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25:散りばめた意味
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あれからあっという間に月日が流れ、舞踏会当日。
相変わらず俺の調子は上がったり下がったりだった。碌に動けない日もあれば、体力が有り余りすぎて夜寝付けなかったり。
寝れない夜は、バルコニーに出て月明かりを浴びると落ち着いた。昔から月は魔力の増幅に関係があると言われているので、そのせいかも知れない。
呪いは、術者の魔力と被術者の魔力が多大に関わってくる。
「~っ、レイモンド、それは苦しすぎる」
「わがまま言わない!これくらい締めないと、綺麗に着こなせませんよ!」
「っぐ、う、」
ぎゅう、レイモンドがコルセットの腰紐を勢いよく引っ張る。
別に太っているわけではないが、ヴィンスが誂えてくれた礼服が確りと身体のラインが出るデザインだったのだ。
なので、張り切ってしまった。そう、レイモンドが。
先日届けられた礼服を見た瞬間、レイモンドの目が爛々と輝いた。過去に何度か見た事がある、熱の籠った眼差し。
レイモンドは誰より何より、俺の事を着飾るのが好きだった。そりゃあもう、俺に似合う化粧を何パターンも開発してしまうくらいには。
本人曰く、自分が生まれてきたのは俺を着飾る為らしい。意味がわからない。
だけどこうなってしまったレイモンドは、誰にも止める事のできない暴走列車だ。
やり過ごすには、好きにさせるしかない。まぁ、出来上がりは本当に素晴らしい物なので俺もやぶさかじゃないんだけど。
普段俺が着飾らない分、ここぞと言う時に暴れるレイモンド。もう、こういう物だと諦めている。
「さっ、シル様!取り敢えずお着替えは終わりました!次はお化粧して、髪をセットして…」
「…まだかかるの?」
「何を仰いますか!まだ、着ただけですよ!」
「ごめんなさい…」
ちょっと面倒になって弱音を吐き出すと、恐ろしい顔で怒られた。
思わず小さく震えながら謝れば、宜しいと一言言った後化粧の準備を再開する。
本当に今の表情は怖かった。俺、一生レイモンドに敵わない気がする。いや、もう二度と歯向かわない。
ふと、姿身に映る自分の姿を見る。きっちりと首元まで絞められた詰襟に、至る所に散りばめられた黄色い宝石。礼服の主色は、白だった。
部屋の照明に反射して、きらきらと煌いている。ふと、以前街にヴィンスと訪れた際初めて見た宝石が思い浮かぶ。
月のかけら。そうだ、この礼服に縫い付けられている宝石は、月のかけらにそっくりなんだ。
確かあの宝石はとても希少で、凄く高価だと聞いた。でもそんな、まさかね。
「シル様、ヴィンセント殿下と何かありました?この礼服、完全にヴィンセント殿下の色ですよね…髪飾りだって、」
「レイモンド、お願いだからそれ以上は言わないでくれ」
「おやおや」
そう、ヴィンスは礼服と同時に髪飾りも贈ってくれた。
シンプルなシルバーの土台に、満遍なく月のかけらが散りばめられていて凄く綺麗だ。
獣人族が髪飾りを贈るのは、その相手に想いを寄せている証拠だ。古い慣習ではあるものの、獣人族の間では当たり前の話らしい。
きっとヴィンスは、俺がその慣習を知らないと踏んでいる。知ってるから、困ってるんだけど。
「シル様、愛されてますねぇ」
ニヤニヤと揶揄うように笑うレイモンドに、俺は拳を落とした。
相変わらず俺の調子は上がったり下がったりだった。碌に動けない日もあれば、体力が有り余りすぎて夜寝付けなかったり。
寝れない夜は、バルコニーに出て月明かりを浴びると落ち着いた。昔から月は魔力の増幅に関係があると言われているので、そのせいかも知れない。
呪いは、術者の魔力と被術者の魔力が多大に関わってくる。
「~っ、レイモンド、それは苦しすぎる」
「わがまま言わない!これくらい締めないと、綺麗に着こなせませんよ!」
「っぐ、う、」
ぎゅう、レイモンドがコルセットの腰紐を勢いよく引っ張る。
別に太っているわけではないが、ヴィンスが誂えてくれた礼服が確りと身体のラインが出るデザインだったのだ。
なので、張り切ってしまった。そう、レイモンドが。
先日届けられた礼服を見た瞬間、レイモンドの目が爛々と輝いた。過去に何度か見た事がある、熱の籠った眼差し。
レイモンドは誰より何より、俺の事を着飾るのが好きだった。そりゃあもう、俺に似合う化粧を何パターンも開発してしまうくらいには。
本人曰く、自分が生まれてきたのは俺を着飾る為らしい。意味がわからない。
だけどこうなってしまったレイモンドは、誰にも止める事のできない暴走列車だ。
やり過ごすには、好きにさせるしかない。まぁ、出来上がりは本当に素晴らしい物なので俺もやぶさかじゃないんだけど。
普段俺が着飾らない分、ここぞと言う時に暴れるレイモンド。もう、こういう物だと諦めている。
「さっ、シル様!取り敢えずお着替えは終わりました!次はお化粧して、髪をセットして…」
「…まだかかるの?」
「何を仰いますか!まだ、着ただけですよ!」
「ごめんなさい…」
ちょっと面倒になって弱音を吐き出すと、恐ろしい顔で怒られた。
思わず小さく震えながら謝れば、宜しいと一言言った後化粧の準備を再開する。
本当に今の表情は怖かった。俺、一生レイモンドに敵わない気がする。いや、もう二度と歯向かわない。
ふと、姿身に映る自分の姿を見る。きっちりと首元まで絞められた詰襟に、至る所に散りばめられた黄色い宝石。礼服の主色は、白だった。
部屋の照明に反射して、きらきらと煌いている。ふと、以前街にヴィンスと訪れた際初めて見た宝石が思い浮かぶ。
月のかけら。そうだ、この礼服に縫い付けられている宝石は、月のかけらにそっくりなんだ。
確かあの宝石はとても希少で、凄く高価だと聞いた。でもそんな、まさかね。
「シル様、ヴィンセント殿下と何かありました?この礼服、完全にヴィンセント殿下の色ですよね…髪飾りだって、」
「レイモンド、お願いだからそれ以上は言わないでくれ」
「おやおや」
そう、ヴィンスは礼服と同時に髪飾りも贈ってくれた。
シンプルなシルバーの土台に、満遍なく月のかけらが散りばめられていて凄く綺麗だ。
獣人族が髪飾りを贈るのは、その相手に想いを寄せている証拠だ。古い慣習ではあるものの、獣人族の間では当たり前の話らしい。
きっとヴィンスは、俺がその慣習を知らないと踏んでいる。知ってるから、困ってるんだけど。
「シル様、愛されてますねぇ」
ニヤニヤと揶揄うように笑うレイモンドに、俺は拳を落とした。
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