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第三章 健斗と美咲と新たな出会い
空に浮かぶは何者ぞ
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JR六甲道駅の上空を通り過ぎる。
「みんな、どないしとんかなぁ」
「ちょっと寄ってみる?」
「あほやで・・・」
「自分のやった事をちゃんと理解出来とんやな?」
「・・・」
「そういや、リョウケンとわらびがメモ書きくれとったわ」
そう言って胸のポケットから二人からの手紙を取り出し、美咲に見せる。
「ほうほう。うちにはメッセージないんやなぁ」
「嫌われとんちゃうか?(笑)」
「しばきまわすぞぉ~」
そう言いながら、空中で殴る蹴ると健斗に重攻撃を仕掛ける美咲だった。
灘区の西端辺りにある高層マンションの灘タワーを左手に飛び、右手の山手方面に王子動物園を見ながら通り過ぎ、いよいよ中央区に差し掛かる。
日本一プラットホームが狭い「阪急春日野道駅」辺りを過ぎ去ると、もう目の前には高層住宅やタワーマンション、タワーホテルや高層ビルの市役所などが目に入って来る。
二宮、三宮あたりから神戸駅東側栄町くらいまでが神戸の中心地と言えるだろう。
2021年現在、神戸市ではタワーマンションの建設が禁止になっているので、これ以上の摩天楼化は望めないが、それでも政令指定都市の中では、大阪市に次いでその数が多い。
「三宮は良く来るけど、こうやって上空から見る事なんて無いもんなぁ」
「そやな~」
「ん?なんか市役所の辺、大勢の人が集まっとうな」
「ここって、神戸まつりのサンバとかパレードしながら躍る道やろ?」
「うん、フラワーロードやな」
神戸阪急(旧神戸そごう)上空から南の方向を二人で眺めている。
目の前には廃車になった車が積み上げられて防衛壁のようになっている。
そのためにフラワーロードの北端は閉鎖される形になっていた。
通路はセンター街を通り抜ける進路が取られているようだ。
すぐ南隣の国際会館前から、フラワーロード南端の震災モニュメントがある東遊園地(東公園)の前あたりまで多くの人が埋め尽くしている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
フラワーロード北側には、JR三宮、阪急三宮、阪神三宮、神戸市営地下鉄三宮駅がほぼ同じくらいの場所に固まって、集まっている。
東に行けばすべての線は大阪の梅田駅に着く。
JRはそのまま西に行けば下関でJR九州に切り替わる。阪神と阪急は神戸駅で合流し、そこから山陽電鉄となる。
地下鉄は、北に行くと新幹線の新神戸駅に。そこから六甲山の地下を通って北区の谷上駅へと向かう北神線に変わる。
地下鉄を西に向かうと、湊川公園を通り新長田へ向かう山手線とヴィッセル神戸の本拠、ノエビアスタジアムを通り、新長田で合流する海岸線がある。
新長田からは、西神中央まで1線である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2人は南下して市役所の前の道に降りる。
「な、なんじゃ~おまえら~」
「そ、空から落ちてきよった~」
「おっおっお、・・・」
「みなさん、落ち着いて下さい」
「決して怪しいもんじゃありません」
「あ、怪しさ満点じゃ~」
「な、な、何もんやねん!」
「あ、あ、あやしさしか無いわ~」
「健ちゃん、見て~見て~ ここってマラソン発祥の地やねんてぇ~」
ここ神戸市役所の前はマラソン発祥の地なのだ。
市役所の前には小さなモニュメントがある。
「へぇ~へぇ~」
「なぁなぁそこのおっちゃんはこれ知っとったん?」
「はっ?ワ、ワシか? そ、そんなもん神戸っ子やったら大概知っとうやろー」
いきなり、かなり怪しいが、薄緑の髪で綺麗な碧眼で可愛くスタイルが抜群の女性に声を掛けられて驚く中高年のおじ様たち。
「そうなんや~ うち、神戸生まれの神戸育ちやけど知らんかったわ」
「まぁそんなにゆうほど有名でも無いやろうしね」
「そんなもん、知っとる人もおれば知らん人もおるわ」
「自分が知っとうからみんなも知っとる、なんて考え方は愚の骨頂やわ」
ざっと見たところ、レベル付きがほぼ皆無と言っていいくらい普通の避難民の人間ばかりだ。
そして、ここに居る老若男女全員がなにかピリピリと苛立っている。
