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早乙女千冬という幼馴染
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今日も今日とて、平和な教室だ。
男どもはエロ漫画の新作をこそこそとバックから取り出し、大きな声のこそこそ話ではしゃぎまくり、女子は最近流行りの若手俳優が出ている映画の話に花を咲かせる。
俺はというと、カースト上位の男子友達にキンタマ鷲掴みゲームを強制参加させられていた。このゲームは書いて字のごとく、キンタマを握り潰されるだけの正直何が面白いのか全く分からないようなクソゲーだが俺は、身体を張り、オーバーリアクションで、どうにか笑いを取っている。あぁ、何ともまぁ、情けない姿、親が見たら泣いちゃうよ。
「もう、男子、春樹をいじめないでよ?」
そんな時いつも助けてくれる幼馴染。早乙女千冬、可愛い見た目と、大きな胸で男子から絶大な人気を誇っている。まぁ、そのせいで俺はいじられるようになってしまったわけだが、それは今更どうでもいいことだ。思春期真っ只中の高校一年生の俺はこいつに恋をしている。家も近所で幼い時から一緒に育った千冬は予想より可愛らしい見た目になっていった。小学生の時はかなりいじめられっ子だった俺をいつも庇ってくれて、どちらかというと逞しいイメージだったのに。
「いじめじゃねーよ、一緒に遊んでるだけだって、なぁ、春樹?」
このクラスを仕切ってる亮介が俺に肩を組みながらそう催促する。
「あ、まぁ……」
誤解しないでほしいがこいつらも俺をいじめているとは思っていない、まぁ、要は陽キャのノリで俺をいじってるだけだろう。しかし、キンタマ掴みゲームだけは意味が分からない、本当に楽しんでいるなら、こいつらはアホなのだろうか。
「ハルも嫌ならはっきり嫌っていいなさいよ、そんなんだったらまた……」
千冬は口を噤んだ。これ以上は言ってはならないと思ったのだろう。その判断は正直、有難い。ここでは俺がいじめられていたなんてばれたら、それこそ、いじめられっ子に戻ってしまう。そんな俺がここまでどれ程の努力をして辿り着いたのか、千冬は知ってる。周りの空気を読み、話を合わして、場を和ますことの大変さを千冬本人は理解してるだろうし。俺は決して、ノリの良い奴ではなかった。理不尽なことに対しては反論するし、いじめなんて許せない性格だった。でも、今は違う、一人になることの寂しさを知ってしまったから。
「それより、千冬も一緒にカラオケ行かね? この後、いつものメンバーで行くつもりなんだけど?」
「え、私? 春樹もいるの?」
千冬はあまり友達と遊ばないし、断るだろうな。と、いうより、千冬に友達はあまりいない。俺は友達だが、どちらかというと腐れ縁って感じで見ているだろうし。
はっきり言おう。彼女は女子に嫌われている。理由はその男女関係なく接する人柄と、見た目の可愛さだ。千冬は少なくとも高校に入学して三か月の間、三人の先輩に告白されている。しかもイケメン揃いだ。それを完膚なきまで振ったことで、調子乗っていると陰でこそこそ言われ散らかしているのだ、何ともしょーもない。
「あぁ、勿論。こいつがいないと盛り上がらないからな」
亮介は確かに陽キャで面倒やつだが、悪い奴って訳ではない。このポンコツクラスの中ではかなり優秀枠だ。人望もあるし、意外と優しい。それに人を他評価で判断しないから、自分が気に入った奴とは友達になる。俺も努力の甲斐あってか、気に入られた一人だ。
「春樹が行くなら私も行こうかな?」
「よしゃ、そうこなくちゃな!」
こうして、俺らの放課後の予定は決まった。
「カラオケ楽しかったね! 春樹もめちゃくちゃ盛り上げてくれたしー」
千冬も亮介も他のみんなも楽しそうだった。俺も、カラオケは大好きだし、楽しかったが、メタル系の歌を強制的に歌わせる毎度お馴染み謎展開のせいで声が死んでる。
「まぁ、楽しかったかな!」
