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クラス対抗戦3 二年生の最優秀クラスをクラス一丸になって撃破しました

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ベッキーにしばき飛ばされた第二王子は倒れた拍子に風船を割って試合は終わった。

我がクラスの圧勝だった。

みんな、ベッキーが第二王子に張り手したのを見た瞬間、唖然とした。

我に返ったベッキーの慌て方が大変だった。

「ああああ、第二王子殿下、申し訳ありません。つい、金の事を考えてしまい、手が出てしまいました。申し訳ありません」
ベッキーは蒼白だった。土下座せんばかりの勢いだ。

そらうそうだろう、王妃の覚えめでたい第二王子を張り倒したなど、今後、貴族社会でベッキーの商会がやっていけるかどうか。

「まあ、戦いの中だ、仕方があるまい」
王子は私の時とは違って優しく対応してくれた。

信じられない。
私は「破壊女、覚えていろ」なのに・・・・解せぬ。

「まあ、ベッキー、王子を弾き飛ばしたのは私とおんなじだから」
私の慰めに
「あんたと同じになったらこの国で生きていけないじゃない」
ベッキーはとんでもないことを言ってくれた。

そんなことはないはずだ・・・・

「まあまあ、ベッキー、俺達は使ってやるから」
子爵家のザカリーが言ってくれた。

「本当にザカリー」
ベッキーが珍しく涙目だ。

「私のところも大丈夫よ」
ハンナも言う。

「まあ、私も隠れてなら使ってあげてもよくてよ」
ブリトニーまでも言ってくれた。

みんな、見た目と違って優しいみたいだ。
このクラスも色々あったが、衝突やなんやかんやを繰り返して仲良くなっているのだ。
明日は決戦だ。今日のことを引きずっていては勝てないだろう。

ベッキーも最後には諦めていた。
「りあ、これであなたと同じ仲間なんだから、あなたのポーション私に扱わせてよ」
とんでもない事を言ってくれるようになった。ただでも起き上がらない、ベッキーだった。
でも、母が怖いから私は許可できないけど・・・・

「うちの商会が潰れたらどうしてくれるのよ」
「判った。プリシラのところとメルヴィン様のところにも頼んであげるから」
仕方無しに私はベッキーの為に言ってあげたのだ・・・・。




そして、翌日の四回戦、私達にとっては第3戦だ。

敗者復活戦のあと、二限目に第3戦の相手は2年生のEクラスだった。
騎士科志望が大半のこのクラスも強いのだろう。

今回、我々は勝負に出ることにした。

エイミーを映写係として残して、全軍で王様めがけて突撃することにしたのだ。

敵は攻撃と本拠防衛の2つに分けるはずだ。

我々は本陣を殆どからにして敵本陣に向けて突撃する。

今回私は黒いジャージを着ていた。

「ここまできたら、決勝まで行くわよ」
ベッキーが声をかける。

「エイ! エイ! オー!」
皆で威勢のいい声を上げて位置についた。
先頭はオーガストだ。主力17名に直後に私達女性陣が続く。

他に偵察要員を5名派遣して周りも偵察する。

全員広場の端の先頭部分に位置についた。

一丸になって敵本陣を付く。
敵攻撃主力と遭遇する可能性もあるが、おそらく敵は幾重にも分けて主力を向かわせるはずだ。

何しろ敵は男が33名もいるのだ。

騎士志望は20名を超える。

余裕を持っているはずだった。

号砲の合図とももに、我々は一丸となって敵本陣のあると思しき端に向かう。

本陣から私の座っている画像をエイミーが流す。

これで少しはごまかせるはずだ。

画面の私は面倒くさそうに扇子であおいでいた。

林の中を走っている途中で5人の騎士と出会った。

「よし、こいつらは俺らがする」
その相手をオーガストら5人がする。

「皆行くぞ」
ザカリーが指揮して残りが一気に本陣に向かった。

広場に出ると本陣には20名もの騎士がいたのだ。

「しまった、図られた」
ベッキーが悔しがった。
敵は元々考えていたのだろう。敵にも策士はいるみたいだ。


そして、後ろから敵の兵士たちが出てくる。

「バカ者共目。いつもそんな手が通用すると思うなよ」
先頭の二年生の子爵令息が叫ぶ。

「皆本陣に突入するわよ」
私が叫んだ。

私が先頭に走る。

騎士たちは私が丸腰なので驚いていた。

そう、丸腰の相手に剣は使えないのだ。

その戸惑った子爵令息の股間を思いっきり蹴り倒した。

「ギョエエエエ」
彼は白目をあげて吹き飛んだ。

ゴメンと心のなかで謝って、恐れをなした男達が怯む好きに突入する。

全員、必死に本陣向けて殺到した。

手を広げて股間を蹴られてはいけないのでどうしても男達は及び腰になる。

その一人をベッキーが投げ飛ばしていた。

そこへ、オーガストが突入してきた。

私と剣士のオーガストが現われて、騎士らは更に戸惑った。

私が前に出て騎士が戸惑った後ろからオーガストが切り捨てる。

潰した剣でも、直撃を食らうとそのまま後ろに弾き飛ばされて倒れた拍子に風船を潰されるのだ。

私は倒れた男から剣を奪うと、本陣に飛び込んだ。

騎士たちが戸惑っているのを逃さずに、3人を斬り倒す。

皆唖然としていた。私が剣を使えるなんて思ってもいなかったのだ。

そして、一気に王様に剣先を突きつけていた。

「ヒェぇぇぇ」
条件反射で王様役の生徒が手をあげていた。

私達の決勝進出が決まった瞬間だった。



「やったー、ついに決勝だ」
私達はお互いに抱き合って喜んだ。

戦場の外に出ると

「リア様。素晴らしかったですぞ」
「剣のおじちゃん!」
なんとそこには剣のおじちゃんが、知らないおじちゃんと一緒にいた。
知らないおじちゃんは黒髪黒目だった。結構鋭い顔立ちをしている。

「どうしたの?こんなところに来て」
「いや、仕事なんです。こちらはエーレン様のお父様です」
ルーカスが隣の男を紹介してくれた。あの煙男の父親か。意外だ。この人は煙男と違って、出来るオーラを立ち上らされていた。

「ヨーナ・ハイトだ。すごかったな。剣術は誰に習ったのだ」
「剣のおじ・・・いや、ルーカスさんです」
私が言うと、

「なんとルーカスが教えたのか。いつの間に」
ムッとして男は言った。

「いや、お邪魔した時に、リア様の障壁で弾き飛ばされまして、剣を教えてくれと申されまして、断れなかったのです。でも、お教えしたのは1週間位ですよ」
「あとは我流です」
私は頭を掻いて言った。そう、私の剣術は決して誇れるものではない。最も私には普段は障壁があるのでそれですべて賄えるのだが。

「素晴らしいな。平民クラスでこの活躍は。クラスのグループ掌握もうまく出来ているようだし」
「ベッキーとか皆がしっかりしてくれるからです。友だちに恵まれました」
「聞いたか、ルーカス、この言葉。エーレンに聞かせてやりたいわ」
男は何故か涙目だ。

この人怖い顔しているのに涙もろいのだろうか、私は失礼なことを考えていた。
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