苛立ってるがゆえに、敵になるモノを探しているように思う。
健斗はそれを察して話題をすり替えようと問いかける。
「みなさんはここで何をされているのですか?」
「何が起こっとんか、ちゃんとした説明が欲しいんじゃ」
「電気もガスも止まっとうのに、なんで炊き出しや配給せんのか聞きに来たんや」
「近所のコンビニやスーパーはもう略奪が始まっとうし、食いもんが無いんや」
「略奪や暴行や強盗が発生しとんのに、なんで警察が来ないんや」
「それより、おまえは何もんなんじゃ?」
「そうじゃそうじゃ、怪しい奴め!」
「なぁこの辺はモンスターがおれへんの?」
美咲は人間がこれだけ居るのにゴブリンすら見かけない事に違和感を覚える。
そして、健斗に突っかかるおっさん達のスケープゴートとなれば良いと考えての発言だった。
「昨日はあちこちに仰山おったけど、今日はホンマ見かけへんなー」
「狩人の連中も見かけへんから、この辺の化け物はもう全滅したんじゃない?」
「狩人?どんな人なんですか?」
「その人らって、背が高くて凄い動きしてなかった?」
そう聞くと、少し離れた所から中高校生くらいの男女が近寄ってきた。
2人のステを覗くと、まだまだ低いけどレベル持ちである。
進化はしてるが特別に背が高い訳でも無い。
『彼らは、今日は三宮の北側と西側に討伐と仲間増やしに行ってます』
「君らはレベル付いとるけど、一緒に行かなかったん?」
『うちらは家族と一緒におる事にしてん』
『妹があまりゴブリンを殺すのが好きじゃ無いみたいで、戦うのは危険かなと思って』
『ってか、なんでレベル持ちってわかったん?』
「そりゃ簡単や、鑑定系のスキルがあるからや」
どうやら二人は兄妹の様で、討伐に躊躇するのなら危険だからと先達の連中に言われたらしい。
「まぁそのうち感覚が麻痺してくるけど、その間に怪我してもつまらんしなー」
「そうやな。今日はゴブリンよりももっと強い魔物も出て来とるし」
『『えぇぇぇぇぇぇ?』』
「あぁトロールとかすんごい強かったよ」
「俺らの前に戦ってた10人くらいのパーティーは壊滅寸前やったしなー」
「みんなレベル10は超えてたのにね」
『『・・・・・・』』
「ここはちょっと話しにくいね」
あまりにも周りに人が多すぎる。
「ちょっとそっちに行こうか?」
市役所前の人塵の喧騒から少し離れて、市役所ビルと東公園の間の脇道に入り、その兄妹と情報の交換会を開く。
母親だと紹介されたアラフォー世代の美人さんと、何故か先ほど美咲と会話していたおじさんおばさん数人と見知らぬ男女数人がトコトコと付いて来る・・・
彼の話では、ここらを統括しているのは『三宮クラン』と言う団体で、現在200人くらいはレベル持ちが居るらしい。
回りを良く見ると、フラワーロードには1台の車も無かった。
そして脇道や南北の端も、バリケードの様に廃車が積み上げられている。
車が通れるように整理された脇道は資材や食料の運搬専用らしい。
色々と考えられるリーダーや幹部が居るのが良くわかる。
厄災からたった一日でクランを立ち上げ、インフラ整備に着手したその人物に一度会ってみたいものだ。
『ギルドの人が、"人が集まれる場所"を作っていったんです』
「それだけ大人数なら食の確保が最優先だよなぁ」
「うちらは2人やから危機感は無いけど、ギルド200人とこの大勢の避難民を食い繋ごうと思えば、並大抵の量じゃないもんなぁ」
「生活魔法とか覚えた人は多いのかな?」
健斗が兄妹に問いかける。
『えっ?魔法なんてそんなに簡単に覚えれるもんじゃないでしょ?』
「そんな事ないよ?必要なスキルや魔法は反復してると勝手に覚えるよ?」
健斗と美咲のおせっかいがまた始まった。
何故かついてきた数人のギャラリー達にも進化の説明を丁寧にする。
もう何度も他人に説いて来たので、慣れたものである。
前日にも三宮ギルドの幹部連中から大勢の避難してきた人達に進化の勧誘があったらしいのだが、結局、夢見事の様な絵空事の様な掴み処の無い話をこんな状況下で簡単に信じる人は少なくて、進化した人は200人程度にしかならなかったようだ。
今現在フラワーロード付近には全体で7000人~8000人くらいの避難民が集まって居る事だろう。
もしかしたら万単位かも知れないが、数え様が無いので憶測の域を超えない。
だが、今のこの状態が続いたとして、1か月後に一体何人の人が生き残っているだろうか?
