モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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薬屋の店員から呼び出されたと喜んで行ったら薬で眠らされてしまいました

 私は悪役令嬢との聖女対決で勝利をもぎ取った。
 五歳で聖女見習いになってそれからただひたすら初級ポーションを作ってきたことが認められたみたいでとても嬉しかったのだ。
 その結果どうなるかって事はよく考えていなかったのよ……


「パウリーナちゃんが勝てて良かったわ」
 王妃様は笑顔で喜んでくれたし、
「リーナ、良かったよ。聖女のランク判定になった時はどうなるかと思ったけれど……これでリーナは俺の物になったし……」 
 黒い笑みを浮かべてエドガルド様が私を抱き寄せてくれたんだけど……近いですから!
 私は逃れようとしたけれど、エドガルド様はびくともしなかった。

「エドガルド、何しているの?」
「良いじゃないか。抱きしめるくらい!」 
「公衆の面前でやめなさい」
 王妃様は私からエドガルト様を引き剥がしてくれて、私はほっとした。

「じゃあ、パウリーナちゃん。王宮に戻りましょうか?」
 王妃様が笑顔で言ってくれたんだけど……
「えっ? いえ、あの、王妃様、私は大聖堂に部屋がありますし、ポーション作らなければいけないと思うので大聖堂に帰りたいんですけど……」
 私は断ろうとした。基本は王宮なんて私がいてはいけないところなのだ。

「何を言っているのよ。パウリーナちゃん。今回の件で初級ポーション作るのがどれだけ有意義かというのがよく判ったから、しばらく大聖堂にいる聖女には初級ポーションを作るのを優先させます。あれだけ聖女がたくさん居るのだからあなた一人分くらいは出来るでしょう?」
「それはそうですが」
「それに、あなたは今までただひたすら初級ポーションだけを作ってきたから、筆頭聖女になるには他の知識が不足しているのよ。これから筆頭聖女になるための事をいろいろと学ばなければいけないでしょう。私が教えてあげられることは私の手ずから教えてあげたいのよ。それに大聖堂に戻ったらまたベルタ達に虐められたら大変でしょ。今度は何をされるかわかったことではないわよ」
 それは確かに言えているかも……ベルタは絶対に私に怒っているはずだ。今度は三日くらい飯抜きにされるかもしれない。それは困る。
 私は王妃様に言いくるめられて王宮に連れ帰られたのだ。



 でもそこからが大変だった。
 昼間は学園で授業があった。それも朝夕のエドガルド様の補講付きで。徹底的にしごかれたのだ。
 宿題の量も半端ないし。お昼もエドガルド様と一緒に生徒会室で食べるのだが、そこでも勉強させられたし。王宮帰ってもエドガルド様の監視付きの勉強だ。徹底的に覚えさせられた。

 まあ、エドガルド様は私の推しだったから見ている段には嬉しいんだけど。
 教えてくれるエドガルト様は結構鬼で私が覚えるまでは中々許してくれないし……大体エドガルド様の部屋で私は疲れて寝落ちしていた。
 更にはエドガルド様もご用がある訳で、用があるときはラッキーこれで休めると思ったのだ。
 
「何をしているのですか、パウリーナさん?」
 早速自分の部屋でベッドに寝転んでゴロゴロしていたらなんとロッテン先生が入ってきたのだ。
 そして、今度はロッテン先生が私に礼儀作法を講義してくれるんだけど……
 それはもう何度も何度も基本の姿勢をとらされて、もう死にそうだった。

「パウリーナさん。何事も基本が大切だというのはあなたから教えて頂きましたから。ポーション作りでは基本は初級ポーションを作ることですが、礼儀作法の基本は姿勢なのです。
 はい、背筋をもっと伸ばして、右に傾かない!
 今度は一度左に傾いています」 
 一度左に傾いているって何よ。そんなのどうでも良いじゃない!
 私はそう叫びたかったが、そんなの言ったら百倍くらいになって返って来そうなので何も言えなかった……

 ちょっと待ってよ! 私は休む間がないじゃない!
 そう文句を言ったらエドガルド様に
「俺は小さいときからこうだ」
 とさらりと言われて、私は目が死んでしまった。

 土日の午前中は王妃様の講義の時間だった。
 この時間だけは聖女の聖魔術の使い方を色々教えてもらって私の唯一の息抜き時間だった。
 私は癒やし魔術も出来るようになった。
 それは本当に嬉しかった。
 でも、これなら、土日だけ王宮に通えば良かったんじゃないの?
 気付いたけれど、遅かった。

 学園の行き帰りはエドガルド様の馬車で一緒だし、行き帰りも勉強だった。
 私はいい加減に嫌になってきた。
 エドは元気にしているのかな?
 無性に薬屋のエドに会いたくなった。

 そんな時だ。
「パウリーナ様。こんなメモを女の子から渡されたんですけど」
 ビビアナがメモを持って来てくれた。

 ビビアナは聖女対決の後、私にアレハンドラに脅されて杖を自分の杖とどさくさに紛れて交換していたと泣きながら白状してくれたのだ。何でも不作の後飢饉が起こりそうな時に、アレハンドラの家から莫大な借金をしていて、その言う事に逆らえなかったのだとか。怒り狂うエドガルド様をなんとか取りなして、私の傍にいてもらうようにしたのだ。

 『放課後に資料室で待つ エド』
とその紙には書かれていた。

 その時はエドガルド様はダミアンと廊下で何か話していたし、サラは他の聖女達と話していた。

 アレハンドラはあれから学園に出て来ていなかったのでクラスはとても平和だった。アレハンドラという支柱を失った悪役令嬢の取り巻き達は今は必死に私に媚びを売ってくるんだけど、私の代わりにサラが相手をしてくれていた。

 丁度私もエドと会いたいと思っていたところだった。
 ビビアンが言うには女の子は渡されただけだからと言って去って行ったという話だった。

「リーナ、悪いが少し遅くなりそうだから、先にサラ達と一緒に帰ってくれ」
 放課後、エドガルド様はそう言うとダミアン様たちとさっさと教室を出て行った。

 頷いた私は、サラが馬車を手配をしに行っている間にエドに会ってこようと思ったのだ。
 残ってくれたビビアナに

「ゴメン。ちょっとだけ、エドに会ってくるから」
そう言うと、
「えっ、パウリーナ様。それは困ります」
慌てるビビアナに、
「すぐ帰って来るから」
 そう言うと私は教室を飛び出したのだ。

 エドに会える。
 最近全然会えていなかった。
 私は色々愚痴を言ってやろうと思っていた。
 階段を駆け上ったさきにある資料室の前に来た。
「エド!」
 そう喜んで扉を開けて中に入いったんだけど、誰もいなかった。
「あれ?」
私は周りを見渡した。

 ガタンッ
 その時に奥で音がしたので

「エド?」
 そう言って私は一歩足を進めたのだった。

その瞬間だ。
私の口と鼻をゴツゴツした手に握られた湿ったハンカチで塞がれたのだ。

眠り薬だ!
そう思った時には私は気を失っていた。
**************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます
誰かに攫われたパウリーナの運命や如何に?
続きをお楽しみに。
感想 15

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