聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラ物語

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
9 / 115

皇子様に抱かれて一緒のベッドで寝ました

しおりを挟む
私はなんと、そのままクリフにお姫様抱っこをされて部屋まで連れて行かれた。

周りの近衛騎士や使用人からは驚いた眼で見られるし、私は死ぬほど恥ずかしくなっていた。

「クリフ、歩けるから」
私は必死に言い張ったが、
「ふんっ、まだ、恐怖は抜けていないだろう!」
そうクリフが言って、全く聞いてくれなかったんだけど。

「そんな事はないわよ」
「俺の服をしっかり握っているじゃないか」
笑ってクリフに指摘されたんだけど……

「えっ、いや、これは」
私は確かにクリフの服をしっかり握っていた。

「離せるよ。えい、や」
しかし、私がいくらやっても私の指は離せなかったんだけど。

「ほらな」
クリフが言ってくれるが、何かがおかしい。
クリフはそのまま大きな部屋の扉を開けて入って行くんだけど……

「悪かったな、酷い目に合わせて」
ボソリとクリフが言ってくれた。

「うん」
私は頷いた。本当だ。もう少しで拷問されるところだったのだ。

私は改めてギュッとクリフの服を持つ手に力を入れた。
「すまなかった」
クリフが更に言ってくれて、思わず私はギュッとクリフに抱きついた。
私の瞳から涙が落ちてきた。

「もう絶対に大丈夫だから」
そう言うとクリフもぎゅっと私を抱きしめてくれたのだ。
「クリフ、怖かったよ」
「よしよし」
泣く私をクリフは頭をなでて慰めてくれたのだ。
なんか、完全に子ども扱いされていて、何か違うと思ったんだけど、クリフに抱きついているだけで本当に癒されたのだ。
私は落ち着くまでクリフの胸の中で泣いていた。



「さあ、奥に風呂があるから入って来い」
私が落ちさ着くとクリフが背中を叩いて言ってくれた。

「えっ、でも、クリフは?」
「俺は後でいいから」
そう言うと、クリフが中に案内してくれた。

「あれ、これ、お湯はどうやって張るの?」
中はタイル張りの部屋だったが、水が出る蛇口とかはなかった。
何しろ異世界転生してから初めてのお風呂なのだ。

「お前の前いた世界とは違うのか?」
「前の世界は蛇口があって、それをひねるとお湯や水が出てくるの」
私は説明する。

「うーん、魔導具か何かか?」
「そうじゃないけれど」
私が説明したが、
「まあ、今一つ良くわからないが、こちらの世界では魔法でやる。見ていろよ」
そう言うとクリフは手を突き出した。

「お湯よ、出ろ」
クリフがそう唱えると、クリフの手からお湯が出てあっという間にバスタブを満たしたのだ。

「クリフ、凄い!」
私は手を叩いて感激した。

「よく言うよ。お前のヒールに比べたら全然だよ」
呆れてクリフが言ってくれた。

「そうだ。まだ、お礼言っていなかったな。助けてくれて助かったよ」
クリフが改まって言ってくれた。

「いやいや、そもそもクリフが怪我したのは私を助けようと無理をしてくれたからじゃない。治すのは当然よ」
私が言うと、

「いや、普通は治したくても治せないんだよ。俺は瀕死の重傷だったろう。それを治せたなんて本当に凄い事だよ」
クリフは首を振っていうんだけど。

「無我夢中だったから」
「それまでにヒールしたことあったのか」
「ううん。初めてよ。ヒールなんて使ったの。クリフを助けなければいけないと思って必死にやったと言うか祈ったら出来たのよね」
「さすが異世界人ってところだよな」
クリフが感心してくれるんだけど。
そういうものだろうか?

そう言えばお風呂のお湯も入ったし、余り話しているとぬるくなる。

「それよりそろそろお風呂入りたたいんだけど」
私が言うと、
「いいぞ。入ってくれて」
「入ってくれてって、男の人の前で裸になれるわけ無いでしょ」
「でも、まだ怖いんじゃないのか。俺は気にしないが」
クリフが子供を見る父親みたいな顔で言ってくけれるんだけど……

「私が気にするの」
私はそう言うと強引にクリフを外に追い出したのだ。


そして、久しぶりにお風呂に入った。

私はぐたーとした。本当に生き返る。

この3日間本当に波乱万丈の3日間で休む間もなかった。
なんかこのまますぐに寝てしまいそうだ。

でも、不思議だ。

今までなら少しでも無理したらすぐに高熱出して寝込んでいたのに!
昨日は地下牢で寝ていたけれど、今までなら絶対に酷い事になっていたはずなのに。全然平気なのが何故だか良く判らなかった。

この首輪のお陰なんだろうか?

そう言えば守りの首輪とか偉い人が言っていたような気がしたけれど……奴隷の首輪ではないのか?

お風呂を出たところにあった脱衣所には下着とガウンみたいな寝間着が置いてあった。
それを着て外に出るとベッドでクリフが寝転んでいた。

「クリフ、お風呂空いたよ」
私が言うと、クリフは目を開けて起き上がった。

「髪乾かしてやろう」
そう言うとクリフは温風を当ててくれた。
「凄い!ドライヤー当てているみたい」
私が言うと
「ドライヤー?」
「髪を乾かす道具よ」
「そんなのがあるんだ。アオイも練習すれば直に使えるようになるさ」
「そうかな」
私にも使えるんだろうか?


「部屋は一応アオイの分も用意されているんだけど、どうする?」
クリフが髪を乾かしながら、聞いてきた。

考えたら、普通は男女が同じ部屋にいるのはおかしい。
クリフとは別の部屋になるはずなのだ。

でも、昨日からの件でまだ一人で寝るのには恐怖があった。
それに今まで一緒に野宿もしてきたし最初の日は同じ部屋に泊まったはずだ。
私みたいな子供をクリフが襲ってくるわけもないはずだ。

「寂しければ一緒に寝るか」
そんな私を見てクリフが言ってくれた。
「もしよければ……」
私がおそるおそる言うと、

「じゃあ、俺はソファーでも寝ようか?」
クリフが聞いてきた。

「出来たら今日は一緒に寝たい」
私は思わず下を向いて言った。私は平生ならば絶対に言わない言葉を発していた。
騎士に拷問されそうになった恐怖はまだ去っていなかったのだ。

それに最後の野宿の時は完全にクリフにくっついて寝たのだ。まあ、あの時はクリフは意識がなかったが。それに私の事をペチャパイだとかお子ちゃまだとか平気で言ってくれるのだ。私を女として見ているとは思えなかった。

「いや、俺は良いが……」
そして、私を見るとプイッと視線をそらしてくれた。
また、胸がないとか言ってくれるんだろうか。
でも、牢屋に入れられるよりはよほどマシだ。クリフは温かいし……

口は悪くとも親切なクリフは私を抱きしめて寝てくれた。
兄ってこんな感じなんだろうか?
私は暖かなクリフに抱かれて安心して眠ってしまったのだ。

**********************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きは明朝です。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

処理中です...