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清廉潔白伯爵が扉の前で土下座していました
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「帰ってきたら今度こそお仕置きだ」
私はそう叫んで怒り狂っているフィル様の上に転移してしていたのだ。タイミングは最悪?
それも伯爵のお母さまを抱きかかえて真上に落ちたのだ。
「えっ、アン」
フィル様は慌てて私を抱えようとしてくれたが、さすがに二人分では抱えられなくて、私たち諸共地面にひっくり返っていた。フィル様をクッションにして。
お母さまはほとんど寝たきり状態だったので体重もとても軽かったが、私が重かったからフィル様がこけたという事は断じてないはずだ。
「よかった無事で」
フィル様が私を抱きかかえる様にして抱きついてきた。お仕置きの件は聞かなかったことにしよう、そうこころに決めた時だ。
「は、母上」
冷酷無情な伯爵が、顔をゆがませて私たちの所に飛んできた。
そして、私達からお母さまを奪い取るように抱きしめたのだ。
「オスカー」
お母様が目を開けて伯爵を見るのが見えた。
「良かった」
私はそれを見てほっとすると気が遠くなった。
「アン!」
慌てたフィル様に抱かれて気を失っていた。
私が気づいたのは翌日の朝だった。
さすがの私も王都との間を往復し、怒りの火の玉を出して、帰りに伯爵のお母さまを抱えて帰ってきて魔力を使い果たしたのだ。
私は寝間着に着替えさせられて伯爵家の客間で寝ていた。
部屋には何故かエルダがいてくれて隣に運び込まれた簡易ベッドで寝ていた。
「あ、アン、起きたの?」
起き上がった私を見て、エルダも起き上がった。
「何故、エルダがここにいるの?」
「あなたが気絶したからでしょ」
私の能天気な声にきっとしてエルダが答えた。
「もう、大変だったんだから。あなたが魔力の使い過ぎで気絶したっていうから、またやったんだって慌ててきたら、挙動不審なルンド先生がいるし、『あなたの傍にずうーーーっといる』って叫ぶフィルを叩き出すのも大変だったんだから」
エルダが文句言ってきた。
「伯爵のお母さまは?」
「リーナに来てもらってヒールかけてもらったから、大分ましになったんじゃない。本来ならあんたがヒールかけてから気を失いなさいよ」
「そこまで体力がもたなかったのよ」
「ガープリエル様が『まだまだ修行が足りん』って怒っていらっしゃったし、『勝手に一人で転移していった』ってフィルはお怒りモードだったわよ」
エルダが説明してくれた。
「アン、気が付いたか」
そこへノックもなしにフィル様が飛び込んできた。
「フィル様っダメですって」
「キャーーー、何、淑女の寝室に入ってきているのよ」
外にいたイリヤが止めようとして、まだ寝間着だったエルダが叫んで、かわいそうなフィル様は廊下に叩き出されていた。
「アン、酷いじゃないか、二度と一人では転移しないって約束したよね。それを破るなんて」
私たちが着替えると、やっと入れてもらえたフィル様にさんざん文句を言わた。
そう文句を言いつつ、フィル様は私のベッドの横に座って私に抱きついてくるんだけど。
エルダとイリヤの視線が怖い。というか恥ずかしいからやめて!
