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1人で転移して村長を救ったことが小っ恥ずかしい記事になって周辺地域にばらまかれた事を知って恥ずかしさのあまり悶絶しました
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ここ2、3日、私はイェルド様に軍事経済の全てを叩き込まれて、フラフラになっていた。
「アン、そんな事は気にせずとも良いぞ。なんだったらまたドラゴン退治に行ってやる。次は1万人くらいの傭兵を連れて戻って来よう」
クリステイーン様はそう言ってくれるんだけど、それはさすがに悪い。
「まあ、クリステイーン様は伊達と酔狂で今回の戦闘にいらっしゃっているんだから、気にしなくても良いんじゃない」
エルダは平然としていたし、
「アン、どうしたの、あなたがちゃんと考えて計算するなんて! いつも出たとこ勝負なのに、熱でもあるんじゃない?」
一番ひどいのがイングリッドだった。
「私もたまには考えるわよ」
私が剥れて言うと、
「でも、そこは考えても仕方がないところじゃない。真面目に考えていたら、こんな無謀な事、最初からやっていないでしょ」
イングリッドにダメだしされてしまった。
うーむ。何も考えずに行動するのはイングリッドの専売特許のはずなのに! そのイングリッドに馬鹿にされることになるなんて! もう終わりだ。
それに、何か、みんな私を見てコソコソ噂しているみたいなんだけど、そんなに私の様子が変なんだろうか?
計算し過ぎて熱が出たとか。そうか、服を反対に着ているとか。
私は鏡を見たが別に変なところはない。
「おはようございます」
護衛のメルケルが私を見かけて声をかけてきた。
「おはよう。もう、怪我は治った?」
「お陰様で。その節は申し訳ありませんでした」
メルケルが謝ってきた。
「それは良いんだけど、今背中に隠したものは何?」
私は気になったので聞いた。
そう言えばコソコソ噂していたものも皆紙を持っていたような気がする。
「いえ、これは何でも」
「見せて」
私は手を出して有無を言わせぬ調子で命じていた。
「えっ、でもこれは決して変なものではないですよ」
「じゃあ見せられるでしょ」
必至に隠そうとするメルケルに詰め寄る。
メルケルはおずおずと紙を出してきた。
それは号外の記事だった。
そして、それを見て私は真っ赤になった。
そこには私が村長を切りつけようとしたパパランダ伯爵を殴りつけている絵がデカデカと描かれていたのだ。
その下には、『斬られようとした村長を身をもって守る我らが王女』の文字がでかでかと書かれていた。
「イェルド様。これは何なんですか!」
私は記事を書いた人間を突き止めると本人に食って掛かった。
「殺さそうになった国民を助けるために自ら転移されたアンネローゼ殿下を書いたものだと思うのですが」
「思うのですかではないでしょ。なんでこんな小っ恥ずかしい記事を公開したんですか?」
「何をおっしゃるのです。この記事は殿下が如何に国民思いでいらっしゃるのか端的に示しているここ最近でも最高の記事だと思うのですが」
「でもこんな小っ恥ずかしい記事書かれたら外を出歩けないじゃないですか」
私は真っ赤になって反論した。
『私はもう鬼の伯爵に殺されたと思ったのです。でもその瞬間でした。天から天女もかくやと思われるほど美しい赤髪の聖女、我等が王女殿下が来臨されたのです』
とか書かれているし、私は天女様みたいに美しくはないはずだ。誰だこの絵の人物はというくらい美化して書かれている。
「殿下、よろしいですか」
いきなりイェルド様が真面目モードで話し出した。
「わが軍は2400億もの金はないのです。ここは何でもいいので利用するしかないのです。単身で転移して村長を救うなんて馬鹿なことして本来ならば王女失格です。ふつうは護衛ちゃんと連れて行ってください。というか、こんな時は見殺しにするべきです」
なんか、酷いことをイェルド様が言っている。
「でも、やってしまったことはどうしようもありません。あとはそれをいかにうまく使うかなんです」
イェルド様が言うんだけど・・・・そんな酷いこと私がした?
