転生して悲劇の王女になったつもりが魔王でした！勇者から斬りつけられて素手で殴り返した、前世コミュ障引き籠りだった弱小王国王女の帝国建国物語

淫婦を燃やしたら黒いオーラ満載のその息子が出てきました

広げたドロテーアの腕の中に皆が歩みだそうとしていた。

勇者と18王子なんて駆け出しそうな感じだった。ほとんど剥き出しの胸を見てよだれを垂らして嬉しそうにしているのだ。

本当にこの二匹は馬鹿だ。

その上、私のフィル様もふらふらとドロテーアの方に歩き出したのだ。

えっ、と思った時には

ピキッ

そう、フィル様が淫婦ドロテーアの元に歩き出すのを見た瞬間に、完全に私は切れていた。

「フィル！」
私は大声で叫んでいた。フィル様を初めて呼び捨てた瞬間だった。そこまで切れていたのだ。そして、声を出した時には手も出ていて、私の張り手がフィル様の頬を張っていた。

パシーン

大きな音がしてフィル様の頬が鳴ると同時に、魅了が綺麗さっぱりふっ飛んでいた。

そのついでに勇者と18王子も張り倒す。こちらは手加減なしだ。

でも、方向を間違えてしまった。

私に張られた二人は、フラフラとそのままドロテーアの胸に顔を突っ込んでいたのだ。

他のフラフラとドロテーアに向かって夢遊病者のように歩いていた奴らは我に返ったクリスティーン様に宝剣の鞘で張り倒されていた。


ドロテーアがニコリと笑って歩いてきた二人をかき抱く。

私に頬を張られたにも関わらず、勇者も１８王子もにやけた顔を豊満なドロテーアの胸に押し当てていた。ドロテーアはことさら自分の胸の大きさを強調するように二人の顔を押しつけたのだ。


ピキピキピキピキ

私の何かが大きな音を建てて切れた気がした。

私の胸が無いのを知っていてこの淫婦は胸を強調しているのか。

「ドロテーア、あなた良くも私のフィル様に」
私は怒りのオーラで周りを威圧してつかつかとドロテーアに近づいた。

「な、何故、赤毛の胸なし小娘は、私の魅了が利かない」
ドロテーアは私を驚いて見ていた。

「む、胸なし娘ですって。良くもそんなふうに私を呼んでくれたわね」
私はその言葉で更に切れてしまった。

その瞬間、私の周りからさあああああっと皆いなくなった。

フィル様はアルフとルーカスが必至に引っ張っている。

クリスティーン様まで下がるのは何故？

「無いのは事実でしょう」
そう言い放つ淫婦が笑った。この女、もう許さん。

私の怒りのオーラが全開になる。

私の周りだけ、真っ黒になったってアルフが後で言ってくれたけど、そんなの知らない。

「えっ、皆どうしたの？」
さすがの淫婦も周りの反応がおかしいと気付いたみたいだった。でも、まだよく判っていないみたいだった。

「胸なし小娘なんて怖くないわよ」
と宣っていたから。

「黙れ」
私は手を振りかざした。

いつもは絶対にできない爆裂魔術が手から迸ったのだ。

それは勇者と１８王子を巻き込んで、３人を一瞬で黒焦げにしたのだ。

３人は痙攣して倒れた。

「すげー、妖怪淫婦もアンの激怒の前には一瞬だったな」
アルフの声だけが聞こえた。本人は物陰に隠れているらしい。

私の前で胸の話は禁句と男どもの胸に刻み込まれた瞬間だった。



その時だ。
「おのれ、良くもお母様を」
大きな叫び声がして、全身黒ずくめの服を着た男が転移してきた。
男は激怒しているようだった。

ドロテーアの方を見てお母様と言うということはひょっとしてこれが私の腹違いの兄弟か？
まあ、ブルーノとの子供なら、兄弟ではなくて完全に赤の他人になるんだけど。

見た感じ、マザコン感満載のトッチャン坊やみたいな感じだった。

「そこの胸なし。死ね」
親が親なら息子も息子だ。貴様も胸なんて無いだろうと言いたかったが、そんな暇もなく強烈な爆裂魔術を叩き込んできたのだ。

まあ、更に切れた私は絶好調だったが。

一瞬でミラーを張ると息子は自ら放った爆裂魔術をモロに反射されてそのまま喰らって爆発していた。

もうもうと立ちこめた煙が無くなるとそこには誰もいなかった。

あっさりと消滅したのか？　少しやりすぎたかと私は少し後悔したのだが、そんな必要は全く無かったのだ。

次の瞬間、転移して現れた淫婦の息子に私のフィル様がボロ雑巾のように爆裂魔術で弾き飛ばされていたのだ。