27 / 31
帝国の影から逃げ切ったと思ったら次に迷い込んだのは『恐竜の間』で最悪最凶のティラノザウルスに襲いかかられました
しおりを挟む
「はっ、はっ、はっ、は!」
私はその部屋に入った途端に、倒れ込んでしまった。
さすがの私も呼吸困難になりそうだった。
「さすがにここまでは追いかけてこないだろう」
倒れ込んでいたロンバウトがなんとか息を整えて体を起こした。
「ロン様。何故ロン様は帝国の人間なのに、帝国の影に襲われたんですか?」
私も起き上がって尋ねてみた。
「俺を亡き者にしたいと考える者が帝国内にいるんだろう」
ロンバウトは忌々しそうにそう答えてくれた。
ロンバウトは帝国の第一皇子だ。そして、ロンバウトの母は既に亡くなっているはずだ。
今の皇后はマルセル王国の王女だったアレクサンドラだ。ロンバウトにとって義母だ。
そして現皇帝とその皇后の間には小さい第二皇子がいて、皇帝もアレクサンドラも溺愛しているという噂だった。
帝国は我が王国よりも皇帝の力が強いから、ひょっとしてロンバウトは皇位継承権が危ないのかも。状況に追い詰められている気がした。
だから後ろ盾を得るために大陸では帝国と並ぶ大国である我が国の王女の私に婚約を申し込んできたんだろうか?
でも、それなら、私にあんな失礼な態度とったらいけなかったんじゃないの?
私がロンバウトの立場だったら、こんなツアーなんかに参加なんかせずに、王宮に入り浸って、ただひたすら私のご機嫌を取っているはずだ。
ロンバウトはこんなところにいても良いのか?
私はまじまじとロンバウトを見た。
「何だ? 影に狙われたくらいで俺はびくともしないぞ」
ロンバウトはとんちんかんな答えを宣言してくれたけれど……本当だろうか?
それなら逃げずに倒して欲しかった。現に今どこにいるか既に判らなくなっているし……
それに専制君主の帝国の皇帝に睨まれていたら、本当に皇位継承は難しいと思う。
ひょっとして皇帝は我が国に邪魔になったロンバウトを押しつけようとしたんだろうか?
でも、基本的に我が国はお兄様が継ぐのは既定路線だ。ロンバウトが来ても我が国の王配にはなれない。それに悪巧みが得意なお兄様がバックについたら、ロンバウトを帝位に就けようと暗躍しそうだ。
それは皇帝も知っているだろう。だからそれだったら進んで我が国に追いやるなんてするはずはないのだ。
ということは皇帝はまだロンバウトを跡継ぎにしようとしているが、皇后が色々暗部を使って暗躍しているって感じなんだろうか?
「リーゼ、何を悩んでいるんだ?」
「えっ、どうして、ロン様は帝国の暗部に追われているのかなと思いまして」
私が不思議そうに聞くと
「俺のことを気に入らない者もいるのだろう。それよりも俺の件で君を巻き込んでしまってすまない」
ロンバウトが珍しく謝ってきた。
「まあ、お客様を守るのもツアコンの仕事ですから」
私は当然の事だとロンバウトに答えていた。
「まあ、そんなことよりも、ここはどこなんだ?」
「さあ、本当に適当に逃げてきましたからね。どこかはもう判りませんわ」
私はそう答えながら周囲を見渡した。
周りは真っ暗だった。
一瞬『宇宙の間』かなと思ったが、よく見ると違う。
空は星空だけど、宇宙空間のようにはっきりとは見えない。地上から見ているみたいだ。それに周りの暗がりには、うっそうと生い茂る木々が見えた。
でも、何か植生が変わった気がする。
何か違うのだ。
この感じ、私の心の奥底で胸騒ぎがした。
「ロン様」
私は慌てて立ち上った。
「どうした、リーゼ?」
ロンバウトが私に習って立ち上った時だ。
ドシン!
ドシン!
今度は宇宙船の音ではなくて、大きな足音が聞こえた。
何か、巨大なものがこちらに近付いてくる。
そう言えば昔もこんな事があった気がした。
何だったっけ?
