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ブルーノの息子視点1 俺の前に赤髪の人形が現れました
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俺はオットー・スカンディーナ、前国王オスヴァルドと我が母、エスカール王国の王女だったドロテーアとの間に生まれた第一王子だと聞いていた。
そして、物心ついた時から、新スカンディーナ王国の皇太子だった。
そして、この国には国王はいず、母が摂政を兼ねていた。
いつか、父を殺し俺と母を追い出した、ブルーノとその妻の俺のおばである女王を倒して、スカンディーナ王国の国王になるのだと子供の時から母には言われていた。
当然、俺もそうなるものだと思っていた。
俺は子供の時から徹底的な帝王教育がなされていたのだ。そんな俺の魔力量は多く、母はそれをとても喜んでいた。
少しでも魔術が出来るととても母が喜んでくれるので、俺は次々に魔術を訓練して出来るようになっていった。
なんでも、母はライバルだった妃に魔術では到底太刀打ちできなかったので、魔術がよく出来る俺をとても誇りに思うと自慢していたのだ。
俺も母が喜んでくれるので、本当に必至に訓練したのだ。
そう、侍女たちの噂話を聞くまでは。
「オットー様の魔力量、おかしくない」
俺はたまたま侍女たちが話しているところに通りかかったのだ。
「だって、摂政殿下も前陛下も、そんなに魔力量は多くなかったはずよ。アンネ様ならいざしらず」
「あら、あなた知らないの。摂政殿下がオットー様を身ごもられた時に、頻繁にブルーノ様が摂政様の部屋を訪れていらっしゃったのよ」
「ええええ! ということは、オットー様のお父上はブルーノってこと?」
「恐らくそうよ」
俺はそれ以上、侍女たちの話を聞けなかった。
そんなまさか、俺の父がブルーノのハズはない。
反逆者のブルーノのハズが。もし、そうならば、何故俺はブルーノと敵対せねばならないのだ。
俺はそう思いたかった。
しかし、俺が大人になるにつれて、母がいろんな男をとっかえひっかえ自分の部屋に連れ込んでいるのが判った。何なのだ。それは。
母はそうやって昔から父である国王を裏切っていたのだ。そう思うと、俺がブルーノの子供かも知れないと自分でも疑うようになっていた。
確かに俺の魔力量はみんなに抜きんでて多かったのだ。調べると前国王の父もここまで多かったことはなかったようだ。歴代の国王もそんなに多いという記述はなかった。
ブルーノが父だとすればしっくりくるのだ。
でも、今まで、俺が倒そうとしていたブルーノが父だったなんて・・・・
俺はもうどうでもよくなってきた。
今まで必死にやってきた魔術の訓練も帝王学の勉強もさぼるようなったのだ。
母がいろいろ注意してきたが、夜な夜な男を寝室に連れ込んで遊びまわっている母に言われたくなかった。
「私はあなたのためにやっているのに」
そう言われた時には思わず、母に爆裂魔術を叩きこむところだった。
何が俺のためにだ。自分が楽しみたいだけだろうが!
極めつけはブルーノに攻め込まれた時に、母がブルーノに抱きついたのを見た時だ。
生き残るために敵に身を任すなど許されることでは無かった。俺の若者独特の正義感が許さなかった。
俺は訓練場で荒れに荒れた。
そんな俺を見てもブルーノは冷たく一瞥しただけだった。
子供の俺を見ても。
だからブルーノが死んだと聞いた時も、ああそうかとどうでもよかった。
スカンディーナの王都を落として母が女王を処刑した時も自分の恋敵を処刑しただけだと思った。
俺は淫乱な母が大嫌いだった。
いくら俺のためにしていると言われても信じられなかった。
そんな俺の目の前に、形式の上では俺の腹違いの妹が現れた。こいつが俺の父ブルーノを殺したのだ。
そして、こいつは俺のように偽物の王子ではなくて、本物の王女なのだ。今は女王と名乗っていたが。本来俺が名乗るはずだったスカンディーナの国王の座に就いていた。
そんな奴が。母が自分の男を魅了したと切れて母を燃やしやがったのだ。
今まで散々母には反発してきたが、目の前で母が燃やされたのだ。
さすがに許すわけにはいかなかった。
自分が手にするはずだった物を手に入れた妹が許せなかったというのもあった。
俺はその妹に襲い掛かった。
しかし、妹は強かった。
俺の渾身の爆裂魔術を一瞬でミラーで反射しやがったのだ。
俺は慌てて転移で逃げた。
こいつにはまともにいっても勝てない。俺はそれがよく分かった。
でも、全てを手に入れようとしている妹に何としても一矢報いたい。俺はその婚約者を攻撃することにした。
隣国の大国オースティンの王太子は魔力は大したことは無いみたいだった。
転移した俺の前に無防備でいたのだ。
燃やすのは一瞬だった。
俺は転移だけは得意だった。
母のつけた家庭教師から逃げ出すのに、必死に磨いたのだ。
この転移で街に遊びに行ったりしていた。城の金庫に潜り込み小金を失敬したり、厨房に潜り込んで料理を頂いたりして磨いたのだ。
俺は転移しては次々に攻撃していったのだ。
これなら、妹にも勝てるかもしれない。
俺はほくそ笑むと、その婚約者にとどめを刺そうとした。
あろうことか妹は婚約者の上に覆いかぶさったのだ。
妹ごと、俺は最大出力の爆裂魔術を叩きこんだ。
今度は妹はミラーは間に合わなかつたみたいだ。
もう瀕死の重傷だった。
こいつが父も母も殺したのだ。俺は止めを刺そうと最大魔力の爆裂魔術を再度叩き込んだのだ。
