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クラス対抗戦4 決勝で王子軍を破りました
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そして、決勝戦の時が来た。
敵は政治クラスで20名のうち、男16名。女は一人を除いて大したことはない。コニーはおそらく剣術の稽古はしているはずだ。国境の侯爵令嬢だから。
一番強いのが王子とカート、メルヴィン様は攻撃魔術が使えないのでそれほど強敵ではないだろう。セドリックも私の敵ではないはず。
まあ、うちの騎士クラスだろう。
しかし、我がクラスは王子とカートとやりあって勝てるやつはいない。
昨日、カートにメイドの衣装で参加した件で怒られて以来、カートには会えていない。
カートは今、どこにいるんだろうか?
おそらく、戦場のどこかで会うだろう。
でも、カートと戦っても剣術では勝てない。
障壁があれば勝てるけど、使えないし、今回はどうするか色々悩んだ。
でも、ベッキーが言うには今回は王子が王様だから、最強が王様で、基本は最後まで出てこないはずだ。そして、カートはいないはずだと言い切った。
「そんなのおかしくない。カートは王子と同じクラスだし」
私が言うが、
「リア、そこは気にしなくてもいいわ。100%確かだから。私の情報網は確実なのよ」
ベッキーの情報網はセドリックだと思う。
そう、この二人はいつの間にか仲良くなっていたのだ。信じられないのだが。あのいけ好かないセドリックのどこが良いのだろう?
セドリックに比べたら第一王子のほうが余程ましだ。ベッキーには言えないけど。
でも、なんでも、二人が意気投合したのは、手間のかかる上司や友人の事で話が盛上ったからだそうだ。
手間のかかる? セドリックの上司は第1王子で決まりだが、ベッキーの手間のかかる友人って?
「そんなのあんたに決まっているでしょ」
不思議そうな顔していたらベッキーに言われてしまった。
「第二王子張り倒したあんたに言われたくないわよ」
「その人の心を思いやらないところも手のかかるところなのよね」
果たしの言葉は訳知り顔でベッキーに反論された。
何を言っているか全然わかんない・・・・
ザカリーが言うには、カートは、また王子の用事が入ったとのことで、王子も結構酷いんじゃない?
だって、カートは最後のクラス対抗戦なのに。それなのに王子の命令で出れないなんて。
まあ、我がクラスにとってはそれはプラスだけど。
複雑な心境だ。
そう漏らすと
「あんたから複雑なんて言葉が出るほうが驚きだ」とまたとんでもないことをベッキーに言われた。
ふんっ、私も色々考えることもあるわよ。
今回王子軍の王子を除くとおそらく戦力は均衡しているはずだ。
私が戦えばという条件が付くが。
でも、私が戦って王子が出てくると敵が優位になる。
そこで我がクラスが取った作戦が、籠城作戦だ。
試合開始と同時に、私達は左手の小山に向かって全力で走った。
そして、小山を中心に周りの木を倒してそれで周りを覆い、堀を掘ったのだ。
かける時間は10分。
小山を中心に30メートル幅の平地を切り開く。
魔術工作部隊が何とかやってくれた。
堀までは間に合わない。
やってきた5名の騎士は我が方の10名の騎士で攻撃させた。
2名を戦力不能にする。我が方も1名欠落者を出したが。
これで籠城しきれば勝ちだ。
まあ、そんなにうまくいくわけはないが。
私達は必死に砦もどきを作る。
小山の上に穴を掘って、私達魔術部隊は10名は四方を警戒した。
騎士たちは鉾を建てて、その間に木を突き刺して急造の砦を作っていた。
騎士たちが5名何気なく林から顔を出した。
私達魔術部隊が唯一許された攻撃魔術、蝋燭の炎の大きさのファイアーボールを放出する。
でも、1つが小さくても10個も放たれると攻撃力は増すはずで。
騎士近辺で爆発する。
2人が風船を割られて退場した。
次に私は木の根元を狙って次々に放つ。
ただひたすら入学してからろうそくの炎のファイアーボールを訓練してきただけあって、精度も威力も増したそれは、一撃で木の根元を破壊する。
そして、木が騎士たちの上に倒れていった。
騎士たちは慌てて後退する。
更に騎士二人が退場した。
これで5人が去った。こちらはまだ1人だ。
既に開始から20分が経っていた。あと40分持ちこたえれば良いのだ。
私はファイアーボールを砦の空堀の周りに打ち込んだ。
1発辺り爆発音がして直径1メートルのクレーターが出来る。