すぐには思い出せない。
でもこれは碌でもない物なのは確実だった。
「リーゼ、これはひょっとして……」
「しーーーー!」
私はロンバウトに音を立てないように注意した。
ドシン!
ドシン!
どんどん音は大きくなってくる。
このまま通り過ぎて見逃して欲しい!
私が心の底で願った時だ。
何故か足音が私達の真横で止まったのだ。
安心しろ。これは映像だ。本物が現れる訳はない。
私は自分に言い聞かせたのだ。
上の枝をかき分けて私達の頭上に巨大な禍々しいものが顔を出したのだ。
「えっ?」
私達は唖然として固まってしまった。
そんな馬鹿な……何故これがいる?
それは巨大肉食獣ティラノザウルスだった。
ギャオーーーーー
ティラノが大声で叫んだのだ。
その瞬間私達の呪縛が解けた。
「逃げるぞ」
私はロンバウトに手を引かれた。
「ロン様、あれは幻ですよ」
私はまだ余裕だった。
それでもロンバウトは来た道に向けて駆け出したのだ。
私はこれはあくまでも幻だと映像に過ぎないと思っていた。
でも次の瞬間だ。
ギャオーーーーー
雄叫びを上げると、ディラノザウルスが画面から飛び出してきたのだ。
それも私達に向かって一目散で。
「キャーーーー」
私は悲鳴を上げると一気に加速した。
ティラノザウルスは時速100キロで走ると言われていた。
でも、私は身体強化して加速すればそれ以上のスピードが出るのだ。
「ちょっと、リーゼ」
「ロン様、急ぎますよ」
今度はロンバウトを引っ張って来た道を帰りだしたのだ。
ティラノザウルスの出現で私達は帝国の影に追いかけられていたのを忘れていた。
************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
恐竜に追いかけられるリーゼ達。
しかし、来た道には帝国の影が……
前門に帝国の影、後門にティラノザウルス
絶体絶命のピンチです。
続きは明日です
お楽しみに
私はその部屋に入った途端に、倒れ込んでしまった。
さすがの私も呼吸困難になりそうだった。
「さすがにここまでは追いかけてこないだろう」
倒れ込んでいたロンバウトがなんとか息を整えて体を起こした。
「ロン様。何故ロン様は帝国の人間なのに、帝国の影に襲われたんですか?」
私も起き上がって尋ねてみた。
「俺を亡き者にしたいと考える者が帝国内にいるんだろう」
ロンバウトは忌々しそうにそう答えてくれた。
ロンバウトは帝国の第一皇子だ。そして、ロンバウトの母は既に亡くなっているはずだ。
今の皇后はマルセル王国の王女だったアレクサンドラだ。ロンバウトにとって義母だ。
そして現皇帝とその皇后の間には小さい第二皇子がいて、皇帝もアレクサンドラも溺愛しているという噂だった。
帝国は我が王国よりも皇帝の力が強いから、ひょっとしてロンバウトは皇位継承権が危ないのかも。状況に追い詰められている気がした。
だから後ろ盾を得るために大陸では帝国と並ぶ大国である我が国の王女の私に婚約を申し込んできたんだろうか?
でも、それなら、私にあんな失礼な態度とったらいけなかったんじゃないの?
私がロンバウトの立場だったら、こんなツアーなんかに参加なんかせずに、王宮に入り浸って、ただひたすら私のご機嫌を取っているはずだ。
ロンバウトはこんなところにいても良いのか?
私はまじまじとロンバウトを見た。
「何だ? 影に狙われたくらいで俺はびくともしないぞ」
ロンバウトはとんちんかんな答えを宣言してくれたけれど……本当だろうか?
それなら逃げずに倒して欲しかった。現に今どこにいるか既に判らなくなっているし……
それに専制君主の帝国の皇帝に睨まれていたら、本当に皇位継承は難しいと思う。
ひょっとして皇帝は我が国に邪魔になったロンバウトを押しつけようとしたんだろうか?