それを差し引てもカラオケというのは楽しい。
「春樹のデスボ、まじ半端ねーからね、めっちゃ五月蠅くて耳がいてーよ」
お前が勝手に曲入れてたじゃん。とツッコミたいとこだが、まぁ、良い。みんなが楽しく過ごせたなら、俺のミッションはクリアしたようなものだ。
「それじゃ、私と春樹はこっちだから、またね、みんな!」
千冬とは近所だから、帰る方向も勿論一緒だ。亮介たちと別れた後、俺たちは電車に乗って、帰宅する。
「春樹って、変わったよね……?」
「え? そうか?」
無言が数秒続いた後、千冬は徐にそう呟いた。
変わったといえば、変わったのかも知れない。でも、変わるために努力をしたんだ。いじめられっ子だったあのときの俺はきっと、自己中心的だったとこもあった。自分の信念だけで周りを否定していた。でも、今は違う。周りの顔を伺うようになったし、察する力もそこそこついた。人によっちゃ、ダサい生き方かも知れないが、一人ぼっちになるくらいなら、俺はそういう生き方を選ぶ。
「昔は、私が守ってたのに、今では私が仲間外れにされているからねー」
「…………まぁ、女子からは、な」
「女子の世界は、男子には分からないだろうけど、色々大変なんだよ?」
千冬の言う通り、男子の俺では女子のいじめを止めることは難しい。だから、今まで俺を助けてくれた千冬を見捨てることは出来ない。いじめの連鎖を断ち切ったのは自分の力かも知れないが、支えて、高校まで一緒について来てくれたのは間違いなく千冬であって、その恩は痛いほど感じている。
「千冬、俺が助けるよ……」
「え、っと、それは……」
「千冬が俺を救ってくれたように、千冬のことは俺が助ける!」
俺は電車の中、恥ずかしいセルフを結構大きめに言い放った。その結果、千冬からしっーと人差し指を口元に押し当て、静かにと注意された。そのしぐさが余りにも可愛いかったことは心の中で留めておくとして。
これから、どうするか。
女子のいじめは陰湿なものの多く、男子目線ではあまり見えない。
そんな状況で、千冬を救い出せるのだろうか。
不安は尽きないがやるしかないな。
男どもはエロ漫画の新作をこそこそとバックから取り出し、大きな声のこそこそ話ではしゃぎまくり、女子は最近流行りの若手俳優が出ている映画の話に花を咲かせる。
俺はというと、カースト上位の男子友達にキンタマ鷲掴みゲームを強制参加させられていた。このゲームは書いて字のごとく、キンタマを握り潰されるだけの正直何が面白いのか全く分からないようなクソゲーだが俺は、身体を張り、オーバーリアクションで、どうにか笑いを取っている。あぁ、何ともまぁ、情けない姿、親が見たら泣いちゃうよ。
「もう、男子、春樹をいじめないでよ?」
そんな時いつも助けてくれる幼馴染。早乙女千冬、可愛い見た目と、大きな胸で男子から絶大な人気を誇っている。まぁ、そのせいで俺はいじられるようになってしまったわけだが、それは今更どうでもいいことだ。思春期真っ只中の高校一年生の俺はこいつに恋をしている。家も近所で幼い時から一緒に育った千冬は予想より可愛らしい見た目になっていった。小学生の時はかなりいじめられっ子だった俺をいつも庇ってくれて、どちらかというと逞しいイメージだったのに。
「いじめじゃねーよ、一緒に遊んでるだけだって、なぁ、春樹?」
このクラスを仕切ってる亮介が俺に肩を組みながらそう催促する。
「あ、まぁ……」
誤解しないでほしいがこいつらも俺をいじめているとは思っていない、まぁ、要は陽キャのノリで俺をいじってるだけだろう。しかし、キンタマ掴みゲームだけは意味が分からない、本当に楽しんでいるなら、こいつらはアホなのだろうか。
「ハルも嫌ならはっきり嫌っていいなさいよ、そんなんだったらまた……」