この先、水道もいつ止まるかわからない。
食料も自給自足が求められる。
そんな状況で、自分の身を守る術は自分で持っていないと駄目だ。
そんな説法を少数の目の前に居る人達に説いてみても「あぁやっぱり」の薄い反応である。
だがしかし、ここに居る人は現状把握と現状の打開を考えて何気に健斗達に尽いて来ている。
その気持ちが現状理解を大きく分かつ。
すると美咲が風を纏い空中に浮く。
その意味を理解した健斗は、誰も居ない事を確認した方向に魔風剣を振り下ろす。
『『「おぉおおおお」』』
「うちらは基本、近接攻撃スキル中心にしとるから、生活に使えるもんはほぼ無いんよ」
「でも最初から生活スキル優先するなら、そっち系統で固めるとえぇよ」
「とにかく、今日を生きれても明日が必ず来るとは限らない世界なんで、自分の命は自分で守れるように、そして生きれるようにしないとね」
そして、おせっかい進化教室は始まった。
「みんな、どないしとんかなぁ」
「ちょっと寄ってみる?」
「あほやで・・・」
「自分のやった事をちゃんと理解出来とんやな?」
「・・・」
「そういや、リョウケンとわらびがメモ書きくれとったわ」
そう言って胸のポケットから二人からの手紙を取り出し、美咲に見せる。
「ほうほう。うちにはメッセージないんやなぁ」
「嫌われとんちゃうか?(笑)」
「しばきまわすぞぉ~」
そう言いながら、空中で殴る蹴ると健斗に重攻撃を仕掛ける美咲だった。
灘区の西端辺りにある高層マンションの灘タワーを左手に飛び、右手の山手方面に王子動物園を見ながら通り過ぎ、いよいよ中央区に差し掛かる。
日本一プラットホームが狭い「阪急春日野道駅」辺りを過ぎ去ると、もう目の前には高層住宅やタワーマンション、タワーホテルや高層ビルの市役所などが目に入って来る。
二宮、三宮あたりから神戸駅東側栄町くらいまでが神戸の中心地と言えるだろう。
2021年現在、神戸市ではタワーマンションの建設が禁止になっているので、これ以上の摩天楼化は望めないが、それでも政令指定都市の中では、大阪市に次いでその数が多い。
「三宮は良く来るけど、こうやって上空から見る事なんて無いもんなぁ」
「そやな~」
「ん?なんか市役所の辺、大勢の人が集まっとうな」
「ここって、神戸まつりのサンバとかパレードしながら躍る道やろ?」
「うん、フラワーロードやな」
神戸阪急(旧神戸そごう)上空から南の方向を二人で眺めている。
目の前には廃車になった車が積み上げられて防衛壁のようになっている。
そのためにフラワーロードの北端は閉鎖される形になっていた。
通路はセンター街を通り抜ける進路が取られているようだ。
すぐ南隣の国際会館前から、フラワーロード南端の震災モニュメントがある東遊園地(東公園)の前あたりまで多くの人が埋め尽くしている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
フラワーロード北側には、JR三宮、阪急三宮、阪神三宮、神戸市営地下鉄三宮駅がほぼ同じくらいの場所に固まって、集まっている。
東に行けばすべての線は大阪の梅田駅に着く。
JRはそのまま西に行けば下関でJR九州に切り替わる。阪神と阪急は神戸駅で合流し、そこから山陽電鉄となる。
地下鉄は、北に行くと新幹線の新神戸駅に。そこから六甲山の地下を通って北区の谷上駅へと向かう北神線に変わる。
地下鉄を西に向かうと、湊川公園を通り新長田へ向かう山手線とヴィッセル神戸の本拠、ノエビアスタジアムを通り、新長田で合流する海岸線がある。