これを適当に周りに打ち込み、足場を悪くする。
魔術部隊は顔を出す、騎士たちに向けて、次々にファイアーボールを繰り出した。
「良いあんた達。敵は必ず総攻撃を駆けてくるわ。各自飛び込まれても2人一組で対処するのよ」
ベッキーが叫ぶ。
開始から30分が過ぎた。
どうやら遠巻きに王子軍に取り囲まれたようだ。私は王子のいそうな所にファイアーボールを連射した。
そして、
「わああああ」
雄叫びとともに王子軍団が突撃してきた。
こちらの見張り台からファイアーボールを連射する。
5名は倒したはずだ。しかし、それを乗り越えられて敵が砦に入ってきた。
王子は入るやいなや、騎士たちをたちまち3名斬り捨てた。
オーガストもやられる。
そして、こちらに向けて一目散に駆けてきた。
私はファイアーボールを連射するが、王子の剣で弾き飛ばされる。
王子は小山に配置した障害を物ともせずに乗り越えてくる。
あっという間に小山の上まで駆け上がってきた。
そして、その前に、両手を広げた私がいたのだ。
「えっ」
王子は一瞬戸惑った。剣で応戦すると思って剣を抜いて駆け上がってきたのだ。
でも、私は丸腰だった。それも両手を広げて王子に抱きついていったのだ。
「殿下!」
私は声を上げて駆け上がってきた王子を両手を広げて受け止めようとしたのだ。
王子は私に剣で斬りかかると反則負けなので、慌てて剣を手放した。
私は王子の胸に飛び込む。
王子は驚いた顔をしていた。と言うかニヤついていた。
本来ならば思いっきり張り倒すところだが、今回のベッキーの指示は抱きつけだった。
「そんなの、カートが嫌がるから絶対に嫌だ」
私が嫌がると
「何言ってんのよ。あんたは抱きついて王子が逃げられないようにするのよ。その時に周りから水ぶっかけるから」
「普通に水ぶっかければいいでしょ」
「そんなの躱されたら終わりじゃない。あんたが逃げられないように捕まえるの。これが今回の作戦の肝よ」
「えええ、そんな、後で絶対にカートが怒る」
「そもそもあんたが戦うのを楽しみにしているのに、いないカートが悪いんじゃない」
「それはそうだけど」
「絶対にカートが文句を言わないように、私が言っといてあげるから」
「えええ、本当に?」
「絶對に」
ベッキーが太鼓判押したから私は仕方無しにやっているのだ。
でも、これって、またコニーに怒られるんじゃない。いくら勝つためだとはいえ。
私は今頃気づいた。
私はひしっと逃げられないように王子を抱きしめた。
王子はニヤついてやがった。
その瞬間、周りに散った、魔術部隊が、バケツに入れた水を私達にぶっかけたのだ。
魔術は一切使っていない。
その瞬間私達の風船が水に濡れて割れてしまった。
私達の優勝が決まった瞬間だった。
「やった、優勝よ」
私は抱きしめていたた王子を思いっきり突き飛ばして、ベッキーに抱きついていた。
「えっ、同時だろう」
王子が不審そうに言った。
「何言ってるんですか、殿下。私達の王様はガリですよ」
私の言葉に王子は固まった。
「あっ、そうだった」
私達はこのまえの3連戦は私が目立って王様をやっていたが、最終戦はガリにしたのだった。
まさか、今までの私の活躍を気にしてそれを忘れているとは思わなかった。
ガリは私の後ろ10メートルで木の柵の中に隠れていたのだ。
王子はずぶ濡れでガクッと膝をついていた。
対象的にその前で私達は大喜びで飛び跳ねていたのだ。
カートにひどいことして参加させないからだよーーー
私は心のなかで大声で叫んでいた。
*****************************************************
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
この物語の最終フィナーレは年度末の卒業パーティーです。
もう少しかかりますが、これからそこまで全力疾走します。
宜しくお願いします。
敵は政治クラスで20名のうち、男16名。女は一人を除いて大したことはない。コニーはおそらく剣術の稽古はしているはずだ。国境の侯爵令嬢だから。
一番強いのが王子とカート、メルヴィン様は攻撃魔術が使えないのでそれほど強敵ではないだろう。セドリックも私の敵ではないはず。
まあ、うちの騎士クラスだろう。
しかし、我がクラスは王子とカートとやりあって勝てるやつはいない。
昨日、カートにメイドの衣装で参加した件で怒られて以来、カートには会えていない。
カートは今、どこにいるんだろうか?
