好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
118 / 144

襲ってきたオルコット侯爵の残党を瞬殺しました

しおりを挟む
「さあ、心が決まりましたら、楽しい帝国への旅をお楽しみ下さい」

私は言われるまま、ほとんど着の身着のままで、剣のおじちゃんが持ってきた馬車に乗せられていた。

馬車で帝国の国境まで5日の距離だった。

でも、私は中々気分が切り替えられなかった。

「さようなら、カート」
私はけじめをつけるためにも王都を離れる時に王宮の方へ向かってその言葉を発していた。

考えたらカートにはお別れも言えなかった。

別れくらいきちんと言えば良かったかな。

いや、だめだ。お別れなんて面と向かって言えない。

言ったら確実に泣き出してしまっただろうし、絶対にカートに抱きついて離しそうになかった。
本当に醜態を晒すところだった。

そう思って私は涙にくれてカートあての手紙を書こうとした。

でも、なんて書けば良いのだろう。

中々筆は進まなかった。

書こうとすれば涙が後から後から出てくるのだ。



馬車はカートの想い出深いサウス湖畔への道を通っていたのだ。今は冬。辺りは冬景色だ。

でも夏のサウス湖畔での楽しい想い出が、私の脳裏に次々に浮かび上がって来た。
凍った湖畔に建つパフェのお店の横を通るとカートに食べさせてもらったフルーツの味を思い出すし、氷の上に浮かぶように見える湖畔の雪化粧のお城は一緒に踊ったカートのことが思い出された。そう言えばその前に第一王子としても踊ったんだ。よく考えたら踊る仕草とか癖とかおんなじだった。なんで気づかなかったんだろう。

私は大きなため息をついた。

空は私の心と同じで、空はどんよりと曇っていて、今にも雪が降ってきそうな空模様だった。

私の瞳からは次々に涙が、流れ落ちていた。

私は失恋したんだ。もう、二度とカートに会えない。

そう思うと涙は止まらなかった。

私は涙にくれていた。

私の頭の中はカートとの想い出が涙で流れていた。

もう終わった恋だ。いつまでうじうじと悩んでいるんだ。

私は自分を叱咤激励しようとしたが、だめだった。

そして、馬車は私の心を表したように凍りついた湖の畔を離れて雪の山道に入った。


その私の想い出をも亡き者にしようとする勢力が馬車に近づいているのを感じた。

私はそこに明確な悪意を感じた。

「剣のおじちゃん」
山道の中で私はルーカスに声をかけた。

「どうされましたか」
「なんかつけてきてるよね」
「ふんっ。雑魚ですな。私一人でも対処できますが」
「すいません。私が対処していいですか」
「リア様。大丈夫なのですか」
剣のおじちゃんが気を使ってくれた。

「まあ、大丈夫じゃないので、ちょっと本気を出していいですか。母達からは絶対に本気を出してはいけないと言われているのですが・・・・」
剣のおじちゃんが逡巡した。

「リア様のお好きなようにされれば良かろうかと」
少し考えたあとで剣のおじちゃんは認めてくれた。
多少地形が変わるくらい問題ないと思ってくれたのだろう。

「ありがとう」

そこは山肌が迫っている狭い道だった。両側が雪の壁になっている。

左の斜面の上から馬の蹄の音がする。

100騎以上の大軍だった。

「オーレリア・チェスター。オルコット侯爵の恨み晴らしてくれるわ。そこでなおっておれ」
騎馬隊の指揮官らしきものが叫んで、突入してきた。

100騎もの騎兵が逆落としててに突撃して来るさまは結構壮大な情景だった。

砂煙を上げて騎士の大軍が突っ込んできた。

「馬さん。ごめんなさい」
私はそう言って前もって謝ると

「カートのバカヤロウ」
私はそう叫ぶと、一瞬で障壁を発動。正面から叩きつけていた。

ドカーーーん。

その瞬間消しくずのように騎馬の大軍を弾き飛ばして、その障壁は山肌に突き刺さり、凄まじい、砂塵を巻き上げていた。

爆炎が収まった後には、そこにあった山肌は消滅しており、障壁によって大量の木々が遥か彼方まで倒されていた。
地形はちょっとどころか大きく変わっていた。


帝国の騎士たちは大きな口を開けて唖然としてみていた。

「すいません。お時間を取らせました」
私は頭を下げた。

「さ、さすが、オーレリア様。凄まじいお力ですな」
呆れたようにルーカスが言った。
5人の棋士は私の前に跪いていた。

「すいません。ちょっとむしゃくしゃしていたので、やってしまいました。馬さんたちには悪いことをしました」
「いえ、リア様に逆らったのですから、当然の結果でしょう。さすがリア様ですな」
「貴国の皇女殿下と比べると全然だと思いますが」
「はっ?、皇女殿下でございますか」
何故かルーカスさんは明後日の方を見ていた。

「エーレンフリートさんに聞きました。皇女殿下は素手でドラゴンを倒されると」
「はい?」
何故かルーカスさんはぽかんとしていた。

「そのような事を申しておられましたか」
頭を押さえている。

なんでだろう? 私はたしかにそう聞いたのに。違うんだろうか?

その後、すわ攻撃かと驚いた両軍の騎士が駆けつけて結構大変だった。
釈明は剣のおじちゃんがやってくれたが・・・・

うーん、やっぱり私は全力出してはいけないと改めて心に刻みこんだのだ。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

悪役令嬢に転生かと思ったら違ったので定食屋開いたら第一王子が常連に名乗りを上げてきた

咲桜りおな
恋愛
 サズレア王国第二王子のクリス殿下から婚約解消をされたアリエッタ・ネリネは、前世の記憶持ちの侯爵令嬢。王子の婚約者で侯爵令嬢……という自身の状況からここが乙女ゲームか小説の中で、悪役令嬢に転生したのかと思ったけど、どうやらヒロインも見当たらないし違ったみたい。  好きでも嫌いでも無かった第二王子との婚約も破棄されて、面倒な王子妃にならなくて済んだと喜ぶアリエッタ。我が侯爵家もお姉様が婿養子を貰って継ぐ事は決まっている。本来なら新たに婚約者を用意されてしまうところだが、傷心の振り(?)をしたら暫くは自由にして良いと許可を貰っちゃった。  それならと侯爵家の事業の手伝いと称して前世で好きだった料理をしたくて、王都で小さな定食屋をオープンしてみたら何故か初日から第一王子が来客? お店も大繁盛で、いつの間にか元婚約者だった第二王子まで来る様になっちゃった。まさかの王家御用達のお店になりそうで、ちょっと困ってます。 ◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆ ※料理に関しては家庭料理を作るのが好きな素人ですので、厳しい突っ込みはご遠慮いただけると助かります。 そしてイチャラブが甘いです。砂糖吐くというより、砂糖垂れ流しです(笑) 本編は完結しています。時々、番外編を追加更新あり。 「小説家になろう」でも公開しています。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

処理中です...