千冬は口を噤んだ。これ以上は言ってはならないと思ったのだろう。その判断は正直、有難い。ここでは俺がいじめられていたなんてばれたら、それこそ、いじめられっ子に戻ってしまう。そんな俺がここまでどれ程の努力をして辿り着いたのか、千冬は知ってる。周りの空気を読み、話を合わして、場を和ますことの大変さを千冬本人は理解してるだろうし。俺は決して、ノリの良い奴ではなかった。理不尽なことに対しては反論するし、いじめなんて許せない性格だった。でも、今は違う、一人になることの寂しさを知ってしまったから。
「それより、千冬も一緒にカラオケ行かね? この後、いつものメンバーで行くつもりなんだけど?」
「え、私? 春樹もいるの?」
千冬はあまり友達と遊ばないし、断るだろうな。と、いうより、千冬に友達はあまりいない。俺は友達だが、どちらかというと腐れ縁って感じで見ているだろうし。
はっきり言おう。彼女は女子に嫌われている。理由はその男女関係なく接する人柄と、見た目の可愛さだ。千冬は少なくとも高校に入学して三か月の間、三人の先輩に告白されている。しかもイケメン揃いだ。それを完膚なきまで振ったことで、調子乗っていると陰でこそこそ言われ散らかしているのだ、何ともしょーもない。
「あぁ、勿論。こいつがいないと盛り上がらないからな」
亮介は確かに陽キャで面倒やつだが、悪い奴って訳ではない。このポンコツクラスの中ではかなり優秀枠だ。人望もあるし、意外と優しい。それに人を他評価で判断しないから、自分が気に入った奴とは友達になる。俺も努力の甲斐あってか、気に入られた一人だ。
「春樹が行くなら私も行こうかな?」
「よしゃ、そうこなくちゃな!」
こうして、俺らの放課後の予定は決まった。
「カラオケ楽しかったね! 春樹もめちゃくちゃ盛り上げてくれたしー」
千冬も亮介も他のみんなも楽しそうだった。俺も、カラオケは大好きだし、楽しかったが、メタル系の歌を強制的に歌わせる毎度お馴染み謎展開のせいで声が死んでる。
「まぁ、楽しかったかな!」
それを差し引てもカラオケというのは楽しい。
「春樹のデスボ、まじ半端ねーからね、めっちゃ五月蠅くて耳がいてーよ」
お前が勝手に曲入れてたじゃん。とツッコミたいとこだが、まぁ、良い。みんなが楽しく過ごせたなら、俺のミッションはクリアしたようなものだ。
「それじゃ、私と春樹はこっちだから、またね、みんな!」
千冬とは近所だから、帰る方向も勿論一緒だ。亮介たちと別れた後、俺たちは電車に乗って、帰宅する。
「春樹って、変わったよね……?」
「え? そうか?」
無言が数秒続いた後、千冬は徐にそう呟いた。
変わったといえば、変わったのかも知れない。でも、変わるために努力をしたんだ。いじめられっ子だったあのときの俺はきっと、自己中心的だったとこもあった。自分の信念だけで周りを否定していた。でも、今は違う。周りの顔を伺うようになったし、察する力もそこそこついた。人によっちゃ、ダサい生き方かも知れないが、一人ぼっちになるくらいなら、俺はそういう生き方を選ぶ。
「昔は、私が守ってたのに、今では私が仲間外れにされているからねー」
「…………まぁ、女子からは、な」
「女子の世界は、男子には分からないだろうけど、色々大変なんだよ?」
千冬の言う通り、男子の俺では女子のいじめを止めることは難しい。だから、今まで俺を助けてくれた千冬を見捨てることは出来ない。いじめの連鎖を断ち切ったのは自分の力かも知れないが、支えて、高校まで一緒について来てくれたのは間違いなく千冬であって、その恩は痛いほど感じている。
「千冬、俺が助けるよ……」
「え、っと、それは……」
「千冬が俺を救ってくれたように、千冬のことは俺が助ける!」
俺は電車の中、恥ずかしいセルフを結構大きめに言い放った。その結果、千冬からしっーと人差し指を口元に押し当て、静かにと注意された。そのしぐさが余りにも可愛いかったことは心の中で留めておくとして。
これから、どうするか。
女子のいじめは陰湿なものの多く、男子目線ではあまり見えない。
そんな状況で、千冬を救い出せるのだろうか。
不安は尽きないがやるしかないな。
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