王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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私の衣装を馬鹿にした令嬢たちに皇女がザマアしてくれたあとに、皇女に頬を張られました

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私はロッテ・マイヤーさんの着せてくれた衣装がとても古いと高位貴族のマリアンネ嬢たちに囃し立てられたのだ。
私は戸惑った。

たしかにこの衣装は古いかもしれないけれど、マイヤーさんがわざわざ私に着せたのだ。
王女の矜持とか言いながら。それに見た感じとても高価そうだ。
この衣装を着ておられたのはとても高貴な方のはずだ。
おそらく、この令嬢たちが絶対に馬鹿にしてはいけない方が着られた衣装のはずなのだ。
それを馬鹿にされて黙って見ていることもできないだろう。
初対面で喧嘩なんかしたくないけれど、もう仕方がなかった。

「ああら、帝国の方々は派手な衣装をお気に召されるのですね。私はこの古風で、シックな衣装が気に入っておりましてよ」
私は言ってやったのだ。

「物は言いようね。さすが亡国の王女様は違いますわ。そんな地味な衣装を気に入られるなんて」
マリアンネが言ってくれた。
「本当ですわ。そんな地味な衣装。普通の人間は恥ずかしくて着られませんわ」
「そんな地味な衣装を着るなんて、うちの乳母でも着ませんわ」
そう言うと令嬢たちは高笑いしたのだ。


「何を話していらっしゃるの?」
そこに新たな令嬢が現れた。
私はうんざりしたが、相手を見て、驚いた。
真っ赤な燃えるような髪、目鼻立ちが整っていて、とても美人だ。そして、周りを威圧するような眼光を放つ青い目がらんらんと輝いているように見えたんだけど。
周りの令嬢らとはこの令嬢は放っているオーラが違うのだ。これは帝国の皇族だ。

「これはクリスティーネ様」
一同が礼をした。
クリスティーネ帝国第一皇女だ。

「こちらの方がこの古臭い衣装を気に入っているとおっしゃるのですよ」
「このような地味な衣装を着るなんて、余程ファッションのセンスが偏っているんじゃないかと噂しておりましたの」
皆がドット笑ったのだ。

「あああら、皆様、とても勇気のある御方ね」
クリスティーネ様は不吉な笑みを浮かべてくれた。

「この衣装どこかで見たことがあると思ったら、お義母様が陛下に嫁がれた時に持ってこられた衣装なのよ。さすが、マリアンネ嬢は勇気がお有りになるわ。この衣装を古臭いとか平気で言えるのだから。私は皇族内に荒波を立てたくないから口が裂けてもそんな事は言えませんわ」
それを聞いて令嬢たちがさああああっと青くなった。

やっぱりこれは皇后様の衣装だったのだ。
お義母様というのは確か今の皇后様のお子様はルヴィだけだったと、他は皆異母姉妹だ。クリスティーネ様は側室様のお子だと聞いていた。

「クリスティーネ様。今のは失言でした。何卒お許し下さい」
マリアンネが真っ青になって言い出した。
「も、申し訳ありません」
「私が浅はかでございました」
皆もう必死だった。

流石に皇后の耳に今の言葉が入るとまずいのだろう。
何しろ皇后様はルヴィの実の息子だ。皆着飾って宮廷にいるということはルヴィ狙いのはずだ。クリスティーネ様の実のお母様は伯爵家の令嬢だと聞いたことがある。たとえ私がルヴィの正妻になったとしても、側室はまだ可能なのだ。考えたら、亡国の王女の私が正妻の座なんてつけるわけはなかった。側室が良いところだろう。帝国は確か妻の数に定めは無かったはずだ。現帝のお父上は現帝の実のお母様の現皇太后様の他にも側室が3人もいて、その一人がエンゲル王国の王女で、当時の第一皇子と第二皇子の皇位継承争いは結構大変だったと聞く。皆その座を狙っているのだろう。

なんか他にもルヴィの妻がいると思うと嫌になってきた。お母様が帝国の第三皇子の現皇帝の求愛を蹴った理由が私にも判った。私もそんなのは嫌だ。でも、もう、ルヴィの求婚は勢いで受けてしまった。
今から断ることは出来ないんだろうか?
私の考えが横道にそれた時だ。


「でも、ノーラは聞いたわよね」
「はい、確かにお伺いしました」
私の横にいた侍女が頷いてくれた。

「私だけだったら忘れてあげたけれど、アデリナ様も確かに聞かれたと思うのよね。アデリナ様がお義母様からこの衣装を借りられたのに、これが古くてダサいってあなた達が言っていたというのがお義母様の耳に入ったらどうなるのかしら」
人の悪い笑みを浮かべてクリスティーネ様が言われるんだけど。

「申し訳ありませんでした。アデリナ様。わたしたちの失言でした」
「「「何卒お許し下さい」」」
皆蒼白になって今度は私に謝ってきたのだ。
皆必死の形相だった。そのまま、言いつけてやってルヴィの側室候補を減らしても良かったけれど、皇后様に嫌われたとなると他の嫁の行きてもなくなるかもしれない。
私は仕方無しに許して上げたのだ。

そして、彼女らが頭を下げ下げ、去っていった後だ。

パシーン
私はクリスティーナに思いっきり頬を張られたのだ。

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