聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラ物語

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
62 / 115

早速噂になった私の元に伯爵令息と何故か第二皇子殿下が飛んできました

しおりを挟む
翌日、怪我していたポーラが大丈夫かも心配だったし、また、殿下方に絡まれるのも嫌だったので、私はエイミーを急かして早めに宮殿を出たのだ。

あれから、皇后様は上機嫌で私のお相手をして頂けたのだが、私は精神が削られる思いだった。位の高い人の相手をするのは疲れる。おばあちゃん(皇太后様)は楽なのに、何で皇后様は疲れるんだろう? まあ、その横に不機嫌そうな皇女殿下がいたので、更に疲れたのかもしれないけれど……
私はほうほうの体で最後は逃げ出したんだけど……

さすがの早朝の学園の入り口は止まっている馬車も少なかった。

学内を歩いている生徒もまだ少ない。

私は急いで医務室に向かった。ポーラはちゃんと治っているだろうか? 夜に何か問題が起きていないだろうか? 私は少し不安だった。

「大丈夫だった?」
ガラリと扉を開けて、中に入ると、中では、ポーラとエイブが、くっつくようにいたんだけど……

私を見て慌てて二人は離れた。

何か顔が赤いんだけど……

「ノックもなしにいきなり、入ってくるなよ」 
エイブが言うが、

「何なの? 二人とも顔が赤いんだけど、ポーラ、何かエイブにされなかった?」
私は慌てて、ポーラに駆け寄るが、ポーラの顔が真っ赤だ。

「何もされていないわよ」
ポーラが言うんだけど、何か変だ。

「えっ、ひょっとして、熱があるの?」
「大丈夫だったら」
私がおでこに触ろうとしたら、ポーラが慌てて、いらないと断って来るんだけど……

どうしたんだろう?

「まあ、アオイ様。今日はお早いのですね」
そこに王宮の侍女が入って来た。エイミーにお願いした看護人だ。

「あ、どうもありがとうございます。アンナさん。あなたがポーラの面倒を見てくれたのですね」
私は侍女に感謝した。

「いえいえ、私はお邪魔だったような気がしますが」
笑ってアンナさんが言うが

「何言っているんですか、アンナさん」
「そうですよ。邪魔だなんてとんでもない」
エイブとポーラが必至に何か言っている。
なんか怪しいんだけど、何だろう?

「まあまあ、アオイ様にはまだまだ分からない事なのかもしれませんね」
私の疑問にアンナさんは答えてくれるんだけど。
「何ですか? それは?」
何か私はガキだからわからないみたいなのは少しむっとするんですけど。

「まあ、アオイ様もじきにわかるようになりますよ」
笑って、アンナさんは誤魔化してくれるんだけど、何なのだ!

「じゃあ、ポーラ、先に行くぞ」
エイブが断って出て行った。
「有難う。私も着替えたら、すぐにアオイと行くわ」
ポーラも手を振っている。
この二人こんなに仲良かったっけ?
私は不思議だった。

着替えたポーラと一緒に教室に入ると

「聞いたわよ。アオイ、あなた、側妃様に『お妾様が大きな顔をして宮殿内を歩くな』って言ったんだって」シンシアが聞いて来た。
こいつはダリアが断罪されてからこちらにすり寄って来た日和見令嬢だ。

「何言っているのよ。私はその上に側妃様の頬を張ったって聞いたわよ」
「えっ、何の話よ。そんなこと気の弱い私が出来るわけないでしょ」
私が大声で否定するが、

「何が気が弱いよ。ダリアのお父様を断罪したのもあなただって話じゃない。それでダリアは逆恨みして昨日みたいになったけれど。」
もうシンシアはダリアを様付けじゃなくて呼び捨てにしている。さすが変わり身が早い。

「ダリアの御父さんの話は本当に私は知らないわよ。横領なんて私が判るわけないでしょ」
「それは会計監査院に何か、つてかなんかあったんじゃないの」
「無いわよ」
あってもクリフか皇太后様だ。私ではないのだ。

「おい、そこにアオイとかいう女はいるか?」
そこにまた、偉そうな男が入って来た。

皆私を見る。

何か面倒ごとっぽいから無視しても良いだろうか?

「アオイはこの子ですけど」
言わなくてもいいのに、シンシアが私を指してくれた。

「なんだ。全然聖女っぽくない顔つきだな」
男の言葉に私は完全にプッツン切れたんだけど。
何なのだ。こいつはいきなりやって来て、人をけなすなんて!

「まあ、良いだろう」
何がまあいいんだよ。私は更に頭に来た。張り倒しても良い?

「俺はウィンスロー伯爵家の嫡男のダニーだ」
確かウィンスロー伯爵家はクララ様の領地の傍だ。

「お前にとってとてもいい話だ。お前の癒し魔術が素晴らしいと聞いてな。俺の婚約者にしてやろうとわざわざ来てやったのだ」
こいつ何を言っているのだ? 一瞬本当に張り倒してやろうかと思ったが、それでなくても側妃様に逆らった生意気な奴と周りに思われている。
ここは我慢だ。と思ったのだ。

「そこのクソガキ。何か言ったか!」
しかし、私よりも先に後ろに座っていたボビーが怒って立ちあがってくれたのだ。

「何だと、みたところ、貧乏貴族の騎士だと思うが、我がウィンスロー伯爵家に逆らうのか?」
鷹揚に伯爵の坊ちゃんが言ってくれるんだけど、そんなのボビーが聞くわけは無かった。

「ギャアギャア煩いな。アオイと付き合いたかったら、まず俺と決闘して勝ってから言ってもらおうか」
「ふん、脳筋はこれだから困る。決闘なんてそんな野蛮なことを俺がやるわけは無いだろう」
「何だと」
ボビーは伯爵令息の胸元を掴んだ。
ちょっと待ってよ。さすがに伯爵令息を殴り倒したりしたら停学ものよ。

私はまずい、と思ったのだ。

そこにだ。来なくていいのに、更に怒り顔の第二皇子がやってくるのが見えた。

「ボビー!」
私はとっさにボビーに合図して伯爵令息をウイルの前に突き出させたのだ。

「どけっ。邪魔だ」
やった。命中だ。
伯爵令息を第二皇子が弾き飛ばしてくれたのだ。

「ギャッ」
令息は机の中に突っ込んでいった。
ガンガラガッシャンと大きな音を立てて机をいくつも倒して令息が止まる。

「アオイ、お前な」
第二皇子殿下が叫びだすが、

「かわいそう。殿下が弾き飛ばしたんですよ」
私は立ち上がれずにいる伯爵令息を見て言った。

「何、貴様がその男を俺の前に突き出したんだろう」
「ひどーーーい。突き飛ばしたのに」
私がぶりっこして叫ぶと

「き、貴様、よくも俺を机の中につき飛ばしてくれたな」
伯爵令息が頭に来て、ウィルに掴みかかって行った。

「よし、やれ、やれ!」
私は応援したのだ。

しかしだ。

「貴様。王族である俺に楯突くのか」
ウィルが叫んでいた。

「で、殿下、も、申し訳ありません」
軟弱な事にあっという間に伯爵令息は頭を下げて謝りだしたのだ。

二人とも喧嘩してくれたらややこしい二人まとめて停学に出来たのに……

私の思惑は脆くも崩れ去った。

伯爵は尻尾を巻いて逃げて行って、後には更に怒り狂った第二皇子が残ったんだけど、一体どうなるの?
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

処理中です...