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マイラ様の所に行くのに会長を起こそうとして間違えて氷の侯爵令息の窓ガラスを割ってしまいました
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私は前世は病弱でほとんど病院のベッドで過ごしていた。
そして、病院のベッドの中から良く外を見ていたのだ。
病室からは広い芝生が見えて、そこには元気に駆け回る子供たちがいた。私もその中に入って走り回りたかった。でも、私の体ではそんなことは出来なかったのだ。私は指をくわえて走り回る子供たちを見ていることしかできなかった。どれだけ外で遊びたかったことか……
でも、今世は元気だ。風邪なんかも引いた事はほとんどない。超健康体なのだ。
そして、外を自由に走り回って遊べていたのだ。
神様が私の願いを聞いてくれたのだ。
そして、一度おばあちゃんが病に倒れて死にそうになった時に、神様に一心不乱でお祈りして、「痛いの痛いの飛んで行けーーーー」って何度も呟いたら、翌日にはおばあちゃんは元気になっていたのだ。
でも、その後おばあちゃんには叱られた。二度とその力を使ってはいけないって。
二回目おばあちゃんが倒れた時も使おうとしたんだけど、止められたのだ。
「その力は使ってはダメだよ。それに私はもう老衰だから逝かしておくれ」って。
この力が権力者にバレたら、一生涯閉じ込められてこき使われて、二度と太陽を見れないからねっておばあちゃんに言われていたのだ。
世の中には癒し魔法士はいるが、癒し魔法士は基本的に外傷にしか効かなくて、病には効かないそうだ。私の力は異常なんだとか。
癒し魔法が使えると知られただけで、外国に売られそうになったし、おばあちゃんの遺言もあったから皆には言わなかったけれど、おそらく、病にも効く。
マイラ様に対しても効くはずなのだ。
前世、私は病弱でほとんどベッドの上で過ごした。その大変さは良く判っているはずなのに。
なのにだ! なのに、マイラ様が病気だって聞いても、何もしなかった。
私がやろうとしたら出来たのに!
癒し魔法で病を治せることが判れば王宮に閉じ込められる? もう会長の傷を治したから私が癒し魔法が使えることは判っているはずだ。
今更それが病に使えると判ったところで大したことはない……はずだ……
それにいざとなったら会長が守ってくれるはずだ……おそらくだけど……元気になったマイラ様に夢中になった会長は私の事を完全に忘れてしまうかもしれないけれど……
でもやらなかったのはライラが言うように、マイラ様が元気になったら、会長が取られるかもしれないって思っていたからだ。
前世の自分の体験があったにもかかわらずだ!
何してんだ、ニーナ!
人の命よりも大切な物はないはずなのに!
会長がマイラ様に夢中になって、私の事なんて見向きもしなくなっても、病で苦しんでいるマイラ様が元気になればいいじゃないか。前世の私みたいに何もできずに死ぬよりは余程ましだ。
会長が取られるのは嫌だけど、その時は仕方がない。だって、私は平民なんだから。本来なら会長と親しくするなんてことは絶対に無理なのだ。
どのみち、後一年もすれば会長は学園を卒業して、私は二度と会長に会う事も無いのだ。
それが少し早くなるだけだ
そして、私は恋人が患っているのに、のうのうとこんな所で寝ている会長から叩き起こすことにしたのだ。会長ならマイラ様の所に案内してくれるはずだ。
「ライラ、本当にあの窓なの」
一応私は確認した。
会長の部屋は男子寮の最上階の一番上の右端だそうだ。
なんで、ライラが知っているか判らないけれど。
「確かよ。ゲームで殿下の窓に石をぶつけるというシーンがあって、よく覚えているのよ」
ライラが言うんだけど、何てゲームなのよ。
ロミオとジュリエットじゃないんだから。それに窓に石をぶつけるのは普通は男のはずだ。なんで女がぶつけているのよって聞いたら
「知らないわよ。ゲーム作者がやってみたかったんじゃないの? でも間違えて左の窓に当てたらダメよ。アクセリ様だから」
「えっ」
遅いわよ! 私は投げの姿勢に入っていたのだが、更にその言葉に動揺してしまった。
バリン
そして、ものの見事にその左のガラスに当ててしまったのだ。
「げっ!」
そして、力加減を間違えたのか、そのガラスを割ってしまったのだ。
「やばい」
「何やっているのよ」
私が叫んで逃げようとした時にはもうライラは駆けだしていた。
ドン!
「痛い」
しかし、ものの二三歩も行かないところで、ライラは男にぶつかってしまった。
「何をしているのかな? ニーナ嬢」
地獄の底から湧いたような冷たい声が響いた。
ええええ!
なんと、そこにはこめかみを押さえて怒っているアクセリ様が立っていたのだ。
ちょっと待ってよ。今、窓ガラスを割ったところなのに、なんでアクセリ様がここにいるのよ!
