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決戦1 ブルーノの大軍と最終決戦が始まりました

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大勝に我が軍は沸き立った。

「しかし、凄いな。お前の火の玉は。見た目は本当にちゃちなのに!」
褒めたのか、いや、絶対に貶した、18王子の声が周りに響いた。
周りの兵士達の反応もメチャクチャ微妙だ。なんか変な顔して私を見てくるんだけど。うーん、なんだかな!

「アン! 馬鹿がなに言おうが、城壁を瞬時に破壊できたから凄いじゃないか!」
フィル様が褒めてくれるんだけど。
「本当だな。あの見た目のちゃちさとのギャップが凄いよな」
アルフが言ってくれるんだけど、うーん、それで褒めたのか? なんか微妙に馬鹿にされているような気がするんだけど。

「うーん、本当にこいつ、見た目は華奢だから、皆馬鹿にするけど、中身は凄いんだよな!」
「本当だな。何なら俺の側室にしてやっても・・・・痛い!」
そう18王子が言ったとたん、フィル様が剣の鞘で殴っていた。
「次に余計なことを言うと斬る!」
剣先を18王子に向けているんだけど。
「冗談だって」
必死に後ろに下がりながら18王子が弁解した。
「大変です。ブルーノの大軍が現れました」
そこへ慌てた兵士が駆け込んできた。

報告によると敵は隣の20キロ離れた隣街に到着したらしい。

城内の掌握はやって来たクリストフ様に任せて、私達は直ちに郊外の平原に集結した。

敵軍の数は6万。我が軍よりも少し多いらしい。それにブルーノもいるのだ。

ブルーノは恐らく今現在、世界最強の魔術師だ。恐らく私一人でやりあっても負けるだろう!
私とガーブリエル様の二人がかりでも、この前は勝てなかった。どさくさ紛れの火の玉ホーミングがなんとか役立ったくらいだ。

ミニアンちゃんはもういない。

それをフィル様始め勇者とかこのメンツで勝てるのか?という問題だ。

クリスティーン様がいればまだなんとかなるかもしれないが、敵の大軍をクリスティーン様無しでは我が軍も勝てないだろう。

でも、ブルーノに勝つには私とガーブリエル様の二人だと心もとない。ブルーノに勝てないとクリスティーン様が勝ってもどうしようもないのだ。

どうすべきか?

私達はとても悩んだ。

そして、決断したのだった。

究極の決断を。



あれから3日が経った。

平原のブルーノの大軍と私達の軍は対峙していた。

クリスティーン様の馬車の上に黒髪の大将軍の凛々しい姿はあった。遠目には。

でも間近で見るとかつらを被った男だと見えるだろう!

何しろクリスティーン様は私の馬車の御者台にいるのだから。

そして私の横にはガーブリエル様がいた。

フィル様も側近もかつらを被った18王子の周りにいた。

私とガーブリエル様とクリスティーン様の三人でブルーノに対処することにしたのだ。

この三人が組めばさすがのブルーノもなんとかなるはずだった。

クリスティーン様が抜けた穴は、口だけの18王子と剣の腕自慢の勇者、更に周りにはフィル様の側近らでなんとかしてくれる・・・・だろうと希望的観測だ。

「私の席にこの戦いの間中ずうーっと立っていられたら伯爵にしてやろう!」

とんでもない高報酬を餌にクリスティーン様が釣ったのだ。

いくら金満のドクラス王国と言えども、18王子なんて、男爵になれたら良い方だ。下手したら平民落ちもあり得た。それを伯爵位だ。それも指揮席に立っていたら良いだけなんて。優遇しすぎではないかと思ったけれど。

「アン!これに負けたら終わりだ。ブルーノを倒すしか私達に道は無いんだから」
クリスティーン様が言う通りだった。餌は大きい程が良いだろう。

「まあ、それに、あやつが生き残れるかどうかは、運次第だろう! 何しろ、先頭切って突撃するんだからな。その命がけの報奨が伯爵位というわけさ」
クリスティーン様は平然と言われるんだけど。


「どちらにしても、ブルーノを倒せるかどうかだ。お互いに頑張ろう」
「そうですね、宜しくお願いします」
私はクリスティーン様とハイタッチした。

「者共。敵はブルーノ唯一人。ブルーノの首を取りに突撃するぞ」
偽クリスティーンこと、18王子の叫び声が聞こえた。剣をあげて叫んでいる。
「おうううう」
それに皆の雄叫びが続いた。

全軍まさに動き出そうとした時だ。

「では、あとはミカエル宜しく」
18王子は馬車から逃げようとした。

その体に横からフィル様が剣を突きつけた。
「おっ、おい」
驚いて、18王子は後ろに下がった。

「ミカエルやってくれ」
フィル様が叫ぶのがみえた。

「了解」
馬の手綱をミカエルが引いたのだ。

「突撃」
勇者ミカエルは剣を抜きながら叫んでいた。

「おい、俺はにげるんだって・・・・」
しかし、逃げようとする18王子の横には剣を抜いたフィル様がいて逃げられない。

そのまま、馬車は高速走行に移ったのだ。

もはや降りられなかった。落ちたら下手したら死んでしまう。

呆然とした18王子を乗せた馬車に騎兵部隊が続き、その後を歩兵部隊が続く。

戦いの幕が切って落とされたのだった。
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