おそらく、戦場のどこかで会うだろう。
でも、カートと戦っても剣術では勝てない。
障壁があれば勝てるけど、使えないし、今回はどうするか色々悩んだ。
でも、ベッキーが言うには今回は王子が王様だから、最強が王様で、基本は最後まで出てこないはずだ。そして、カートはいないはずだと言い切った。
「そんなのおかしくない。カートは王子と同じクラスだし」
私が言うが、
「リア、そこは気にしなくてもいいわ。100%確かだから。私の情報網は確実なのよ」
ベッキーの情報網はセドリックだと思う。
そう、この二人はいつの間にか仲良くなっていたのだ。信じられないのだが。あのいけ好かないセドリックのどこが良いのだろう?
セドリックに比べたら第一王子のほうが余程ましだ。ベッキーには言えないけど。
でも、なんでも、二人が意気投合したのは、手間のかかる上司や友人の事で話が盛上ったからだそうだ。
手間のかかる? セドリックの上司は第1王子で決まりだが、ベッキーの手間のかかる友人って?
「そんなのあんたに決まっているでしょ」
不思議そうな顔していたらベッキーに言われてしまった。
「第二王子張り倒したあんたに言われたくないわよ」
「その人の心を思いやらないところも手のかかるところなのよね」
果たしの言葉は訳知り顔でベッキーに反論された。
何を言っているか全然わかんない・・・・
ザカリーが言うには、カートは、また王子の用事が入ったとのことで、王子も結構酷いんじゃない?
だって、カートは最後のクラス対抗戦なのに。それなのに王子の命令で出れないなんて。
まあ、我がクラスにとってはそれはプラスだけど。
複雑な心境だ。
そう漏らすと
「あんたから複雑なんて言葉が出るほうが驚きだ」とまたとんでもないことをベッキーに言われた。
ふんっ、私も色々考えることもあるわよ。
今回王子軍の王子を除くとおそらく戦力は均衡しているはずだ。
私が戦えばという条件が付くが。
でも、私が戦って王子が出てくると敵が優位になる。
そこで我がクラスが取った作戦が、籠城作戦だ。
試合開始と同時に、私達は左手の小山に向かって全力で走った。
そして、小山を中心に周りの木を倒してそれで周りを覆い、堀を掘ったのだ。
かける時間は10分。
小山を中心に30メートル幅の平地を切り開く。
魔術工作部隊が何とかやってくれた。
堀までは間に合わない。
やってきた5名の騎士は我が方の10名の騎士で攻撃させた。
2名を戦力不能にする。我が方も1名欠落者を出したが。
これで籠城しきれば勝ちだ。
まあ、そんなにうまくいくわけはないが。
私達は必死に砦もどきを作る。
小山の上に穴を掘って、私達魔術部隊は10名は四方を警戒した。
騎士たちは鉾を建てて、その間に木を突き刺して急造の砦を作っていた。
騎士たちが5名何気なく林から顔を出した。
私達魔術部隊が唯一許された攻撃魔術、蝋燭の炎の大きさのファイアーボールを放出する。
でも、1つが小さくても10個も放たれると攻撃力は増すはずで。
騎士近辺で爆発する。
2人が風船を割られて退場した。
次に私は木の根元を狙って次々に放つ。
ただひたすら入学してからろうそくの炎のファイアーボールを訓練してきただけあって、精度も威力も増したそれは、一撃で木の根元を破壊する。
そして、木が騎士たちの上に倒れていった。
騎士たちは慌てて後退する。
更に騎士二人が退場した。
これで5人が去った。こちらはまだ1人だ。
既に開始から20分が経っていた。あと40分持ちこたえれば良いのだ。
私はファイアーボールを砦の空堀の周りに打ち込んだ。
1発辺り爆発音がして直径1メートルのクレーターが出来る。
これを適当に周りに打ち込み、足場を悪くする。
魔術部隊は顔を出す、騎士たちに向けて、次々にファイアーボールを繰り出した。
