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クイバニ伯爵領を併合、小さい領土を2倍にしました(支配率はたったの2%)
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もくもくとした真っ黒な粉塵が消えてから、私は起き上がろうとしてフィル様が動かないのに気付いた。
「フィ、フィル様!」
私は慌ててフィル様を抱き起こそうとするが、甲冑の頭部から血を流しているのが見えた。
私は慌てて鎧の頭部を取る。フィル様はおでこが切れて血を流していた。
「ヒール」
慌ててヒールをかける。フィル様の傷が塞がる。
「うっ」
フィル様が呻いて少し動いた。
一応胸に手を当てて心音を聞くとちゃんと動いているのが判って私はホッとした。
そんなに大きな怪我は負っていないと私は感じた。
座った膝の上にフィル様の頭を置く。
そして、爆風で少し縮れたようになっている髪を私は撫でた。
「守って頂いて、ありがとうございます」
そう言って、フィル様が見ていないのを良いことにおでこにお礼のキスをする。
フィル様の表情が少し明るくなったように感じた。
「ちょっと、アン! あなたイチャイチャする前に私達に言う事があるんじゃなくて!」
私は後ろに怒髪天のイングリッドが手に腰をあてて立っているのに気づいた。
イングリッド達は体中傷だらけで煤まみれだ。
「御免なさい!」
私は慌てて謝ると、皆にヒールをかけた。
「ちょっとアン、あなた、フィルに対する扱いと私達に対する扱いが違いすぎない?私達諸共吹き飛ばそうとしたくせに」
「御免なさい。イングリッド。伯爵が厭らしいことしたから完全に切れてしまって、無我夢中でやっちゃって、あなた達のことを完全に忘れていたの」
私が謝るが、
「あなたね。部下のことを忘れる王女なんて、普通はいないわよ」
イングリッドの怒りは収まらない。
「ちょっとフィル、いつまでアンの膝枕で嘘寝しているのよ」
イングリッドの怒りはフィル様にまで及んだんだけど、フィル様も私の攻撃の犠牲になって今、倒れて・・・・・
あろう事かイングリッドは怒りのあまりフィル様の顔を蹴ろうとしたのだ。
その瞬間だ。さっとフィル様が起き上がってそれを躱したのは
えっ?
「ひょっとしてフィル様、起きていらっしゃったのですか?」
私は真っ赤になってしまった。
キスした時も起きていたの?
私の頭の中はもう恥ずかしくってパニックになっていた。
「いや、今イングリッドの殺気を感じて思わず目が覚めたんだ」
フィル様が慌てて言うが、
「そんなわけないでしょ。こいつは最初から起きているわよ」
イングリッドが言うんだけど。
「いや、もっと寝ていたらキスしてくれたかなって」
フィル様の声を聞いて、やっぱり起きていたんだと判って、私は真っ赤になった。
「突撃」
「ウォーーーーー」
そこへ雄叫びとともに、クリスティーン様の軍隊が突入してきたんだけど・・・・
「おい、アン、敵はどこだ?」
クリスティーン様らは爆発で消滅した伯爵邸を見て唖然としていた。
「すいません。伯爵に厭らしいことされたので、思わず魔術を使ってしまいました」
私が笑って誤魔化そうとした。
「アン、相手に余計なことをしようとした伯爵が馬鹿だったんだな。まあ、伯爵領が消滅しなくて良かった」
「いや、クリステイーン様、いくら私でもそこまでしませんって」
私がそう主張したが、
「この現場を見せられるとな。勇者が暴虐の山姥とか赤髪の魔王というのもあながち間違っていないのではないかな」
「ちょっと、待って下さいよ。あのボケ山賊そんな事言っていたんですか」
私はムツとして勇者を探すが、流石にここにはいなかった。
うーん、でも、暴虐令嬢と言われているクリスティーン様にまで呆れられたら私は終わりではないだろうか?
さすがの私も少し落ち込んだ。
そして、この地での私のこの行いが、尾ひれ背びれつけて全土に広がってしまったのだ。
私についた渾名が『暴虐の山姥』・・・・勇者の言っていたのと同じじゃない!
クイバニ伯爵は私をペチャパイと言って馬鹿にしたから爆死させられたとか、無い胸に触れて黒焦げにされたとか、噂言されたのだ。
ちょっと待ってよ、何で私の胸が無いって言うことが広がっているのよ!