そう思った時だ。ノックの音とともにルンド先生が入ってきたんだけど。
その声姿を見た瞬間に、フィル様と私はパッと離れた。
本当に気まずい。
これはさっそくお小言が始まると身構えたんだけど、ルンド先生はいきなり私に跪いてきたのだ。
私は目が点になった。
「この度は、私の元婚約者の母を救うために、殿下には大変ご無理して頂き、感謝の言葉もございません」
「えっ、ロヴァミエ伯爵ってあなたの元婚約者だったの?」
私は驚いて聞いた。
「えっ、あなた知っていて連れて来たんじゃないの?」
エルダが驚いて聞いた来たけれど、何かあるって思ったけれど、元婚約者だとは知っていなかった。
「はい。私と伯爵は殿下の母上のアンネ様と一緒に留学していた仲なのです。その縁でこちらに帰って来た時に婚約して、ブルーノが弑逆する前は結婚間際だったのです。
我が家はアンネ様との仲も強く、没落、このままでは命まで危ないと、亡命しようとなって、スカンディーナを出る前に、一目別れの挨拶を言おうと会った伯爵は、今までのことが嘘のようにけんもほろろに追い返されたのです。『俺はブルーノ様につくから二度と近寄るな』と。私はその時から恋愛に関して心が閉ざされてしまったのです。そういう点もあって、両殿下が仲睦まじくしていらっしゃるのを見て、きつく当たってしまうことが多かったのだと思います。申し訳ありませんでした」
ルンド先生は頭を下げてくるんだけど。調子が狂うこと甚だしい。いつもここは怒られているところだし・・・・
「先生は別に悪くないかと。人目もはばからずに、べたべたしていたのは私達ですし、フィル様がもう少し我慢して頂けたら」
「べたべたするなっていうけれど、アンが俺の心配を増やすから悪いんだろう」
「そこ、二人。またべたべたしている」
エルダに注意されるんだけど。
「いえ、両殿下が仲の良いと周りに知らしめるのはとても良いことです。アンネローゼ様の後ろにはオースティン王国がついているのが一目瞭然になりますから。その事に目くじら立てるは私の原体験が邪魔しているからなのです。まあ、彼も母が人質に取られていてそうするしかなかったのかなとは思いますが、一言言ってほしかったのです」
ルンド先生の声に私はどう答えていいか判らなかった。基本は人目も憚らずにイチャイチャしている私達が悪いはずなのだ。それをもっとやれといつも注意している先生に言われても・・・・。
「オスカー、貴様ここで何をしているのじゃ」
扉の向こうからジャルカ様の大声が聞こえた。
その声を聞いて慌ててルンド先生が扉を開けた。
そこには両膝をついて土下座している伯爵がいたのだ。
私はそう叫んで怒り狂っているフィル様の上に転移してしていたのだ。タイミングは最悪?
それも伯爵のお母さまを抱きかかえて真上に落ちたのだ。
「えっ、アン」
フィル様は慌てて私を抱えようとしてくれたが、さすがに二人分では抱えられなくて、私たち諸共地面にひっくり返っていた。フィル様をクッションにして。
お母さまはほとんど寝たきり状態だったので体重もとても軽かったが、私が重かったからフィル様がこけたという事は断じてないはずだ。
「よかった無事で」
フィル様が私を抱きかかえる様にして抱きついてきた。お仕置きの件は聞かなかったことにしよう、そうこころに決めた時だ。
「は、母上」
冷酷無情な伯爵が、顔をゆがませて私たちの所に飛んできた。
そして、私達からお母さまを奪い取るように抱きしめたのだ。
「オスカー」
お母様が目を開けて伯爵を見るのが見えた。
「良かった」
私はそれを見てほっとすると気が遠くなった。
「アン!」
慌てたフィル様に抱かれて気を失っていた。
私が気づいたのは翌日の朝だった。
さすがの私も王都との間を往復し、怒りの火の玉を出して、帰りに伯爵のお母さまを抱えて帰ってきて魔力を使い果たしたのだ。
私は寝間着に着替えさせられて伯爵家の客間で寝ていた。
部屋には何故かエルダがいてくれて隣に運び込まれた簡易ベッドで寝ていた。
「あ、アン、起きたの?」
起き上がった私を見て、エルダも起き上がった。
「何故、エルダがここにいるの?」
「あなたが気絶したからでしょ」