「良いあんた達。敵は必ず総攻撃を駆けてくるわ。各自飛び込まれても2人一組で対処するのよ」
ベッキーが叫ぶ。
開始から30分が過ぎた。
どうやら遠巻きに王子軍に取り囲まれたようだ。私は王子のいそうな所にファイアーボールを連射した。
そして、
「わああああ」
雄叫びとともに王子軍団が突撃してきた。
こちらの見張り台からファイアーボールを連射する。
5名は倒したはずだ。しかし、それを乗り越えられて敵が砦に入ってきた。
王子は入るやいなや、騎士たちをたちまち3名斬り捨てた。
オーガストもやられる。
そして、こちらに向けて一目散に駆けてきた。
私はファイアーボールを連射するが、王子の剣で弾き飛ばされる。
王子は小山に配置した障害を物ともせずに乗り越えてくる。
あっという間に小山の上まで駆け上がってきた。
そして、その前に、両手を広げた私がいたのだ。
「えっ」
王子は一瞬戸惑った。剣で応戦すると思って剣を抜いて駆け上がってきたのだ。
でも、私は丸腰だった。それも両手を広げて王子に抱きついていったのだ。
「殿下!」
私は声を上げて駆け上がってきた王子を両手を広げて受け止めようとしたのだ。
王子は私に剣で斬りかかると反則負けなので、慌てて剣を手放した。
私は王子の胸に飛び込む。
王子は驚いた顔をしていた。と言うかニヤついていた。
本来ならば思いっきり張り倒すところだが、今回のベッキーの指示は抱きつけだった。
「そんなの、カートが嫌がるから絶対に嫌だ」
私が嫌がると
「何言ってんのよ。あんたは抱きついて王子が逃げられないようにするのよ。その時に周りから水ぶっかけるから」
「普通に水ぶっかければいいでしょ」
「そんなの躱されたら終わりじゃない。あんたが逃げられないように捕まえるの。これが今回の作戦の肝よ」
「えええ、そんな、後で絶対にカートが怒る」
「そもそもあんたが戦うのを楽しみにしているのに、いないカートが悪いんじゃない」
「それはそうだけど」
「絶対にカートが文句を言わないように、私が言っといてあげるから」
「えええ、本当に?」
「絶對に」
ベッキーが太鼓判押したから私は仕方無しにやっているのだ。
でも、これって、またコニーに怒られるんじゃない。いくら勝つためだとはいえ。
私は今頃気づいた。
私はひしっと逃げられないように王子を抱きしめた。
王子はニヤついてやがった。
その瞬間、周りに散った、魔術部隊が、バケツに入れた水を私達にぶっかけたのだ。
魔術は一切使っていない。
その瞬間私達の風船が水に濡れて割れてしまった。
私達の優勝が決まった瞬間だった。
「やった、優勝よ」
私は抱きしめていたた王子を思いっきり突き飛ばして、ベッキーに抱きついていた。
「えっ、同時だろう」
王子が不審そうに言った。
「何言ってるんですか、殿下。私達の王様はガリですよ」
私の言葉に王子は固まった。
「あっ、そうだった」
私達はこのまえの3連戦は私が目立って王様をやっていたが、最終戦はガリにしたのだった。
まさか、今までの私の活躍を気にしてそれを忘れているとは思わなかった。
ガリは私の後ろ10メートルで木の柵の中に隠れていたのだ。
王子はずぶ濡れでガクッと膝をついていた。
対象的にその前で私達は大喜びで飛び跳ねていたのだ。
カートにひどいことして参加させないからだよーーー
私は心のなかで大声で叫んでいた。
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ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
この物語の最終フィナーレは年度末の卒業パーティーです。
もう少しかかりますが、これからそこまで全力疾走します。
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