でも、基本的に我が国はお兄様が継ぐのは既定路線だ。ロンバウトが来ても我が国の王配にはなれない。それに悪巧みが得意なお兄様がバックについたら、ロンバウトを帝位に就けようと暗躍しそうだ。
それは皇帝も知っているだろう。だからそれだったら進んで我が国に追いやるなんてするはずはないのだ。
ということは皇帝はまだロンバウトを跡継ぎにしようとしているが、皇后が色々暗部を使って暗躍しているって感じなんだろうか?
「リーゼ、何を悩んでいるんだ?」
「えっ、どうして、ロン様は帝国の暗部に追われているのかなと思いまして」
私が不思議そうに聞くと
「俺のことを気に入らない者もいるのだろう。それよりも俺の件で君を巻き込んでしまってすまない」
ロンバウトが珍しく謝ってきた。
「まあ、お客様を守るのもツアコンの仕事ですから」
私は当然の事だとロンバウトに答えていた。
「まあ、そんなことよりも、ここはどこなんだ?」
「さあ、本当に適当に逃げてきましたからね。どこかはもう判りませんわ」
私はそう答えながら周囲を見渡した。
周りは真っ暗だった。
一瞬『宇宙の間』かなと思ったが、よく見ると違う。
空は星空だけど、宇宙空間のようにはっきりとは見えない。地上から見ているみたいだ。それに周りの暗がりには、うっそうと生い茂る木々が見えた。
でも、何か植生が変わった気がする。
何か違うのだ。
この感じ、私の心の奥底で胸騒ぎがした。
「ロン様」
私は慌てて立ち上った。
「どうした、リーゼ?」
ロンバウトが私に習って立ち上った時だ。
ドシン!
ドシン!
今度は宇宙船の音ではなくて、大きな足音が聞こえた。
何か、巨大なものがこちらに近付いてくる。
そう言えば昔もこんな事があった気がした。
何だったっけ?
すぐには思い出せない。
でもこれは碌でもない物なのは確実だった。
「リーゼ、これはひょっとして……」
「しーーーー!」
私はロンバウトに音を立てないように注意した。
ドシン!
ドシン!
どんどん音は大きくなってくる。
このまま通り過ぎて見逃して欲しい!
私が心の底で願った時だ。
何故か足音が私達の真横で止まったのだ。
安心しろ。これは映像だ。本物が現れる訳はない。
私は自分に言い聞かせたのだ。
上の枝をかき分けて私達の頭上に巨大な禍々しいものが顔を出したのだ。
「えっ?」
私達は唖然として固まってしまった。
そんな馬鹿な……何故これがいる?
それは巨大肉食獣ティラノザウルスだった。
ギャオーーーーー
ティラノが大声で叫んだのだ。
その瞬間私達の呪縛が解けた。
「逃げるぞ」
私はロンバウトに手を引かれた。
「ロン様、あれは幻ですよ」
私はまだ余裕だった。
それでもロンバウトは来た道に向けて駆け出したのだ。
私はこれはあくまでも幻だと映像に過ぎないと思っていた。
でも次の瞬間だ。
ギャオーーーーー
雄叫びを上げると、ディラノザウルスが画面から飛び出してきたのだ。
それも私達に向かって一目散で。
「キャーーーー」
私は悲鳴を上げると一気に加速した。
ティラノザウルスは時速100キロで走ると言われていた。
でも、私は身体強化して加速すればそれ以上のスピードが出るのだ。
「ちょっと、リーゼ」
「ロン様、急ぎますよ」
今度はロンバウトを引っ張って来た道を帰りだしたのだ。
ティラノザウルスの出現で私達は帝国の影に追いかけられていたのを忘れていた。
************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
恐竜に追いかけられるリーゼ達。
しかし、来た道には帝国の影が……
前門に帝国の影、後門にティラノザウルス
絶体絶命のピンチです。
続きは明日です
お楽しみに
51
あなたにおすすめの小説
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
悪役令嬢、第四王子と結婚します!
水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします!
小説家になろう様にも、書き起こしております。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる