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23:どろどろ
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あの現場を目撃してしまってから一週間、ヴィンスは用事で出る事が増えた。
またあの女性に会っているのだろうか。黒い毛並みの、綺麗な猫獣人だった。
今日の授業が終わった後、ヴィンスはいそいそと出掛けて行った。どうやら、街へと行っているらしい。
もしかして、デートだろうか。
「…違う。ヴィンスは、そんな事…」
本当に?絶対に心変わりなどしないと、どうして言い切れる。
侯爵邸のメイド達の噂話を思い出す。母はとある事情での政略結婚であり、二人は愛し合っていなかったと。
ただの噂だと思っていたが、今となっては信憑性が高いと感じる。
父は俺を毛嫌いしているし、母親に似た顔が憎たらしいとも言われていた。
「愛なんて、不確かなんだな」
ぽつりと呟く。窓の外を見ると、今にも雨が降ってきそうなほどどんよりとしていた。
あの後本当に雨が降り、より一層気分が落ち込む。
ずきずきと痛む胸と、どろどろと暗い感情がお腹の中で渦巻いて何もかもやる気が出ない。
態々ヴィンスが夕食を取ろうと誘ってくれたのに、素っ気なく断ってしまった。食欲すら、全然わかない。
ぼんやりと窓の外を眺める。あぁ、俺は一体何をしているのだろう。
『何もかも、壊してしまいたい。俺がヴィンスを殺してしまえば、何の気兼ねもなく永遠に愛してあげられるのに』
おれが、ゔぃんすをころしてしまえば。
『彼の全てを、手に入れられる。俺が、彼の全てを奪ってやれる』
ゔぃんすの、ぜんぶを。
「…~っは、ちがう、そんな、」
急激に吐き気が込み上げてくる。急いでトイレへ駆け込み、便器の中へ胃液を吐き出した。
何も食べていないから何も出てきやしない。けれど吐き気は治らなくて、息を切らしながら胃液を吐く。
気持ち悪い、きもちわるい、キモチワルイ。
何が?自分が。どうして?理解できない。駄目なの?駄目に決まってる。
訳の分からない自問自答を繰り返した。何でこんなに、悪意が溢れてくるんだろう。
「…もしかして、呪いが進行してる…?」
ぜいぜいと息を切らしながら、思い当たる理由を呟く。
アルフォンスを襲ったあの時も、好きだから何をしてでも手に入れたいと思った。殿下への嫉妬とアルフォンスへの怒りで、周りが全然見えなくなった。
自分の汚い欲を、最優先にしてしまった。
何故?俺に呪いをかけたのは、母国の人間だったはずだ。
俺が近頃会った母国の人間なんて、アルフォンスとザックくらい。
ザックは呪いなんて使ったら死んでしまうから有り得ないし、アルフォンスも無関係だと思いたい。
考えるのが億劫になる。何を信じたら良いのか分からなくて、頭の中がぐちゃぐちゃで。
「…俺、どうすれば」
思わず出た声は、驚く程弱々しかった。
またあの女性に会っているのだろうか。黒い毛並みの、綺麗な猫獣人だった。
今日の授業が終わった後、ヴィンスはいそいそと出掛けて行った。どうやら、街へと行っているらしい。
もしかして、デートだろうか。
「…違う。ヴィンスは、そんな事…」
本当に?絶対に心変わりなどしないと、どうして言い切れる。
侯爵邸のメイド達の噂話を思い出す。母はとある事情での政略結婚であり、二人は愛し合っていなかったと。
ただの噂だと思っていたが、今となっては信憑性が高いと感じる。
父は俺を毛嫌いしているし、母親に似た顔が憎たらしいとも言われていた。
「愛なんて、不確かなんだな」
ぽつりと呟く。窓の外を見ると、今にも雨が降ってきそうなほどどんよりとしていた。
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ずきずきと痛む胸と、どろどろと暗い感情がお腹の中で渦巻いて何もかもやる気が出ない。
態々ヴィンスが夕食を取ろうと誘ってくれたのに、素っ気なく断ってしまった。食欲すら、全然わかない。
ぼんやりと窓の外を眺める。あぁ、俺は一体何をしているのだろう。
『何もかも、壊してしまいたい。俺がヴィンスを殺してしまえば、何の気兼ねもなく永遠に愛してあげられるのに』
おれが、ゔぃんすをころしてしまえば。
『彼の全てを、手に入れられる。俺が、彼の全てを奪ってやれる』
ゔぃんすの、ぜんぶを。
「…~っは、ちがう、そんな、」
急激に吐き気が込み上げてくる。急いでトイレへ駆け込み、便器の中へ胃液を吐き出した。
何も食べていないから何も出てきやしない。けれど吐き気は治らなくて、息を切らしながら胃液を吐く。
気持ち悪い、きもちわるい、キモチワルイ。
何が?自分が。どうして?理解できない。駄目なの?駄目に決まってる。
訳の分からない自問自答を繰り返した。何でこんなに、悪意が溢れてくるんだろう。
「…もしかして、呪いが進行してる…?」
ぜいぜいと息を切らしながら、思い当たる理由を呟く。
アルフォンスを襲ったあの時も、好きだから何をしてでも手に入れたいと思った。殿下への嫉妬とアルフォンスへの怒りで、周りが全然見えなくなった。
自分の汚い欲を、最優先にしてしまった。
何故?俺に呪いをかけたのは、母国の人間だったはずだ。
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