その噂を聞いて私が切れたのは言うまでもない。
我がアンネーゼ軍はその日のうちに伯爵領を制圧、完全併合した。付近の子爵領や男爵領も配下に加えて、小さな国土は2倍になった。
もっともスカンディーな王国全体ではまだ2%しか無かったが・・・・。
取り敢えず、我軍はブルーノ相手に小さな一歩を記したのだった。
「フィ、フィル様!」
私は慌ててフィル様を抱き起こそうとするが、甲冑の頭部から血を流しているのが見えた。
私は慌てて鎧の頭部を取る。フィル様はおでこが切れて血を流していた。
「ヒール」
慌ててヒールをかける。フィル様の傷が塞がる。
「うっ」
フィル様が呻いて少し動いた。
一応胸に手を当てて心音を聞くとちゃんと動いているのが判って私はホッとした。
そんなに大きな怪我は負っていないと私は感じた。
座った膝の上にフィル様の頭を置く。
そして、爆風で少し縮れたようになっている髪を私は撫でた。
「守って頂いて、ありがとうございます」
そう言って、フィル様が見ていないのを良いことにおでこにお礼のキスをする。
フィル様の表情が少し明るくなったように感じた。
「ちょっと、アン! あなたイチャイチャする前に私達に言う事があるんじゃなくて!」
私は後ろに怒髪天のイングリッドが手に腰をあてて立っているのに気づいた。
イングリッド達は体中傷だらけで煤まみれだ。
「御免なさい!」
私は慌てて謝ると、皆にヒールをかけた。
「ちょっとアン、あなた、フィルに対する扱いと私達に対する扱いが違いすぎない?私達諸共吹き飛ばそうとしたくせに」
「御免なさい。イングリッド。伯爵が厭らしいことしたから完全に切れてしまって、無我夢中でやっちゃって、あなた達のことを完全に忘れていたの」
私が謝るが、
「あなたね。部下のことを忘れる王女なんて、普通はいないわよ」
イングリッドの怒りは収まらない。
「ちょっとフィル、いつまでアンの膝枕で嘘寝しているのよ」
イングリッドの怒りはフィル様にまで及んだんだけど、フィル様も私の攻撃の犠牲になって今、倒れて・・・・・
あろう事かイングリッドは怒りのあまりフィル様の顔を蹴ろうとしたのだ。
その瞬間だ。さっとフィル様が起き上がってそれを躱したのは
えっ?
「ひょっとしてフィル様、起きていらっしゃったのですか?」
私は真っ赤になってしまった。
キスした時も起きていたの?
私の頭の中はもう恥ずかしくってパニックになっていた。
「いや、今イングリッドの殺気を感じて思わず目が覚めたんだ」
フィル様が慌てて言うが、
「そんなわけないでしょ。こいつは最初から起きているわよ」
イングリッドが言うんだけど。
「いや、もっと寝ていたらキスしてくれたかなって」
フィル様の声を聞いて、やっぱり起きていたんだと判って、私は真っ赤になった。
「突撃」
「ウォーーーーー」
そこへ雄叫びとともに、クリスティーン様の軍隊が突入してきたんだけど・・・・
「おい、アン、敵はどこだ?」
クリスティーン様らは爆発で消滅した伯爵邸を見て唖然としていた。
「すいません。伯爵に厭らしいことされたので、思わず魔術を使ってしまいました」
私が笑って誤魔化そうとした。
「アン、相手に余計なことをしようとした伯爵が馬鹿だったんだな。まあ、伯爵領が消滅しなくて良かった」
「いや、クリステイーン様、いくら私でもそこまでしませんって」
私がそう主張したが、
「この現場を見せられるとな。勇者が暴虐の山姥とか赤髪の魔王というのもあながち間違っていないのではないかな」
「ちょっと、待って下さいよ。あのボケ山賊そんな事言っていたんですか」
私はムツとして勇者を探すが、流石にここにはいなかった。
うーん、でも、暴虐令嬢と言われているクリスティーン様にまで呆れられたら私は終わりではないだろうか?
さすがの私も少し落ち込んだ。
そして、この地での私のこの行いが、尾ひれ背びれつけて全土に広がってしまったのだ。
私についた渾名が『暴虐の山姥』・・・・勇者の言っていたのと同じじゃない!
クイバニ伯爵は私をペチャパイと言って馬鹿にしたから爆死させられたとか、無い胸に触れて黒焦げにされたとか、噂言されたのだ。
ちょっと待ってよ、何で私の胸が無いって言うことが広がっているのよ!
その噂を聞いて私が切れたのは言うまでもない。
我がアンネーゼ軍はその日のうちに伯爵領を制圧、完全併合した。付近の子爵領や男爵領も配下に加えて、小さな国土は2倍になった。
もっともスカンディーな王国全体ではまだ2%しか無かったが・・・・。
取り敢えず、我軍はブルーノ相手に小さな一歩を記したのだった。
応援ありがとうございます!
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