これで全て手に入れようとした妹を殺せたと俺は思った。
しかし、煙が晴れたあとに妹の前に変なお面をした、赤髪の人形が立っていたのだ。
そして、物心ついた時から、新スカンディーナ王国の皇太子だった。
そして、この国には国王はいず、母が摂政を兼ねていた。
いつか、父を殺し俺と母を追い出した、ブルーノとその妻の俺のおばである女王を倒して、スカンディーナ王国の国王になるのだと子供の時から母には言われていた。
当然、俺もそうなるものだと思っていた。
俺は子供の時から徹底的な帝王教育がなされていたのだ。そんな俺の魔力量は多く、母はそれをとても喜んでいた。
少しでも魔術が出来るととても母が喜んでくれるので、俺は次々に魔術を訓練して出来るようになっていった。
なんでも、母はライバルだった妃に魔術では到底太刀打ちできなかったので、魔術がよく出来る俺をとても誇りに思うと自慢していたのだ。
俺も母が喜んでくれるので、本当に必至に訓練したのだ。
そう、侍女たちの噂話を聞くまでは。
「オットー様の魔力量、おかしくない」
俺はたまたま侍女たちが話しているところに通りかかったのだ。
「だって、摂政殿下も前陛下も、そんなに魔力量は多くなかったはずよ。アンネ様ならいざしらず」
「あら、あなた知らないの。摂政殿下がオットー様を身ごもられた時に、頻繁にブルーノ様が摂政様の部屋を訪れていらっしゃったのよ」
「ええええ! ということは、オットー様のお父上はブルーノってこと?」
「恐らくそうよ」
俺はそれ以上、侍女たちの話を聞けなかった。
そんなまさか、俺の父がブルーノのハズはない。
反逆者のブルーノのハズが。もし、そうならば、何故俺はブルーノと敵対せねばならないのだ。
俺はそう思いたかった。
しかし、俺が大人になるにつれて、母がいろんな男をとっかえひっかえ自分の部屋に連れ込んでいるのが判った。何なのだ。それは。
母はそうやって昔から父である国王を裏切っていたのだ。そう思うと、俺がブルーノの子供かも知れないと自分でも疑うようになっていた。
確かに俺の魔力量はみんなに抜きんでて多かったのだ。調べると前国王の父もここまで多かったことはなかったようだ。歴代の国王もそんなに多いという記述はなかった。
ブルーノが父だとすればしっくりくるのだ。
でも、今まで、俺が倒そうとしていたブルーノが父だったなんて・・・・
俺はもうどうでもよくなってきた。
今まで必死にやってきた魔術の訓練も帝王学の勉強もさぼるようなったのだ。
母がいろいろ注意してきたが、夜な夜な男を寝室に連れ込んで遊びまわっている母に言われたくなかった。
「私はあなたのためにやっているのに」
そう言われた時には思わず、母に爆裂魔術を叩きこむところだった。
何が俺のためにだ。自分が楽しみたいだけだろうが!
極めつけはブルーノに攻め込まれた時に、母がブルーノに抱きついたのを見た時だ。
生き残るために敵に身を任すなど許されることでは無かった。俺の若者独特の正義感が許さなかった。
俺は訓練場で荒れに荒れた。
そんな俺を見てもブルーノは冷たく一瞥しただけだった。
子供の俺を見ても。
だからブルーノが死んだと聞いた時も、ああそうかとどうでもよかった。
スカンディーナの王都を落として母が女王を処刑した時も自分の恋敵を処刑しただけだと思った。
俺は淫乱な母が大嫌いだった。
いくら俺のためにしていると言われても信じられなかった。
そんな俺の目の前に、形式の上では俺の腹違いの妹が現れた。こいつが俺の父ブルーノを殺したのだ。
そして、こいつは俺のように偽物の王子ではなくて、本物の王女なのだ。今は女王と名乗っていたが。本来俺が名乗るはずだったスカンディーナの国王の座に就いていた。
そんな奴が。母が自分の男を魅了したと切れて母を燃やしやがったのだ。
今まで散々母には反発してきたが、目の前で母が燃やされたのだ。
さすがに許すわけにはいかなかった。
自分が手にするはずだった物を手に入れた妹が許せなかったというのもあった。
俺はその妹に襲い掛かった。
しかし、妹は強かった。
俺の渾身の爆裂魔術を一瞬でミラーで反射しやがったのだ。
俺は慌てて転移で逃げた。
こいつにはまともにいっても勝てない。俺はそれがよく分かった。
でも、全てを手に入れようとしている妹に何としても一矢報いたい。俺はその婚約者を攻撃することにした。
隣国の大国オースティンの王太子は魔力は大したことは無いみたいだった。
転移した俺の前に無防備でいたのだ。
燃やすのは一瞬だった。
俺は転移だけは得意だった。
母のつけた家庭教師から逃げ出すのに、必死に磨いたのだ。
この転移で街に遊びに行ったりしていた。城の金庫に潜り込み小金を失敬したり、厨房に潜り込んで料理を頂いたりして磨いたのだ。
俺は転移しては次々に攻撃していったのだ。
これなら、妹にも勝てるかもしれない。
俺はほくそ笑むと、その婚約者にとどめを刺そうとした。
あろうことか妹は婚約者の上に覆いかぶさったのだ。
妹ごと、俺は最大出力の爆裂魔術を叩きこんだ。
今度は妹はミラーは間に合わなかつたみたいだ。
もう瀕死の重傷だった。
こいつが父も母も殺したのだ。俺は止めを刺そうと最大魔力の爆裂魔術を再度叩き込んだのだ。
これで全て手に入れようとした妹を殺せたと俺は思った。
しかし、煙が晴れたあとに妹の前に変なお面をした、赤髪の人形が立っていたのだ。
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