母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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数学を幼なじみに教えてもらいました

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「エーレン、数学を教えて?」
 私は早速授業を終えたらエーレンに頼み込んだ。
「ええ! あなたには既に歴史と地理を教えて上げているじゃない」
 嫌そうにエーレンに言われてしまった。

「そこをなんとか」
 私が頼み込むと、
「授業中に居眠りしているあなたが悪いんじゃない?」
「いや、ゴメン。剣術の訓練頑張りすぎて」
 そう、私は私のクラスが勝つために必死に強化魔術の訓練をしたのだった。
「アミほどではないかもしれないけれど、皆も頑張って訓練していたわよ」
 白い目でエーレンが見てくるんだけど……

「いやまあ、そうなんだけど、そこをなんとか」
 私が更に拝み込むと、
「うーん、数学は私も得意科目とは言い難いから、理解していないところもあるし、私も一からもう一度勉強しないといけないのよね。それが終わってからなら良いけれど……」
「そうだよね。難しいよね」
 エーレンを待っていたら、私は確実にテストに間に合わないのは判った。

「何だ。アミ数学なら俺が教えてやろうか?」
 ゲルトが横から言い出してくれた。
「えっ、ゲルト、数学が出来るの?」
 私は驚いて聞いていた。ゲルトは私と同じ脳筋だと思っていたのだ。
「何言っているんだよ。俺は小さい時は計算が得意で周りでも有名だったんだからな」
 ゲルトは自慢してくれた。
 何と言う事だ。
 私はこんな近くに優秀な人間がいるのを知らなかった。

「そうなんだ。じゃあお昼休みに早速教えて!」
 私が頼むと、
「任せておけ」
 ゲルトが自信満々に胸を叩いてくれた。

「うーん、ゲルトで大丈夫なの?」
 後でエーレンが不安そうにしていたが、私はわらをも掴む思いだった。


 昼休みに、私はさっさと食事を終えると、ゲルトに数学を教えてもらうことにした。
「アミ、数学で赤点を取らないようにするには、この数学の参考書を全て覚えればいいんだ」
 ゲルトはさもも新しい方法を見つけ出したという顔をして言いだしてくれたんだけど。
 それは副読本で買わされた教材だった。
「えっ?」
 私はゲルトに言われて唖然とした。

「これを全部覚えるの?」
 私は分厚い副読本を見て、唖然とした。
 数学は一学期の範囲も公表されており、この副読本が一冊丸々範囲なのだ。
 そんな、こんな沢山の量を覚えるなんて絶対に無理だ。
 私は本を見て頭が真っ白になった。

「ゲルト、それはアミには難しいんじゃない?」
「何言っているんだ。努力すれば覚えられるさ」
 エーレンの言葉に平然とゲルトは反論してくれたけれど、私は出来る気がしなかった。

 こんな沢山は無理だ。
 それでなくても理科もあの嫌みな一年A組の担任のリップマンがいるのだ。
 天動説を世界の真理だとか言う馬鹿のくせに!
 嫌みたらたら教えてくれるから物理分野があやふやになっていた。
 そう、私には理科と数学が私のネックになっていたのだ。
 それでなくても、地理も歴史もまだまだ勉強しないといけないのに、やらないといけないことは山積みなのだ。
 そんな中、こんな大量の問題を暗記なんて到底出来ない。
 私は呆然とした。

 皆どうしているんだろう?

 その日の放課後はヨーゼフ先生の魔術の補講は取りあえず無かった。

 私は仕方が無いから図書館で勉強することにした。
 皆は今日は部活や委員会で忙しいみたいで、私は一人で図書館に向かった。
 図書館の本ならもっと簡単な勉強法があるかもしれないと思ったのだ。

 あれから他の人に聞いたら、アーベルは問題集を百回やるとかこれまたとんでもないことを言ってくれたし、エッダやビアンカはある程度は理解していて当てにならなかった。

 莫大な参考書を丸暗記するか、アーベルみたいに百本ノックのようにただひたすら計算問題をやるか、脳筋の友人のやることは訓練と一緒だ。
 私はそこまで出来る気がしなかった。

「どうしたんだ、アミ? 元気がないけれど」
 とぼとぼ図書館に向かって歩いていると、後ろからリックが声をかけてくれた。

「リック!」
 私は喜んでリックを見た。良く考えたらリックは上級生で頭も良さそうだ。
 リックなら私に教えてくれるかもしれない。
 私は数学と理科が判らないと素直にリックに打ち明けた。

「だからリック、もし良ければ教えて欲しいんだけど」
「別に良いけれど」
「本当! やった!」
 私はほっとした。

「で、どこで教えればいい?」
「図書館はどう?」
「図書館は自習室も話すのは駄目だからな」
「えっ、そうなんだ」
 私はがっかりした。

「じゃあ、どこで教えてくれるの?」
「そうだな。アミには世話になっているから良いだろう。空き教室があるからそこでやろう」
 リックはそう言うとスタスタと校舎の中に入って行った。

 そして、階段を4階まで上がる。

 そこは廊下と立派な扉が連なっているフロアだった。
 その一つの扉の前にリックは立ち止まってくれた。

「へえ、こんなフロアがあったんだ」
 私は周りを物珍しそうに見回した。

「最初にアミを登録するから、ここに手をつけて」
 リックの言う通りしたら、その壁が手の形に光った。
「これで登録が完了したから、もう一度押してみて」
「こう?」
 私が壁を押すと扉が開いた。

「えっ、凄いのね!」
 私が素直に感心した。

 リックによると魔力を登録して、その登録した者だけに反応する扉だそうだ。

 中はシンプルで大きな丸い机があってその周りに椅子が沢山並んでいた。

「基本的に登録している人間しか使えないから、俺がいないときは勝手に使って良いよ」
 リックはその一つの椅子を引いて私を座らせてくれた。
「えっ、でも、さすがにリックが使っていないときは悪いわよ」
 座りながら私は首を振った。
「このフロアに来るものもあまりいないから、アミも気にせずに使えるだろう」
 リックはそう言ってくれたが、自分は平民だ。あまりここには近寄ってはいけないような気がした。

「そんなことを言ってると夏休みが補講だらけになるんじゃないのか」
「いや、それはないと思うけれど……」
 私は自信がないので少し小さな声になりつつ首を振った。

 リックは早速教えだしてくれた。

「ねえ、リック、Xは四角と同じでしょう。それは判るんだけど、Xの右上の数字の2は何なの?」
 私は自分の疑問点を聞いていた。
「えっ、二乗だろう」
リックは驚いた声を出した。

「二乗?」
「Xを二回掛けるんだよ」
「ああ、そういう事なの? 前の2と右上の2の違いが判らなくて」
「おいおい、これは最初に習うぞ。何を聞いていたんだよ」
「いや、最初は先生に呼び出しばかり受けていたからあまり、授業に出られていなくて」
 私は必死に言い訳した。
 そうだ。学園長が呼び出しばかりするから、授業に出られなかったのだ。

「そうか、じゃあ、ほとんど判っていないんじゃないのか?」
「うーん、そんなことないと思うけど」
 私は自信なかったけれど、首を振った。

「嘘つけ!」
 そう言ってリックは決めつけると、教科書の最初の方のページをざっと説明してくれた。

「えっ、あっ、そうなの?」
 私には多少は前世の記憶もあったので多少は理解しやすかったと思う。でもそれを差し引いてもリックの教え方は先生よりも上手かった。

「よし、今日はこんなところだろう」
「有り難うリック、とてもよく判ったわ」
 私はリックにお礼を言った。

「今日は帰ってこのページの問題をやるように」
「判りました。リック先生」
「うん、宜しい」
 私がふざけて言うとリックも返してくれたので、二人して吹き出した。

 これで少しは数学の目処が立ったので私はほっとした。
 リックは食堂の前まで送ってくれた。
 私達は翌日も同じ時間に会うことを約束して別れたのだ。

 そんな私達を物陰から見ているものがいるなんて私は思いもしなかったのだ。
**************************************
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
赤点危機のアミの前に現れたリックはまさに救世主でした。
でも、その二人を見ている影がありました。
続きをお楽しみに!
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