーが止めた。

その間にザカリーが何事か伯爵令息にささやく。

「えっ」
男は青くなった。そして、慌てて逃げていったのだ。

「凄いじゃない。ザカリー、なんて言ったの?」
エイミーがザカリーに聞いた。

「いやあ、あの息子の弱みを握っていたから、それを匂わせたらあっという間さ」

「ありがとう。ザカリー。でも本当にお貴族様ってどうしようもないわね」
「いや、それを言われると面目ない」
「本当にごめんね」
私の言葉にザカリーとベッキーが謝ってきた。

「あっ、ゴメンゴメン、あなた達を言っているではないのよ」
「それは判るんだろけど、ああいうのが貴族の人気を下げるのよ。永久追放したい気分だわ」
「本当にそれはそう思うよ」

結局、相手を必死に探していたオーガストは何とかハンナを射止め、ビリーはヒルダに一緒に行ってもらうことになった。
我がクラスの女子はブリトニーもドロシアもクラスの子爵令息を捕まえていた。
まあ、男の数が女の子の数の3倍もいるのだから、圧倒的に男が余っているのだ。
その点、Aクラスは男24に対して女16だからまだいる方だ。でも、そのうちの私が3年生と踊ることになったから、一人余ってしまったのだ。適当にやっているとは思うが、Sクラスは男女半々だからそんなに争いは激しくなかったが、Bクラス以下は下手したら男が5倍と凄まじい倍率になってしまったのだ。うーん、淑女学園と共同でやればいいのに、とオーガストに言うと、淑女学園は大半が男の騎士育成学校とやるのだとか、まあ、それはそうだと納得させられたが・・・・

出来たら余ってしまった生徒のために踊ってやってほしいと女性陣はアビゲイル先生から頼まれていた。まあ、それは仕方がないだろうとは思う。


1週間前にカートから素晴らしい衣装をプレゼントされた。
ベッキーによると今、王都で人気のデザイナーの衣装だそうだ。
普通は1年待ちなのだとか。どうやって手に入れたんだろう。
黄色い衣装は私の完全に私の躰にフィットしていた。

「えっ、どうやってリアのサイズを手に入れたのかしら」
ベッキーは不思議がった。

「適当じゃないの」
「なわけ無いでしょ。どこかで採寸しなかったの」
ベッキーが聞いてきた。私は思い出した。

「そう言えば2ヶ月前に、どこかのおばさんの家に遊びに行ったわ。その時そのおばさんが、ドレス作ってあげるわって採寸してくれたことある」
「どこかのおばさんってあなた、それ絶対にミスステーシーよ。それも新作じゃない」
「凄いわ、リア、ひょっとしてあなたが一番目立つかも」
ベッキーの言葉にハンナまで目輝かせて見てきた。なんでも、ミスステーシーは新進気鋭のデザイナーで、その衣装を頼むのは1年待ちもザラだとか。そうかねあのおばさん凄い人だったんだ。でも、私としては胸は少し小さいわね、とショックな事を言われたことしか覚えていないのだが・・・・、

「うーん、ベッキーとかハンナが着ればそうかも知れないけれど、着るのは私よ、私。絶対に破壊の女に成るだけだって」
「そんな事ないわよ。リアは見た目がエレガントだし、センセーショナルを巻き起こすわよ」
「えっ、ハンナ、今のところもう一度言ってみて」
私は思わずハンナに聞き返した。

「センセーショナルを巻き起こすわ」
「違うその前」
「えっ、なんて言ったっけ」
ハンナがいたずらっぽく笑った。

「ひどいハンナ」
「うそうそ、エレガントって言ったのよ」
私の言葉にハンナが笑って言ってくれた。

「ありがとう、ハンナ。私エレガントなんて言われの始めてよ」
「だっていつもダサいジャージだもの。言われるわけ無いでしょ」
ベッキーが言ってきた。

「でも、日頃ダサいジャージのあなたが、こんなきれいな服着てきたら誰か判らないんじゃない。みんな」
「うーん、カートは惚れ直してくれるかな」
「カートはいざしらず、他の男共が釘付けになるわよ。どうする第一王子殿下に踊るように誘われたら」
「そんなの断るに決まっているでしょ。私は基本はカートとしか踊らないんだから」
私は言い切った。一回も踊れていない可愛そうな男共なら一回くらい踊ってあげてもいいけど、引く手あまたな王子殿下なんて絶対に踊る訳はない。この時はそう信じていたのだ。
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