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ブルーノ視点3 全力でアンネの娘を叩く事にしました
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俺が王都に帰ると王宮は大騒ぎだった。
しかし、俺が転移してきたのを見た途端に皆静かになる。
「ブルーノ、ハウキプダスがやられたわ。さっさと目立ちたがり屋のアンネの娘をなんとかして頂戴」
俺を謁見の間で見るなり、俺の伴侶のマティルダ女王はヒステリックに叫んできた。
「ハウキプダス伯爵を焚きつけられたのは陛下だとお伺いしていますが」
俺は冷めた目でマティルダを見た。
「あなたが、エスカールの泥棒猫の件で忙しいかなと思って、手を回しただけよ。あの男ではどうしようもなかったみたいだけれど」
あたかも自分が正しいという感じで、女王は言うんだが。どうなんだか。今まで散々アンネの娘にちょっかいを出してきたのはこいつだ。それは当時の王女のマティルダよりもアンネの方が目立っていたし、人気があったのを気に食わないと思っていたのは知ってはいるが、アンネの娘に手を出したなら、最後までやり遂げて欲しい。
俺としてはアンネローゼが王太子と婚約破棄した時も殺せとは一切言っていないのだ。その時は逆らいすらしなければ、他国に追放で良いと思っていたのに。殺そうとして、逆襲されたのはマティルダの差し金だ。アンネローゼを消そうと思ったら普通の奴では手に負えないのだ。俺くらいでないと。お陰でオースティンに潜入していた優秀な十名強の影が消されたのだ。
マティルダは本当に余計なことしかしないのだ。
今回のアンネローゼ王国の伸張にしても、元々エスカールが片付けば、俺自らがあたろうとしていたのだ。それを色々とちょっかいを出すからこうなったのだ。
勇者と聖女を派遣したのは俺だが、すぐに襲えとは言っていない。取り敢えずじっくりと狙えととしか命令していない。
暗殺を狙うやつがいると警戒してくれて時間稼ぎしている間に、エスカールを片付けて当たろうとしていたのが、全てパーになった。
ハウキプダスにしてもそうだ。警戒だけしていればよかったのだ。それをわざわざ軍を集めて攻め込んむなどと余計なことをして。勝てばまだ許せたが敗けたから、その後の急膨張を招いたのだ。
全てマティルダのせいではないか。
俺はそう言いたかった。
女王と言ってもこいつは俺の邪魔しかしない。本当に厄介なお荷物だった。
影によると、アンネローゼ軍は周りを吸収して膨張して王都に向かって出陣しようとしているとのことだった。
新スカンディーナに向けた主力が戻ってくるまで待てなかった。新たな軍勢を集めるしか無かった。
「陛下。今回敵は約5万の軍勢を集めているそうです。その数に当てるために、付近の戦力を糾合します。王宮の近衛も半分を率いていきますので、ご了承してください」
「えっ、近衛を半分も引き連れていくの?」
「全軍率いていっても良いのですよ」
女王の言葉にさすがの俺もカチンときた。
「ブルーノ、あなた、それが女王に対する態度なの」
きっとしてマティルダが言うが、
「ここでアンネローゼの軍を完膚なきまで叩かないといけない。そのためには敵の倍の戦力がほしいところです。それを同数で戦うというのです。それは認めていただきたいですな」
「しかし、付近の諸侯を糾合するとは、あなたの本軍はどうしたのです」
マティルダがヒステリックに叫ぶが、
「今こちらに向かっていますが、到底間に合いますまい。どなたかが、ハウキプダスに攻めさせて負けたので、敵の動きが早くなっているのですよ」
「私が悪いと言うの。敵が大きくなっているから少しでも早く対処しようとしただけじゃない」
「ならば勝ってください。負けて私の仕事を増やしただけではないですか」
「何ですって」
マティルダがきっとして言った。俺を睨みつけてきた。
俺はため息をついた。こいつはいつもそうだ。でも今回は構っている暇はないのだ。
「マティルダ、黙れ」
俺は威圧の魔術を纏って叫んでいた。
謁見の間に冷気が張り巡らされて、気の弱い侍女などは次々に失神する。
さすがのマティルダも口を閉じた。
「今回の敵は強大なのだ。いつもの遊びでは勝てないのだよ。全力で対処しないと無理なのだ。アンネの娘は強力な魔術師になりつつある。私でも数年後には勝てないかもしれない。だから、今回こそはその生命を取る。良いな」
私の渾身の威圧にいつもは煩い女王の取り巻きも一言も返せなかった。
マティルダは頷くしか出来なかったのだ。
「直ちに首都圏の領主は全軍を率いて本城に集合させよ。一気にアンネローゼを叩く」
