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サマーパーティー編1 エスコートにはカートの代わりに第一王子が現われました。

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終業式があってテストが1位だった私は当然優秀な成績だった。魔導学の最後の授業は最悪だったが・・・・

嘘つき女とかヨイショ女とかいらぬ二つ名がまたついた。こんなんだったらベッキーみたいに真面目に勉強していれば良かった。単位赤点だったかもしれないけれど・・・・

そして、その夜がサマーパーティーだった。

私達は皆で協力し合いながら、着付けをした。今日は3階の貴族食堂が着替え室に女性に開放されていた。
髪をカールする者、結える者、アップする者。もうまちまちだ。
私はベッキーにアップしてもらった。
そして、皆で協力しあって衣装を着る。

「ちょっとリア、後ろきつく締め付け過ぎ」
エイミーが文句を言ってきた。

「えっ、あなたまた大きくなったんじゃない。胸」
私は羨ましくなってその胸を睨む。

「そうかな?」
「おそらく学年一よ」
「でも、プリシラ様のほうが大きいような」
「ま、何にせよ、あなたよりは大きいわね。リア」
私とエイミーの会話にベッキーが入ってくる。ベッキーは明るい緑と白のツートンカラーの衣装をきれいに着こなしていた。さすが商会の看板娘。

「うるさいわね。でかい胸のあなたには言われたくないわよ」
「何回も言うように、私は小さい方よ」
「貧乳で悪かったですね」
私はいじけた。

「まあ、でも、リア、あなたの衣装素晴らしいわよ。全く貧乳なのが目立たないくらい」
「貧乳貧乳言うな」
ベッキーの言葉に私は噛み付く。

「でも、あなたの衣装凄いわ」
「本当に」
ハンナとヒルダが言う。
皆の視線も羨ましそうだ。

「あなた、それ、どうしたの。いつものだっさいジャージ着ていないから誰だか判らなかったわ」
後ろからレベッカが絡んできた。

「えっへん。友だちに贈ってもらったの」
「まあ、学園祭であんな破廉恥な衣装着て、どこかの金持ちのお年寄りでも捕まえたの?」
「ふんっ、カートは金持ちのおじんじゃないわよ」
私は怒ってレベッカに言い返した。私のことは何言われようと構わなかったが、カートのことは馬鹿にされたくなかった。

「えっ、カートってあの貧乏くさい平民でしょ。その平民がこんな服どこで手に入れたのよ。バッタ屋か何かで安く手に入れたの」
「まあ、レベッカ様ともあろうお方が目が曇られましたか。これはミスステーシーの新作ですよ」
「えっ」
「うそ」
ベッキーの言葉に周りが一斉に私に注目した。

「嘘よ。私が申し込んでも1年待ちだって断られたのに。なんで平民風情が・・・・」
レベッカが唖然として言った。

「やっぱりミスステーシーも売る人を選ぶのよ」
「な、何ですって」
私の言葉にレベッカが手をわなわな震わせて怒った。

一発触発、周りは呆然とこちらを見ている。まあ、やるならやれば、私は障壁があるから被害に合うのはレベッカだけど・・・・

「あーら、リア、めちゃくちゃ似合っているじゃない」
そこへプリシラがやってきた。
「ありがとう。プリシラも似合っているわよ」
プリシラはエレガントな水色の衣装だ。金髪によく似合っている。

プリシラの登場に慌ててレベッカも怒りを抑えたみたいだ。さすが公爵家令嬢、学園の中の女性の地位最高峰だ。周りは皆ほっとした。

「レベッカさんも王子殿下を下で待って無くていいの?」
「あっ、そうだったわ。殿下をお待たせしてはいけないので、皆様失礼致しますわ」
ここぞとばかりに王子の所を強調してレベッカは下に降りていった。

私は王子なんかどうでもいいんだけれど。それよりも私の視線はどうしてもプリシラの胸にいってしまう。うーん、羨ましい。

「どこ見ているのよリア」
「いや、大きいなって」
「何言っているのよ。あなたのお母さんの胸も大きいんでしょ」
「えっ、なんで知っているの」
私は驚いて聞いた。そう、私の母にかなわないところが、胸の大きさなのだ。母の胸は普通に大きい。

「カートがどこかいい店がないかって聞いてきたから、ミスステーシーのお店を紹介したの。最初は忙しいからって渋っていたけれど、あなたの名前言ったら、ああ、アリシアの娘ねって二つ返事で引き受けてくれたわ。あなたのお母さんとミスステーシーって友達みたいよ」
「えっ、そうなの」
私はミスステーシーからはそんな事一言も聞かなかった。

「あなたに会ったら、あなたのお母さんの若い時にそっくりだったって言ってらしたわ。胸は少し小さいみたいだけどって」
「プリシラ、胸のことは言わなくていいのよ」
私は怒って言った。

「あなたが聞いてきたんじゃない」
「そらあそうだけど・・・・」
私がブツブツ言う。本当に大きな胸のものには小さな者の悩みが分からないのだ。

「私達もそろそろ降りましょう」
プリシラの言葉に私達は階段を降りていった。私はハイヒールに慣れずにおっかなびっくりだったが・・・・





そして、一階の食堂に行く。

ハンナとヒルダとミイミーは既に男共が待っていた。

「じゃあ」
3人はあっさりと出て行った。今日は会場は校庭なのだ。

私達は立って待つ。

カートはなかなか迎えに来なかった。

遅いっ!

一体どうしたんだろう。

まあ、どうしようもない王子の用事を言いつけられているんだろうか。

私はだんだん不安になってきた。

第二王子がレベッカを連れていき、ロビーに残っている女の子は後少しになった。

遅すぎる!

私はいい加減に切れだしたときだ。

扉が開いて第一王子が入ってきたのだ。

何故か王子はまっすぐにこちらの方に歩いてくる。

何故に?

「申し訳ない、リア嬢。カートはどうしようもない用が出来て、代わりに私が迎えに来た」
「はいっ?」
私はその言葉の意味が判らなくて固まってしまった。

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どうするリア?
この続きは昼前後
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