新長田からは、西神中央まで1線である。
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2人は南下して市役所の前の道に降りる。
「な、なんじゃ~おまえら~」
「そ、空から落ちてきよった~」
「おっおっお、・・・」
「みなさん、落ち着いて下さい」
「決して怪しいもんじゃありません」
「あ、怪しさ満点じゃ~」
「な、な、何もんやねん!」
「あ、あ、あやしさしか無いわ~」
「健ちゃん、見て~見て~ ここってマラソン発祥の地やねんてぇ~」
ここ神戸市役所の前はマラソン発祥の地なのだ。
市役所の前には小さなモニュメントがある。
「へぇ~へぇ~」
「なぁなぁそこのおっちゃんはこれ知っとったん?」
「はっ?ワ、ワシか? そ、そんなもん神戸っ子やったら大概知っとうやろー」
いきなり、かなり怪しいが、薄緑の髪で綺麗な碧眼で可愛くスタイルが抜群の女性に声を掛けられて驚く中高年のおじ様たち。
「そうなんや~ うち、神戸生まれの神戸育ちやけど知らんかったわ」
「まぁそんなにゆうほど有名でも無いやろうしね」
「そんなもん、知っとる人もおれば知らん人もおるわ」
「自分が知っとうからみんなも知っとる、なんて考え方は愚の骨頂やわ」
ざっと見たところ、レベル付きがほぼ皆無と言っていいくらい普通の避難民の人間ばかりだ。
そして、ここに居る老若男女全員がなにかピリピリと苛立っている。
苛立ってるがゆえに、敵になるモノを探しているように思う。
健斗はそれを察して話題をすり替えようと問いかける。
「みなさんはここで何をされているのですか?」
「何が起こっとんか、ちゃんとした説明が欲しいんじゃ」
「電気もガスも止まっとうのに、なんで炊き出しや配給せんのか聞きに来たんや」
「近所のコンビニやスーパーはもう略奪が始まっとうし、食いもんが無いんや」
「略奪や暴行や強盗が発生しとんのに、なんで警察が来ないんや」
「それより、おまえは何もんなんじゃ?」
「そうじゃそうじゃ、怪しい奴め!」
「なぁこの辺はモンスターがおれへんの?」
美咲は人間がこれだけ居るのにゴブリンすら見かけない事に違和感を覚える。
そして、健斗に突っかかるおっさん達のスケープゴートとなれば良いと考えての発言だった。
「昨日はあちこちに仰山おったけど、今日はホンマ見かけへんなー」
「狩人の連中も見かけへんから、この辺の化け物はもう全滅したんじゃない?」
「狩人?どんな人なんですか?」
「その人らって、背が高くて凄い動きしてなかった?」
そう聞くと、少し離れた所から中高校生くらいの男女が近寄ってきた。
2人のステを覗くと、まだまだ低いけどレベル持ちである。
進化はしてるが特別に背が高い訳でも無い。
『彼らは、今日は三宮の北側と西側に討伐と仲間増やしに行ってます』
「君らはレベル付いとるけど、一緒に行かなかったん?」
『うちらは家族と一緒におる事にしてん』
『妹があまりゴブリンを殺すのが好きじゃ無いみたいで、戦うのは危険かなと思って』
『ってか、なんでレベル持ちってわかったん?』
「そりゃ簡単や、鑑定系のスキルがあるからや」
どうやら二人は兄妹の様で、討伐に躊躇するのなら危険だからと先達の連中に言われたらしい。
「まぁそのうち感覚が麻痺してくるけど、その間に怪我してもつまらんしなー」
「そうやな。今日はゴブリンよりももっと強い魔物も出て来とるし」
『『えぇぇぇぇぇぇ?』』