私は盛大に心の悲鳴を上げていたのだ。
*************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございます。
このサイドストーリー
『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられ、氷の貴公子に執着されました』
この話のライラ視点です。ライラの性格がガラリと変わります。
是非ともお読みください。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/302819342
下にリンクも張っています
そして、病院のベッドの中から良く外を見ていたのだ。
病室からは広い芝生が見えて、そこには元気に駆け回る子供たちがいた。私もその中に入って走り回りたかった。でも、私の体ではそんなことは出来なかったのだ。私は指をくわえて走り回る子供たちを見ていることしかできなかった。どれだけ外で遊びたかったことか……
でも、今世は元気だ。風邪なんかも引いた事はほとんどない。超健康体なのだ。
そして、外を自由に走り回って遊べていたのだ。
神様が私の願いを聞いてくれたのだ。
そして、一度おばあちゃんが病に倒れて死にそうになった時に、神様に一心不乱でお祈りして、「痛いの痛いの飛んで行けーーーー」って何度も呟いたら、翌日にはおばあちゃんは元気になっていたのだ。
でも、その後おばあちゃんには叱られた。二度とその力を使ってはいけないって。
二回目おばあちゃんが倒れた時も使おうとしたんだけど、止められたのだ。
「その力は使ってはダメだよ。それに私はもう老衰だから逝かしておくれ」って。
この力が権力者にバレたら、一生涯閉じ込められてこき使われて、二度と太陽を見れないからねっておばあちゃんに言われていたのだ。
世の中には癒し魔法士はいるが、癒し魔法士は基本的に外傷にしか効かなくて、病には効かないそうだ。私の力は異常なんだとか。
癒し魔法が使えると知られただけで、外国に売られそうになったし、おばあちゃんの遺言もあったから皆には言わなかったけれど、おそらく、病にも効く。
マイラ様に対しても効くはずなのだ。
前世、私は病弱でほとんどベッドの上で過ごした。その大変さは良く判っているはずなのに。
なのにだ! なのに、マイラ様が病気だって聞いても、何もしなかった。
私がやろうとしたら出来たのに!
癒し魔法で病を治せることが判れば王宮に閉じ込められる? もう会長の傷を治したから私が癒し魔法が使えることは判っているはずだ。
今更それが病に使えると判ったところで大したことはない……はずだ……
それにいざとなったら会長が守ってくれるはずだ……おそらくだけど……元気になったマイラ様に夢中になった会長は私の事を完全に忘れてしまうかもしれないけれど……
でもやらなかったのはライラが言うように、マイラ様が元気になったら、会長が取られるかもしれないって思っていたからだ。
前世の自分の体験があったにもかかわらずだ!
何してんだ、ニーナ!
人の命よりも大切な物はないはずなのに!
会長がマイラ様に夢中になって、私の事なんて見向きもしなくなっても、病で苦しんでいるマイラ様が元気になればいいじゃないか。前世の私みたいに何もできずに死ぬよりは余程ましだ。
会長が取られるのは嫌だけど、その時は仕方がない。だって、私は平民なんだから。本来なら会長と親しくするなんてことは絶対に無理なのだ。
どのみち、後一年もすれば会長は学園を卒業して、私は二度と会長に会う事も無いのだ。
それが少し早くなるだけだ
そして、私は恋人が患っているのに、のうのうとこんな所で寝ている会長から叩き起こすことにしたのだ。会長ならマイラ様の所に案内してくれるはずだ。
「ライラ、本当にあの窓なの」
一応私は確認した。
会長の部屋は男子寮の最上階の一番上の右端だそうだ。
なんで、ライラが知っているか判らないけれど。
「確かよ。ゲームで殿下の窓に石をぶつけるというシーンがあって、よく覚えているのよ」
ライラが言うんだけど、何てゲームなのよ。
ロミオとジュリエットじゃないんだから。それに窓に石をぶつけるのは普通は男のはずだ。なんで女がぶつけているのよって聞いたら
「知らないわよ。ゲーム作者がやってみたかったんじゃないの? でも間違えて左の窓に当てたらダメよ。アクセリ様だから」
「えっ」
遅いわよ! 私は投げの姿勢に入っていたのだが、更にその言葉に動揺してしまった。
バリン
そして、ものの見事にその左のガラスに当ててしまったのだ。
「げっ!」
そして、力加減を間違えたのか、そのガラスを割ってしまったのだ。
「やばい」
「何やっているのよ」
私が叫んで逃げようとした時にはもうライラは駆けだしていた。
ドン!
「痛い」
しかし、ものの二三歩も行かないところで、ライラは男にぶつかってしまった。
「何をしているのかな? ニーナ嬢」
地獄の底から湧いたような冷たい声が響いた。
ええええ!
なんと、そこにはこめかみを押さえて怒っているアクセリ様が立っていたのだ。
ちょっと待ってよ。今、窓ガラスを割ったところなのに、なんでアクセリ様がここにいるのよ!
私は盛大に心の悲鳴を上げていたのだ。
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ここまで読んで頂いて有難うございます。
このサイドストーリー
『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられ、氷の貴公子に執着されました』
この話のライラ視点です。ライラの性格がガラリと変わります。
是非ともお読みください。
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