「だから精いっぱい利用させてもらいました」
「だからって、これ美化しすぎていない? 伯爵倒したのはクリスティーン様じゃない。なのに記事では雑魚は大将軍が一掃したとしか書いていないし」
「いいんです。残虐非道な悪魔の大将軍と慈愛に満ちた聖女アン。これからはこのイメージで行くことにします。慈愛に満ちた聖女アンの傘下に入りなさい。じゃないと悪魔の大将軍に殲滅させますよと」
イェルド様が黒いオーラ全開で話されるんだけど。
「それって脅迫よね」
「当たり前です。なんでも使えるものは使うんです。そうか殿下は2400億出せるんですか?」
金で迫られると何一つ言えなかった。
「これを国内のみならず、周辺領域にばらまきました」
「ええええ!」
私はその言葉に絶望した・・・・
そんな、こんな小っ恥ずかしい記事が周辺地域にばらまかれたなんて・・・・
「こんな記事一つで済めば安いものでしょう。あなたが恥ずかしい目に合うだけで済むんですから」
イェルド様の言葉に一つも反論できなかったんだけど・・・・
「アン、そんな事は気にせずとも良いぞ。なんだったらまたドラゴン退治に行ってやる。次は1万人くらいの傭兵を連れて戻って来よう」
クリステイーン様はそう言ってくれるんだけど、それはさすがに悪い。
「まあ、クリステイーン様は伊達と酔狂で今回の戦闘にいらっしゃっているんだから、気にしなくても良いんじゃない」
エルダは平然としていたし、
「アン、どうしたの、あなたがちゃんと考えて計算するなんて! いつも出たとこ勝負なのに、熱でもあるんじゃない?」
一番ひどいのがイングリッドだった。
「私もたまには考えるわよ」
私が剥れて言うと、
「でも、そこは考えても仕方がないところじゃない。真面目に考えていたら、こんな無謀な事、最初からやっていないでしょ」
イングリッドにダメだしされてしまった。
うーむ。何も考えずに行動するのはイングリッドの専売特許のはずなのに! そのイングリッドに馬鹿にされることになるなんて! もう終わりだ。
それに、何か、みんな私を見てコソコソ噂しているみたいなんだけど、そんなに私の様子が変なんだろうか?
計算し過ぎて熱が出たとか。そうか、服を反対に着ているとか。
私は鏡を見たが別に変なところはない。
「おはようございます」
護衛のメルケルが私を見かけて声をかけてきた。
「おはよう。もう、怪我は治った?」
「お陰様で。その節は申し訳ありませんでした」
メルケルが謝ってきた。
「それは良いんだけど、今背中に隠したものは何?」
私は気になったので聞いた。
そう言えばコソコソ噂していたものも皆紙を持っていたような気がする。
「いえ、これは何でも」
「見せて」
私は手を出して有無を言わせぬ調子で命じていた。
「えっ、でもこれは決して変なものではないですよ」
「じゃあ見せられるでしょ」
必至に隠そうとするメルケルに詰め寄る。
メルケルはおずおずと紙を出してきた。
それは号外の記事だった。
そして、それを見て私は真っ赤になった。
そこには私が村長を切りつけようとしたパパランダ伯爵を殴りつけている絵がデカデカと描かれていたのだ。
その下には、『斬られようとした村長を身をもって守る我らが王女』の文字がでかでかと書かれていた。
「イェルド様。これは何なんですか!」
私は記事を書いた人間を突き止めると本人に食って掛かった。
「殺さそうになった国民を助けるために自ら転移されたアンネローゼ殿下を書いたものだと思うのですが」
「思うのですかではないでしょ。なんでこんな小っ恥ずかしい記事を公開したんですか?」
「何をおっしゃるのです。この記事は殿下が如何に国民思いでいらっしゃるのか端的に示しているここ最近でも最高の記事だと思うのですが」
「でもこんな小っ恥ずかしい記事書かれたら外を出歩けないじゃないですか」
私は真っ赤になって反論した。
『私はもう鬼の伯爵に殺されたと思ったのです。でもその瞬間でした。天から天女もかくやと思われるほど美しい赤髪の聖女、我等が王女殿下が来臨されたのです』
とか書かれているし、私は天女様みたいに美しくはないはずだ。誰だこの絵の人物はというくらい美化して書かれている。
「殿下、よろしいですか」
いきなりイェルド様が真面目モードで話し出した。
「わが軍は2400億もの金はないのです。ここは何でもいいので利用するしかないのです。単身で転移して村長を救うなんて馬鹿なことして本来ならば王女失格です。ふつうは護衛ちゃんと連れて行ってください。というか、こんな時は見殺しにするべきです」
なんか、酷いことをイェルド様が言っている。
「でも、やってしまったことはどうしようもありません。あとはそれをいかにうまく使うかなんです」
イェルド様が言うんだけど・・・・そんな酷いこと私がした?
「だから精いっぱい利用させてもらいました」
「だからって、これ美化しすぎていない? 伯爵倒したのはクリスティーン様じゃない。なのに記事では雑魚は大将軍が一掃したとしか書いていないし」
「いいんです。残虐非道な悪魔の大将軍と慈愛に満ちた聖女アン。これからはこのイメージで行くことにします。慈愛に満ちた聖女アンの傘下に入りなさい。じゃないと悪魔の大将軍に殲滅させますよと」
イェルド様が黒いオーラ全開で話されるんだけど。
「それって脅迫よね」
「当たり前です。なんでも使えるものは使うんです。そうか殿下は2400億出せるんですか?」
金で迫られると何一つ言えなかった。
「これを国内のみならず、周辺領域にばらまきました」
「ええええ!」
私はその言葉に絶望した・・・・
そんな、こんな小っ恥ずかしい記事が周辺地域にばらまかれたなんて・・・・
「こんな記事一つで済めば安いものでしょう。あなたが恥ずかしい目に合うだけで済むんですから」
イェルド様の言葉に一つも反論できなかったんだけど・・・・
応援ありがとうございます!
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