データな彼女は、いじめられっ子。

小住人(こすみひと)

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佐々木亮介という友達

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 女子のいじめの質が悪いというが本当にその通りだ。
 表では仲良くしているように見せて裏では愚痴を言い合う。勿論、男子だから陰でこそこそしないと言えばそんなことはないだろうけど。少なくと、高校で知り合った男子で誰かを仲間外れにする奴は今のところいない。まぁ、知り合って三か月程度しか時間は経っていないからな、実際、良く分からないのだけど。
 それに女子のいじめを目の当たりにした訳ではない。
 千冬という存在がいなければ、女子の闇の部分を知ることは一生なかっただろう。

「……って聞いてる?」

 顔を軽くビンタされ、俺は我に返った。

「ん? 何の話?」

「全然聞いてないじゃん、どうしたの、今日? いつも、キレないじゃん?」

 亮介は心配そうに見つめている。中学校でいじめられていた俺にとって、亮介の存在はかなり、衝撃を受けた。
 陽キャで一緒にいると疲れるけど、やっぱり、良い奴で、たまに素直過ぎて、ツッコミ激しくてメンタル傷つくけど、それでも、優しくて。
 亮介は友達なんだろうか。

「亮介ってさ、俺と友達?」

「はぁ? なんだよ、気持ち悪いな」

 ですよね。今の質問は確かに気持ち悪い。でも、俺の性格上、そう、思っちゃったんだよ。許してほしい。

「まぁ、少なくとも、友達と思っているし、これからも、仲良くしたいと思ってるけど。お前はどうなんだ?」

「……お、俺だってそう、思ってるさ」

「じゃ、いいじゃん? そんなことで悩んでいたのか?」

「いや、違う、うーん、亮介。相談乗ってくれるか?」

「あぁ、勿論良いぜ? 放課後、サイゼイリア行こうか?」

「あぁ」

 こうして、亮介と二人で放課後、食事をすることなった。

「んで? 悩みってなんだ?」

「あ、えーと……」
 
 サイゼに到着して、ドリンクバーで一通り遊んだ後、亮介は例の相談について催促し始めた。俺としてはまだ心の準備ができていないんだけど。

「もったいぶるなよ、どうせ、大した悩みでもないんだろう?」

「いや、結構深刻な……」

「好きな人のことか?」

「いや……?」

「なんだ、てっきり、千冬のことかと」

「え!?」

「そのリアクションは、当たりだな?」

 こいつ、流石というべきか。俺が努力で身に着けた、空気を読み、周りの状況を理解する能力を生まれながらに備わっているタイプ、ザ・陽の人。

「まぁ、千冬のことではあるけど、恋愛とかじゃないかな」

「そうなのか? じゃ、他に何の相談があるって言うんだよ?」

 亮介は届いたフライドポテトを煙草のように加え、無駄な雰囲気作りをしている。真剣に聞く気ないのかな。

「……まぁ、千冬ってさ、可愛いじゃん?」

「あぁ、間違いない」

 亮介は煙草のギャグにツッコミを入れない俺を見て、真剣度が伝わったみたいで、加えポテトを口に頬張った。

「そのせいで、クラスの女子からさ、いじめられているみたいなんだよな、ほら、バスケ部の橘先輩とかからも告白されてたし、あの人、人気者だからさ」

 その橘先輩の告白を断ったせいで、更に、女子のいじめは悪化したらしい。

「そうだな、橘先輩の性格は知らんが、顔と運動神経は抜群だろう、それで、春樹はどうしたい?」

「千冬のいじめ問題を解決したい……」

「……そうか、まぁ、そうだろうよ、俺もああ言うのほんと、胸糞悪いからな、嫌いだ」

「じゃ、協力してくれるか?」

「いいぜ、ただし、条件がある」

「条件……?」

「あぁ、もし、いじめを解決したければ、夏休みが始まるまでに、千冬に告白しろよな」

「へ?」

「へ? じゃねーよ、春樹は千冬のこと好きだろう? 見てれば分かるって。俺は春樹の応援がしたいだけなんだよ、正直、千冬がいじめられていることに関しては、俺はどうでもいい」

 まぁ、こいつのことだ。そういうことは直ぐにバレると思っていたし、別に今更隠すつもりはない。
 ただ、解せない。千冬がいじめを受けていることはどうでもいいわけがない。

「まぁ、今の良い方は良くはないわな。ただ、春樹にとって、千冬は幼馴染で好きな相手かも知れない。でも、他の男子取って、千冬は可愛いとは思うまでも、そんなに深い関係じゃないってことだ、それは俺も然り。だからこそ、千冬のいじめ問題を解決するのは簡単なことじゃない」

 なるほど。確かにそうだ。俺は恋している相手だからという、フィルターが掛かっていたせいで、いや、それ以前に幼馴染で恩を半端なく感じている相手だから、ここまで親身になって悩んでいる。
 でも、それは俺だからだ。
 他の男子は千冬のことをそれほど深くまでは知らない。だって知り合ってまだ、三か月だ。それに地元の高校にはいけないから、わざわざ、遠くの高校を選んだ。そのせいで、地元の友達がいない環境にいなくてはならないのだ。そんな俺が心配だからと言って、わざわざ、同じ高校を選んでくれたのだ。
 よくよく考えたら全部俺のせいじゃないだろうか。

「だから、俺はこの問題を解決するためには、お前の告白が必要なんだ」

「それって……」

「春樹という好きな存在がいたから、告白を断ったことにすればいい、そうすれば、クラスの奴らだって、一応、納得できるし」

「上手く行くかな……?」

「まぁ、成功率は高くないな、女子共は、可愛いから調子乗ってるって思っている奴らが多いし。それは純度百の嫉妬だ、そんなこと思っている奴らと仲良くできると思えない。ただな、他クラスの奴らならどうだ? 噂は広がってもそれは所詮噂、喋ってみたら意外と良い奴だって分かってもらえる可能性はあるぞ?」

「なるほど、やってみる価値はありそうだな」

 亮介は同じクラスの奴と仲良くするのは諦めているらしい。まぁ、俺もそれは同意見だ。カースト上位層がみんなして千冬を嫌っているからな。ただ、他のクラスだと仲良くできるかも知れない。
 その可能性を少しでも上げるために、春樹は告白し、彼氏がいることを証明する必要があるのだ。
 何故、彼氏役が必要なのか、きっと、亮介は、純粋に俺の幸せを願っているのかも知れないが、それは置いといて。
 他のクラスでは男友達を作らないためだろう。千冬はモテる。それが原因で女子から嫌われているから、彼氏がいれば、男は寄り付かない。そのためのボディーガードが必要なのだ。

「まぁ、どのみち、春樹がフラれたら、終わりだけどね」

 それを言われちゃ、元も子もないんだが。
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