「あぁトロールとかすんごい強かったよ」
「俺らの前に戦ってた10人くらいのパーティーは壊滅寸前やったしなー」
「みんなレベル10は超えてたのにね」
『『・・・・・・』』
「ここはちょっと話しにくいね」
あまりにも周りに人が多すぎる。
「ちょっとそっちに行こうか?」
市役所前の人塵の喧騒から少し離れて、市役所ビルと東公園の間の脇道に入り、その兄妹と情報の交換会を開く。
母親だと紹介されたアラフォー世代の美人さんと、何故か先ほど美咲と会話していたおじさんおばさん数人と見知らぬ男女数人がトコトコと付いて来る・・・
彼の話では、ここらを統括しているのは『三宮クラン』と言う団体で、現在200人くらいはレベル持ちが居るらしい。
回りを良く見ると、フラワーロードには1台の車も無かった。
そして脇道や南北の端も、バリケードの様に廃車が積み上げられている。
車が通れるように整理された脇道は資材や食料の運搬専用らしい。
色々と考えられるリーダーや幹部が居るのが良くわかる。
厄災からたった一日でクランを立ち上げ、インフラ整備に着手したその人物に一度会ってみたいものだ。
『ギルドの人が、"人が集まれる場所"を作っていったんです』
「それだけ大人数なら食の確保が最優先だよなぁ」
「うちらは2人やから危機感は無いけど、ギルド200人とこの大勢の避難民を食い繋ごうと思えば、並大抵の量じゃないもんなぁ」
「生活魔法とか覚えた人は多いのかな?」
健斗が兄妹に問いかける。
『えっ?魔法なんてそんなに簡単に覚えれるもんじゃないでしょ?』
「そんな事ないよ?必要なスキルや魔法は反復してると勝手に覚えるよ?」
健斗と美咲のおせっかいがまた始まった。
何故かついてきた数人のギャラリー達にも進化の説明を丁寧にする。
もう何度も他人に説いて来たので、慣れたものである。
前日にも三宮ギルドの幹部連中から大勢の避難してきた人達に進化の勧誘があったらしいのだが、結局、夢見事の様な絵空事の様な掴み処の無い話をこんな状況下で簡単に信じる人は少なくて、進化した人は200人程度にしかならなかったようだ。
今現在フラワーロード付近には全体で7000人~8000人くらいの避難民が集まって居る事だろう。
もしかしたら万単位かも知れないが、数え様が無いので憶測の域を超えない。
だが、今のこの状態が続いたとして、1か月後に一体何人の人が生き残っているだろうか?
この先、水道もいつ止まるかわからない。
食料も自給自足が求められる。
そんな状況で、自分の身を守る術は自分で持っていないと駄目だ。
そんな説法を少数の目の前に居る人達に説いてみても「あぁやっぱり」の薄い反応である。
だがしかし、ここに居る人は現状把握と現状の打開を考えて何気に健斗達に尽いて来ている。
その気持ちが現状理解を大きく分かつ。
すると美咲が風を纏い空中に浮く。
その意味を理解した健斗は、誰も居ない事を確認した方向に魔風剣を振り下ろす。
『『「おぉおおおお」』』
「うちらは基本、近接攻撃スキル中心にしとるから、生活に使えるもんはほぼ無いんよ」
「でも最初から生活スキル優先するなら、そっち系統で固めるとえぇよ」
「とにかく、今日を生きれても明日が必ず来るとは限らない世界なんで、自分の命は自分で守れるように、そして生きれるようにしないとね」
そして、おせっかい進化教室は始まった。
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