俺は周りにいた全員に命じた。
「はっ」
文官達が慌てて狼煙を上げに向かった。
俺は非常招集をかけたのだった。
しかし、俺が転移してきたのを見た途端に皆静かになる。
「ブルーノ、ハウキプダスがやられたわ。さっさと目立ちたがり屋のアンネの娘をなんとかして頂戴」
俺を謁見の間で見るなり、俺の伴侶のマティルダ女王はヒステリックに叫んできた。
「ハウキプダス伯爵を焚きつけられたのは陛下だとお伺いしていますが」
俺は冷めた目でマティルダを見た。
「あなたが、エスカールの泥棒猫の件で忙しいかなと思って、手を回しただけよ。あの男ではどうしようもなかったみたいだけれど」
あたかも自分が正しいという感じで、女王は言うんだが。どうなんだか。今まで散々アンネの娘にちょっかいを出してきたのはこいつだ。それは当時の王女のマティルダよりもアンネの方が目立っていたし、人気があったのを気に食わないと思っていたのは知ってはいるが、アンネの娘に手を出したなら、最後までやり遂げて欲しい。
俺としてはアンネローゼが王太子と婚約破棄した時も殺せとは一切言っていないのだ。その時は逆らいすらしなければ、他国に追放で良いと思っていたのに。殺そうとして、逆襲されたのはマティルダの差し金だ。アンネローゼを消そうと思ったら普通の奴では手に負えないのだ。俺くらいでないと。お陰でオースティンに潜入していた優秀な十名強の影が消されたのだ。
マティルダは本当に余計なことしかしないのだ。
今回のアンネローゼ王国の伸張にしても、元々エスカールが片付けば、俺自らがあたろうとしていたのだ。それを色々とちょっかいを出すからこうなったのだ。
勇者と聖女を派遣したのは俺だが、すぐに襲えとは言っていない。取り敢えずじっくりと狙えととしか命令していない。
暗殺を狙うやつがいると警戒してくれて時間稼ぎしている間に、エスカールを片付けて当たろうとしていたのが、全てパーになった。
ハウキプダスにしてもそうだ。警戒だけしていればよかったのだ。それをわざわざ軍を集めて攻め込んむなどと余計なことをして。勝てばまだ許せたが敗けたから、その後の急膨張を招いたのだ。
全てマティルダのせいではないか。
俺はそう言いたかった。
女王と言ってもこいつは俺の邪魔しかしない。本当に厄介なお荷物だった。
影によると、アンネローゼ軍は周りを吸収して膨張して王都に向かって出陣しようとしているとのことだった。
新スカンディーナに向けた主力が戻ってくるまで待てなかった。新たな軍勢を集めるしか無かった。
「陛下。今回敵は約5万の軍勢を集めているそうです。その数に当てるために、付近の戦力を糾合します。王宮の近衛も半分を率いていきますので、ご了承してください」
「えっ、近衛を半分も引き連れていくの?」
「全軍率いていっても良いのですよ」
女王の言葉にさすがの俺もカチンときた。
「ブルーノ、あなた、それが女王に対する態度なの」
きっとしてマティルダが言うが、
「ここでアンネローゼの軍を完膚なきまで叩かないといけない。そのためには敵の倍の戦力がほしいところです。それを同数で戦うというのです。それは認めていただきたいですな」
「しかし、付近の諸侯を糾合するとは、あなたの本軍はどうしたのです」
マティルダがヒステリックに叫ぶが、
「今こちらに向かっていますが、到底間に合いますまい。どなたかが、ハウキプダスに攻めさせて負けたので、敵の動きが早くなっているのですよ」
「私が悪いと言うの。敵が大きくなっているから少しでも早く対処しようとしただけじゃない」
「ならば勝ってください。負けて私の仕事を増やしただけではないですか」
「何ですって」
マティルダがきっとして言った。俺を睨みつけてきた。
俺はため息をついた。こいつはいつもそうだ。でも今回は構っている暇はないのだ。
「マティルダ、黙れ」
俺は威圧の魔術を纏って叫んでいた。
謁見の間に冷気が張り巡らされて、気の弱い侍女などは次々に失神する。
さすがのマティルダも口を閉じた。
「今回の敵は強大なのだ。いつもの遊びでは勝てないのだよ。全力で対処しないと無理なのだ。アンネの娘は強力な魔術師になりつつある。私でも数年後には勝てないかもしれない。だから、今回こそはその生命を取る。良いな」
私の渾身の威圧にいつもは煩い女王の取り巻きも一言も返せなかった。
マティルダは頷くしか出来なかったのだ。
「直ちに首都圏の領主は全軍を率いて本城に集合させよ。一気にアンネローゼを叩く」
俺は周りにいた全員に命じた。
「はっ」
文官達が慌てて狼煙を上げに向かった。
俺は非常招集をかけたのだった。
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