私の能天気な声にきっとしてエルダが答えた。
「もう、大変だったんだから。あなたが魔力の使い過ぎで気絶したっていうから、またやったんだって慌ててきたら、挙動不審なルンド先生がいるし、『あなたの傍にずうーーーっといる』って叫ぶフィルを叩き出すのも大変だったんだから」
エルダが文句言ってきた。
「伯爵のお母さまは?」
「リーナに来てもらってヒールかけてもらったから、大分ましになったんじゃない。本来ならあんたがヒールかけてから気を失いなさいよ」
「そこまで体力がもたなかったのよ」
「ガープリエル様が『まだまだ修行が足りん』って怒っていらっしゃったし、『勝手に一人で転移していった』ってフィルはお怒りモードだったわよ」
エルダが説明してくれた。
「アン、気が付いたか」
そこへノックもなしにフィル様が飛び込んできた。
「フィル様っダメですって」
「キャーーー、何、淑女の寝室に入ってきているのよ」
外にいたイリヤが止めようとして、まだ寝間着だったエルダが叫んで、かわいそうなフィル様は廊下に叩き出されていた。
「アン、酷いじゃないか、二度と一人では転移しないって約束したよね。それを破るなんて」
私たちが着替えると、やっと入れてもらえたフィル様にさんざん文句を言わた。
そう文句を言いつつ、フィル様は私のベッドの横に座って私に抱きついてくるんだけど。
エルダとイリヤの視線が怖い。というか恥ずかしいからやめて!
そう思った時だ。ノックの音とともにルンド先生が入ってきたんだけど。
その声姿を見た瞬間に、フィル様と私はパッと離れた。
本当に気まずい。
これはさっそくお小言が始まると身構えたんだけど、ルンド先生はいきなり私に跪いてきたのだ。
私は目が点になった。
「この度は、私の元婚約者の母を救うために、殿下には大変ご無理して頂き、感謝の言葉もございません」
「えっ、ロヴァミエ伯爵ってあなたの元婚約者だったの?」
私は驚いて聞いた。
「えっ、あなた知っていて連れて来たんじゃないの?」
エルダが驚いて聞いた来たけれど、何かあるって思ったけれど、元婚約者だとは知っていなかった。
「はい。私と伯爵は殿下の母上のアンネ様と一緒に留学していた仲なのです。その縁でこちらに帰って来た時に婚約して、ブルーノが弑逆する前は結婚間際だったのです。
我が家はアンネ様との仲も強く、没落、このままでは命まで危ないと、亡命しようとなって、スカンディーナを出る前に、一目別れの挨拶を言おうと会った伯爵は、今までのことが嘘のようにけんもほろろに追い返されたのです。『俺はブルーノ様につくから二度と近寄るな』と。私はその時から恋愛に関して心が閉ざされてしまったのです。そういう点もあって、両殿下が仲睦まじくしていらっしゃるのを見て、きつく当たってしまうことが多かったのだと思います。申し訳ありませんでした」
ルンド先生は頭を下げてくるんだけど。調子が狂うこと甚だしい。いつもここは怒られているところだし・・・・
「先生は別に悪くないかと。人目もはばからずに、べたべたしていたのは私達ですし、フィル様がもう少し我慢して頂けたら」
「べたべたするなっていうけれど、アンが俺の心配を増やすから悪いんだろう」
「そこ、二人。またべたべたしている」
エルダに注意されるんだけど。
「いえ、両殿下が仲の良いと周りに知らしめるのはとても良いことです。アンネローゼ様の後ろにはオースティン王国がついているのが一目瞭然になりますから。その事に目くじら立てるは私の原体験が邪魔しているからなのです。まあ、彼も母が人質に取られていてそうするしかなかったのかなとは思いますが、一言言ってほしかったのです」
ルンド先生の声に私はどう答えていいか判らなかった。基本は人目も憚らずにイチャイチャしている私達が悪いはずなのだ。それをもっとやれといつも注意している先生に言われても・・・・。
「オスカー、貴様ここで何をしているのじゃ」
扉の向こうからジャルカ様の大声が聞こえた。
その声を聞いて慌ててルンド先生が扉を開けた。
そこには両膝をついて土下座している伯爵がいたのだ。
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