王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
14 / 66

ハウゼン王国反逆者視点 昔のクラスメートのメンロス国王と会いました

しおりを挟む
そして。年月が経った。

メンロス王国の国王になったオイゲンから息子の王太子の相手にと、カリーナの娘アデリナに婚約の申し込みが来たのだ。
俺は外交使節に付き添ってメンロス王国に赴いた。

「パスカル、久しいな」
久々に会った同級生のメンロス王は元気だった。俺の名前も覚えてくれていた。

「いやあ、俺が元気ならカリーナの娘を娶るのだが、もう俺も年だ。他の奴らに取られぬうちにうちの嫁にと申し込んだ次第だ」
アルコールが進むと笑ってメンロス国王は言ってくれた。

「アデリナ王女はカリーナに似て、美しいそうではないか」
メンロス国王は言ってくれた。確かに俺も初めてアデリナに会った時に、思わず「カリーナ」と言いそうになったほど似ていた。

まあ、どちらかと言うとアデリナはカリーナよりは幼い感じが見受けられたが、それは単に俺が年を取っただけかもしれなかった。

「帝国の皇帝のヘルムートもエンゲルのカスパルも側室にと言い出しかねんからな。それではいくらなんでも娘が可哀想だろう。我が息子の嫁ならば年寄りの側室よりはマシと思ってな。アレクシスも喜んでくれたよ」
苦々しい顔で国王は言ってくれた。
未だにカリーナをアレクシスに取られたことが悔しいらしい。

「陛下の優しい心遣いに王女殿下も喜んでおられました」
俺は当たり障りないことを言ってやった。

「まあ、アデリナはさぞかし大切に育てられたのでしょうね。ただ、我が王国は南北の交易も盛んで、いろいろ覚えてもらうこともあるから、心してもらうようにお伝え願えるかしら」
メンロスの王妃が横から口を出してきた。
王妃としては王の昔の想い人の娘ということで、心は穏やかではないらしい。アデリナにはそのあたりをきちんと伝えてやろうと俺は思ったのだ。

「カスパルは未だにカリーナを忘れていないみたいだ。アレクシスには注意するように伝えてくれ」
メンロス国王は別れしなにそう注意してくれた。しかし、俺達はそれを重要視しなかったのだ。
あそこまで、カスパルの心が歪んでいるとは思ってもいなかったのだ。

勢力を拡大し始めたロンメルツ王国がクラウン公国を併合したのは10年前だった。
帝国は代替わりした所で他国にまで手を回す余裕もなく、我が国もメンロスも助ける暇もなかった。
俺達の学び舎だった学園はロンメルツに併合されたが、それ以降は他国から王族が来るのはめったに減ったそうだ。

俺達はそれがカスパルの陰謀だとは思ってもいなかったのだ。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。

甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」 「はぁぁぁぁ!!??」 親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。 そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね…… って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!! お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!! え?結納金貰っちゃった? それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。 ※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた

ましろ
恋愛
「俺の妻になれ」 「嫌ですけど」 何かしら、今の台詞は。 思わず脊髄反射的にお断りしてしまいました。 ちなみに『俺』とは皇太子殿下で私は伯爵令嬢。立派に不敬罪なのかもしれません。 ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ✻R-15は保険です。

処理中です...